.NET テクノロジ — 価値創造サービスの適用
技報サイト内検索
2005年5月発行 Vol.25 No.1 通巻85号.NET テクノロジ — 価値創造サービスの適用
巻頭言
特集「.NET テクノロジ — 価値創造サービスの適用」の発刊によせて【PDF】(11.7 KB)
基調論文
論文
- .NET の本来の姿と現状,そして日本ユニシスの.NET
- .NET 技術を利用したシステム連携
- サーバ統合に向けた仮想サーバ技術の活用
- 開発方法LUCINA for .NET — 開発プロセスとアーキテクチャの策定
- .NET が実現するこれからの情報システムモデル
- ミッションクリティカルシステム構築・運用支援ミドルウェア「MIDMOST for .NET」
- SQL Server Analysis Services のキューブ作成における集計パターンの最適化
- コラボレーションシステムへの.NET 技術の適用
- スマート・クライアント適用事例
- 情報共有ソリューションKnowledge Web Board
- .NET フレームワークを活用したDM ソリューション
.NET テクノロジ適用 — 価値創造サービスの創出に向けて
本特集号に納められている論文は,.NET テクノロジを実システムに適用した体験をまとめたものである.本論は,二つのことを目的に書かれている.一つは,日本ユニシスの.NET テクノロジを適用したサービスビジネス胎動の背景や,.NET 関連サービス展開の土台となったビジネス・スキームについて,事業立ち上げにおけるマネジメント的視点から解説することである.これは,本特集号を興味深く読んで頂くためである.もう一つは,そうしたビジネス・スキームを実装したシステムやサービスを具現化したソリューション,開発方法,サービス事例について概観し,本号に掲載した論文の有効性について言及することである.
.NET の本来の姿と現状,そして日本ユニシスの.NET
.NET のコンセプトが発表されてから4 年半が経過し,今やJ 2 EE に匹敵するシステムのプラットフォームとなった.しかし,これは.NET 本来の姿ではない..NET はマイクロソフト社が考えるソフトウェアの未来像であり,「ソフトウェアをサービスとして利用できるようにすること」を目指している.現時点での.NET は,.NET Framework とVisual Studio.NET をベースとしたシステム開発環境&実行環境である. そして,日本ユニシスが考える.NET とは,ミッションクリティカルシステムのプラットフォームである.その実現のために,MIDMOST for .NET, ACAB, LUCINA for .NET を提供する.
.NET 技術を利用したシステム連携
近年,企業の持つ各種システムを柔軟に連携させ,開発を迅速化させるためのアーキテクチャとして, SOA(Service Oriented Architecture)が注目されており,その実現には, Web サービスやBPM(Business Process Management)などに対する検討が重要になってくる. 本稿ではWeb サービスによるシステム連携に対する考え方と,それをMicrosoft .NET技術を利用して構築するための基礎的な知識を紹介する.
サーバ統合に向けた仮想サーバ技術の活用
IT 市場のシステム構築分野では,分散配置されているPC サーバを集約し,IT 投資収益率(ROI)の向上,コスト削減を図るサーバ統合の案件が増加している.このサーバ統合を実現する手段の一つとして,仮想サーバ技術の活用が注目されている. 本稿では,Microsoft 社の仮想サーバソフトウェア「Microsoft Virtual Server 2005」に焦点をあて,そのソフトウェアが提供する仮想サーバ技術と,サーバ統合実現に向けた仮想サーバ技術の適用シナリオについて紹介する.
開発方法LUCINA for .NET — 開発プロセスとアーキテクチャの策定
近年のシステム開発は,次々に登場する新しい技術やパッケージ製品などの選択肢が多い反面,それらを組み合わせて,システムの要求を満たすためのアーキテクチャを決めることが困難な状況にある. また,開発の具体的な作業とその順序や成果物を定義する開発プロセスについても,短期開発,開発期間中の変更などを前提とする必要がある. 日本ユニシスの開発方法であるLUCINA for .NET は,企業システム全体の最適化を目指した,.NETによるWeb アプリケーション開発のアーキテクチャと開発プロセスを定義しており,このような状況の中でプロジェクトを成功に導くことを目的として作成された. 本稿では,LUCINA for .NET の開発プロセスの概要を紹介した後,実際の開発で行われる作業内容やアーキテクチャ策定の内容について述べる.
.NET が実現するこれからの情報システムモデル
「Forum 2000」で.NET を発表して以来2005 年で5 年目を迎えようとしている. Javaの対抗馬やMS の製品ブランドと間違われるなどいろいろな歴史があったが,ここでもう一度.NET の掲げるビジョンについて整理する. そもそも.NET はインターネットバブル期の「.COM」時代からの進化系として世に登場してきたが,世界共通基盤であるインターネットを最大限に有効活用し,人々の生活をより快適で豊かに,ビジネスにおいてはIT システムをより迅速にまた効率的なバリューチェーンを実現するというビジョンを掲げ,そのビジョンを推進するものとしてさまざまなテクノロジーを開発しマーケットへ提供し続けている.つまりマイクロソフトが考えるこれからのソフトウェアの進むべき方向性が.NET なのである.今後も開発ツール,フレームワークおよびその他の製品群はこの方向性に従って継続的に進化しつづけるであろう.本稿ではその方向性および.NET によって実現される新しいIT システムモデルについて紹介する.
ミッションクリティカルシステム構築・運用支援ミドルウェア「MIDMOST for .NET」
.NET Framework は,アプリケーションの開発生産性を向上させる技術として開発の現場に確実に浸透してきたが,ミッションクリティカルな基幹業務システムを構築するためには,まだ多くの機能が提供されていない.多くの現場では信頼性や可用性といった非業務要件を実現するために,機能を独自に開発することを余儀なくされている. こうした背景から,日本ユニシスは,.NET Framework ベースのミッションクリティカルシステムの構築・運用を支援するミドルウェアMIDMOST for .NET を開発した.MIDMOSTfor .NET のコンセプトは,横断的関心事の分離,.NET 標準開発スタイルとの親和性確保,そして,既存テクノロジーとの融合である.本稿では,これらのコンセプトを軸に,.NET Framework だけでは解決されない課題をMIDMOST for .NET が如何にして解決するのかを論じる.また,コンセプトを具現化するアーキテクチャの特徴を紹介する.
SQL Server Analysis Services のキューブ作成における集計パターンの最適化
SQL Server 2000 がリリースされてから4 年が経過し,Analysis Services を適用した多次元データ分析の事例も珍しくなくなってきた.また,大規模なデータを基にした多次元データ分析の構築事例も出てきている. 大規模なデータからキューブを構築する場合,キューブの処理時間とキューブの検索レスポンスを両立させることが課題となる.この課題解決の鍵は最適な集計パターンの作成であるが,現時点では作成の考え方,作成方法を記述した資料がほとんど存在しない. 本稿は飲料メーカA 社の大規模データによる多次元データ分析システムの開発を通して得た,処理時間とレスポンスを両立させる有効な「集計パターン」の作成方法を記述する.
コラボレーションシステムへの.NET 技術の適用
本稿では,マイクロソフト社の製品群とユニシスグループのフレームワークや製品,システム構築によって可能なコラボレーションシステムを紹介する.
スマート・クライアント適用事例
企業の業務システムにおいてシステムの運用性向上と操作性向上を実現することは命題の一つであろう.しかし,従来の技術であるクライアント・サーバ方式やWEB アプリケーション方式では運用性と操作性はトレードオフの関係にある. その解決策としてリッチ・クライアント技術が登場し,業務システムにおけるシステム構築基盤として広がりつつある. 本稿ではMicrosoft 社のリッチ・クライアント実装技術であるスマート・クライアントの適用事例を紹介する.また利用者にとって使いやすいシステム(=ユーザビリティシステム)構築における考慮点についても言及する.
情報共有ソリューションKnowledge Web Board
近年の企業を取り巻く国際的な競争激化や消費者ニーズの多様化に対応するためには,個人の情報やノウハウを企業の経営資産として最大限に活かし,組織の能力を高める必要がある. 企業戦略において,情報共有のニーズは重要度を増しており,他社との差別化に成功した企業の多くは,その導入効果を上げている. 広島ソフト・エンジニアリング(株)(現在は日本ユニシス・ソリューション(株)に統合)では,1999 年以降,ナレッジマネジメント,ワークフローをはじめとする企業内情報共有システム構築の先進的な事例を担当した経験から,2002 年に顧客の多様なニーズに応じた情報共有システムを実現できるソフトウェアの開発を計画し,Knowledge Web Board を商品化した.以降,セールス活動や適用案件から利用者の声を反映し,より利用者のニーズに合った商品への進化を続けている.本稿では,まず効果を上げる情報共有システムとは何か,について整理し,その実現を目的として開発された情報共有ソリューションKnowledgeWeb Board について解説する.さらに,いくつかの構築事例を通して,Knowledge WebBoard の適用範囲と有効性を解説する.
.NET フレームワークを活用したDM ソリューション
ShopMAXは通信販売ビジネス向けのソリューションとして20 ライセンス以上の導入実績を誇り,産業流通部門のソリューションの成功事例の一つとしてあげられているが,CSS 型のシステムであるが故に近年いくつかの課題が浮き彫りとなり,近い将来,市場競争力を失うことが予想された.ShopMAX での課題を解決し,通信販売ビジネス向けのソリューションビジネスをさらに拡大するためにコア技術として.Net Framework とXMLWebServices を採用したIMPACT—DM R 3 を企画し実装を行った. 本論文では,.NET Framwork, XML WebServices を選択するに至った背景,製品の特徴,実装において工夫した点について解説しながら,今後の課題についても提言する.