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Technology Foresight

[2026 EXTRA ISSUE 増刊号 ]
「つながるAI」が変える、企業、暮らし、そして社会

Technology Foresightとは

社会の変化やテクノロジーの進化は、現在の延長線上にない未来をもたらします。Technology Foresightは、ICTをはじめとするテクノロジーの視点で、5~10年先の未来像とその実現可能性を示します。

はじめに

10年後、AIと私たちの関係はどう変化しているだろう?
生成AIは、第1の波(予測・認識の高度化)、第2の波(人と協働する業務支援型AI)を経て進化してきた。2026年現在、AIは「効率化の道具」から「人と共に考え、動く存在」へと変わり始めている。人間の意図を理解し、段取りを組み、限定的ながらタスクの実行までを自律的に遂行できるレベルに達しつつあり、私たちはすでに第3の波(AIエージェント化)を見据える段階に入っている。今後、「人が手をかけて育てる」といった新たなアプローチを通してAIの精度と信頼性はさらに高まり、第4の波(AIとロボットの協調)、第5の波(AGI=汎用AIの萌芽)の現実味も増していくだろう。ただし、その使い方しだいでAIは、企業にとって大きなリスクにもなりうる。そのためAIをどう信頼し、使いこなすかという点に、いま大きな注目が集まっている。
本誌『Technology Foresight 2026』は、未来への羅針盤として10年後の企業・社会・暮らしを展望する。気候変動、人口減少、地政学リスク、情報の信頼性の揺らぎ――さまざまな不確実性に満ちたこの先、AIは「人に寄り添う心強いパートナー」へと姿を変えていく。10年後にはAI同士が信頼でつながり、生活・暮らし・社会のあらゆる場面に深く溶け込んでいるだろう。そんな世界を少し先の風景として感じ取れるよう、本誌は例年と趣向を変えて3つの「物語」からスタートすることにした。そこに描いたのは、人とAIが協働してつくり出す、未来の「日常」だ。

第1章 人とAIが協働する未来の物語

10年後、私たちの仕事・暮らし・社会は、どう変わっているだろう。ここに描く3つの物語は決して遠い空想ではない。現在の延長線上にありながら、私たちが自ら選び取り、育てることのできる未来の風景だ。

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第2章 AIの力を引き出す「境界の設計」

AIエージェントは、生成AIのように「答える」だけでなく、状況に応じて必要な作業を自ら進めながら、人の判断を支えてくれる。第1章で描いた未来のAIエージェントは、選択肢を示して人が判断する幅を拡げ、結論を実際の行動につなげる役割も果たしていた。そして、最終的な判断と責任は常に人が引き受けていた。
そうした未来を現実のものにするためには、AIに任せることと、人が引き取ることをあらかじめ丁寧に設計しておくことが欠かせない。「境界の設計」とは、その線引きをして、判断や行動の根拠を後から説明できる状態にしておくこと。そのうえでAI同士の連携範囲を社内外へと拡げていけば、「マルチエージェント化」もスムーズに進むだろう。
AIは、育てられる経営資産。そうした認識のもと、本章では、生成AIを場当たり的な活用で終わらせないための「境界の設計」について考える。

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第3章 「つながるAI」と共に未来を変えるために

企業はまず、自社の事業や業務を変えるために生成AIを迎え入れるが、AIの出番は社内だけで終わらない。取引先やパートナー、社会の仕組みと結びついた瞬間、生成AIは「会社の一道具」から「未来の動きを変える存在」へと姿を変える。
マルチエージェントは、複数のAIが直接つながり、役割を分け合い、互いに情報を受け渡しながらタスクを進める。AIが他のAIとつながり、「単体で賢い存在」を超えるようになると、それに伴う懸念点も出てくる。例えば最終的な出力に至るまでに、各AIが何を担ったのかが見えにくくなり、どこで判断がねじれたのかも辿りにくくなる。企業にとっては、事業や業務への信頼が損なわれかねない大きなリスクだ。この章では、AI同士のつながりを、一つの仕組みとして捉え直し、企業間でAIが連携し始めたときに、何が起こり、何が変わるのかを確認する。
また予期せぬAI間トラブルや外部環境の急変があっても、この仕組みから価値を引き出し続けるために欠かせない「3つの安心(安全・受容・持続)」についても、順に確かめていこう。

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おわりに

かつては「何ができるか?」だった生成AIをめぐる関心は、「AIを使ってどんな未来を描くのか」へと移りつつあり、「では、どのように使い続け、その責任をどう引き受けるのか」が実現に向けた議論の焦点となっている。一方で、この先拡大していくAI同士の連携は、さまざまな判断や結果の責任を、どのAIもしくは誰が引き受けるのかについての境界を曖昧にし、システムの運用そのものを複雑にする。
不確実な未来の前で、「正しさ」は一つではない。だからこそ「小さな試行」を繰り返しながら、設計内容や企業間の合意を絶えず更新し続けるしなやかさが求められる。本誌は、その選び直しを支えるための思考の足場を示してきたつもりである。

BIPROGYグループは、企業や団体の壁を越えて連携し、持続可能な社会の実現に取り組んできた。そうした歩みの延長として、現在は社会課題解決を目指したAI実装の取り組みを加速させている。「つながるAI」もまた、多様な関係者が対話を重ね、段階的に育てながら拡げていくことで、はじめて社会に根づいていく。本誌が、多くの企業・組織にとって、よりよい未来を構想し、形にしていく出発点となれば幸いである。

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