創刊25周年記念号I「日本ユニシスグループのソリューション」
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2006年2月発行 Vol.25 No.4 通巻88号創刊25周年記念号I「日本ユニシスグループのソリューション」
1981年2月に創刊されたユニシス技報は、今回の88号で創刊25周年を迎えます。技報編集委員会ではそれを記念して、今号と次号(89号)を創刊25周年記念号と位置付け、日本ユニシスグループのソリューションとテクノロジのすべてを俯瞰する特集を組みました。今回お届けするのは「日本ユニシスグループのソリューション」特集です。金融、航空、流通、製造、エネルギー、官公庁/自治体、通信、教育といった業種とサプライチェーンマネジメントの分野において、日本ユニシスグループが提供している最先端のソリューションを詳細にご紹介いたします。
ご挨拶
創刊25周年記念号発刊にあたって【PDF】(36.3 KB)
巻頭言
特集「日本ユニシスグループのソリューション」の発刊によせて【PDF】(42.2 KB)
論文
- 日本ユニシスの次世代金融ソリューション体系「UNIFINE®」
- 国際競争時代のコスト構造改革と需要拡大を支える 航空基幹システムの世代交代「AirCore」
- 競争を勝ち抜くためのマーチャンダイジングソリューション 「OpenCentral®/OpenCentral® plus」
- グローバル環境におけるコラボレーティブ・エンジニアリング
- 電力自由化におけるリファレンスモデル活用の課題解決アプローチ
- 電子自治体の構築に向けた新たなソリューション・ビジネス「システム統合基盤」
- 次世代ネットワークサービスを支えるリアルタイムOSSへの考察 ——テレコム分野で活用がすすむ次世代OSS基盤
- 高等教育機関におけるIT 活用の方向性 ——全体最適を目指すソリューション「RENANDI®(レナンディ)」
- BPMアプローチによるSCM改革
- エンタープライズソリューションと情報基盤の課題
日本ユニシスの次世代金融ソリューション体系「UNIFINE®」
金融業務の自由化が一層進展するに伴って,銀行の業務は,投信,株式,保険の販売やインターネット,コンビニATMなどの新規チャネルへの対応等,多様化・複雑化し,ますますITへの依存度を高めている.また,経営の健全性と共に経営の効率化への要求も高度化しており,リスク・収益管理の高度化にITが果たす役割はますます増大している. 特に地域金融機関においては,大資本を有するメガバンクや新規参入金融機関との競合環境でこれらに対応することが課題となっている. 日本ユニシスは,長年に亘り金融機関向けソリューション・パッケージを提供してきた. 開発フェーズ,保守フェーズを通して,大幅なコストダウンと変化に対する迅速な対応が期待できる全面オープンシステム環境の金融機関向けソリューション・パッケージは,地域金融機関のこれらの課題を早期に解決する実現手段として非常に有効である. 本稿では,2003年6月に発表した,オープン環境下での稼働を前提とした次世代金融ソリューション体系「UNIFINE」について,その特徴と概要を述べる.次にUNIFINEを構成する主なソリューション・パッケージについて,位置づけと特徴,概要を述べる.
国際競争時代のコスト構造改革と需要拡大を支える 航空基幹システムの世代交代「AirCore」
航空業界で中核をなす基幹システムとして,航空予約システムが挙げられる.大手航空会社にて使用されている航空予約システムの大部分は,1960年代から1970年代にかけてメイン・フレーム上で開発されたものであり,長年の機能拡張により,システムが複雑化・肥大化している.また,使用言語がAssemblerまたはFORTRAN主体のため,開発,保守を行う技術者の確保が困難でコスト高となっている.一方で航空会社にとってこのシステムは重要な戦略システムであり,市場のニーズに迅速に対応するため,短期開発と間断の無いIT投資が必要とされている.米国Unisys社(以降Unisys)はこの問題を解決するためオープン・アーキテクチャをベースとしたAirCoreの開発に着手した.AirCoreは,コスト削減,短期開発を可能とすると共に,より戦略的な顧客中心のシステム基盤を提供する.また,サービス指向アーキテクチャに基づきアプリケーションが明確にモジュール化されており,他のモジュールに対する依存度を最小限にすることにより開発の容易性,保守性を確保している.さらに開発手法として,Unisysの開発技法URUP(Unisys Rational Unified Process)を採用しており,開発リスクの軽減と品質維持を図っている.AirCoreの開発は,汎用機で培った基幹業務系開発運用ノウハウを活かしたURUPをベースにとした開発手順に構成管理とプロジェクト管理が組み込まれているのが特徴である.本稿はこれらを簡単に紹介する.
競争を勝ち抜くためのマーチャンダイジングソリューション 「OpenCentral®/OpenCentral® plus」
メーカー起点の店づくり(プッシュ型ビジネス)から顧客起点の品揃え,販売(プル型ビジネス)へと小売業のビジネスモデルは大きく変化している. 一方,取引先とのパワーに基づいた取引関係,長年の商慣習,様々な“標準コードや手順”により非効率になっているサプライチェーンから情報の共有を基本とした企業間連携により全体最適を目指す動き,いわゆるコラボレーティブコマースが注目されている. 本稿では,顧客起点のマーチャンダイジングとコラボレーティブコマースを強力に支援するソリューションを紹介する.
グローバル環境におけるコラボレーティブ・エンジニアリング
近年製造業は,海外へ積極的に進出している.そのため製品開発分野において,グローバルな環境での協調設計・開発が大きな課題になってきている. 本稿では,これらの経営課題に対し業務上の対策を整理している.さらに,製品開発分野における留意すべきIT 面での課題もあわせて整理している.IT を用いて支援できる機能としてはPDM(Product Data Management)/PLM(Product Lifecycle Management)を紹介し,いくつかの事例から共通的に見られる実現化への運用上の工夫点と留意点をエンジニアリング・データ管理,エンジニアリング・データの流通,プロジェクト管理の視点からまとめている
電力自由化におけるリファレンスモデル活用の課題解決アプローチ
2005年に電力小売自由化範囲が高圧需要にまで拡大され,販売電力量の65%が自由化の対象となり,厳しい販売競争時代に入った.法制面では,地球環境対策や国際会計基準への対応,今後SOX法への対応なども求められ,また,エネルギー形態の多様化やお客さまの生活環境の変化により電力会社に求められるサービスや技術も多様化してきている. このような電力会社の経営環境においては,従来の部門別・業務領域別の局所最適の業務・システム構築から,より上位のレベルでの全体最適を志向した業務・システム構築へシフトしていくことが重要と考える.日本ユニシスでは,事業の最適化検討にあたり,論理的でかつ,合理的な検討アプローチが必要と認識してきた. 本稿で紹介する「電力ソリューション」は,そのような認識から,数年前より企画・整備を進めているものである.「電力ソリューション」は,最適化アプローチの方法論と,電力事業全般にわたる業務をリファレンスとして整備したモデルから成り,合わせて活用することで,業務検討を支援し,企画段階から情報システム構築までをつなぐものである. 実際に複数のお客様に採用頂き,検討期間が短縮できたこと,業務が可視化され潜在課題の把握や検討が可能となったこと,方向性判断に際しての論拠が明確になったことなどの評価を頂いている一方,お客様の将来モデルを描くための方法論整備などの課題もあり,今後,より良いものになるよう継続的に進化させる予定である. 本稿では,ソリューションの概要,実践事例の一部を紹介するとともに,今後の課題などについて論述する.電力ソリューションの考え方は,電力業界のみならず,様々な業界でも十分活用できるものである.
電子自治体の構築に向けた新たなソリューション・ビジネス「システム統合基盤」
国の施策とするe—Japan戦略は,2005年度を目標に先進的IT国家を目指すとしている.地方自治体においても電子自治体の構築を推進すべく,これまでネットワークやPC等の普及となるインフラ整備がされてきており,今後は地方自治体の業務システムの全体最適化に係る,新たな情報化に向けた取り組みを推進している.本論文では,国及び地方自治体の施策事業に伴う取り組み動向を把握し,地方自治体の新たな情報化に向けた日本ユニシスのサービス・ビジネスについて,筆者が同事業に携わってきた経験を基に,全体最適に向けた「あるべき姿」を提言すると共に,全体最適化を支えるシステム統合(連携)基盤の創出について述べる.
次世代ネットワークサービスを支えるリアルタイムOSSへの考察 ——テレコム分野で活用がすすむ次世代OSS基盤
インターネットの爆発的普及に伴うネットワーク帯域需要の急激な拡大により,電気通信事業者のサービスは大きなパラダイムシフトを迎えている.これまで,通信サービスを支えるOSS(Operations Support Systems)は,可用性,信頼性,および,パフォーマンスといった,具体的な要件を満たすために,独自のハードウェア装置やプラットフォームの上に構築されてきた.結果として,オープン化や標準化の促進を阻害し,旧態然としたアーキテクチャは,市場の急激な変化に柔軟に対応することができない状況を作り出している. このように,大きな変換期を迎えたOSSでは,従来にない堅牢でパフォーマンスに優れた新しいオープンプラットフォームを求めており,いくつかの業界コンソーシアムやコミュニティでは具体的な仕様検討や製品実装がはじまっている. 本稿では,OSSプラットフォームの抱える課題を取り上げ,理想的なアーキテクチャを考察すると共に具体的なソリューション例を紹介する.
高等教育機関におけるIT 活用の方向性 ——全体最適を目指すソリューション「RENANDI®(レナンディ)」
高等教育機関は,現在,少子化や国立大学独立法人化などにより競争が激化し,2007年全入時代を控え変革期を迎えていると言われる.人材育成や教育を重視した国の施策,教育機関の格付け・第三者評価といった影響もあり,教育の質の向上や教育・学習プロセス評価の可視化が求められると共に,学生サービス,地域貢献,産学連携など差別化へ向けて,ITを活用した取り込みが始まっている.一方,IT投資が有効に機能せず,必ずしも成果に結びついていないという問題がある.日本ユニシスは,1998年より,産官学共同で研究開発した基盤システムを中核としたソリューション「RENANDI」を提供し,高等教育機関全体のIT最適化を目指している. 本稿では,高等教育のグローバル化・ネットワーク化や大学の統廃合が進む中,多様化・高度化する教育形態や社会ニーズに対応するためのIT活用の方向性を,RENANDI適用事例を交えながら示す.
BPMアプローチによるSCM改革
SCM改革実践例が増えている中,SCM改革の典型的ハードルも明らかになってきている.それらはSCM改革に限らずある規模以上の改革プロジェクトに共通のものと,SCM改革に固有のものとに大きく分かれる.本稿ではこうしたハードルを乗り越えるためプロジェクト設計・運営にBPMアプローチが有効であることを論述する. まず典型的ハードルを述べた後,それらを乗り越えるための6つの視点を提示する.特にそのうちBPMアプローチを取り上げ,まずその考え方とSCM改革に適用するメリットを紹介する.続いてシステムの要件定義に先立つ上流工程であるSCM構想策定の進め方をステップ毎に具体例と共に解説し,最後にプロセスモニタリングの意義を議論する.
エンタープライズソリューションと情報基盤の課題
技報25周年特集号は,ソリューションを中心とした特集(今号)と基盤技術を中心とした特集(次号)で日本ユニシスグループの技術を紹介することを目指す.本稿はこの二つの特集を結びつけることを意図している. 昨今のアプリケーションソフトウェアは,その利用の拡大によって今日の技術では解決が困難な課題を生んでいる.ソフトウェアの枠組みを現在と将来の課題に適合させることが解決の鍵である.そこで本稿は企業活動と情報システムがどう関連しているかをより深く理解することを目的とする.この二つを関連付けるIT能力を「実行」「統制」「協調」の型に分類した.この分類に基づいて,今回の特集で取り上げたソリューションを分析し,解決が求められる特徴的な技術的課題を示した.