一般号
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2001年11月発行 Vol.21 No.3 通巻71号一般号
映像におけるリズム情報の分析
マルチメディア素材の同期合成のための特徴情報として使用することを目的として,映像素材からリズム情報を抽出する技法を提案する.一般にリズムには固定周期に基づいた固定リズム(拍節的リズム)とそれ以外の自由リズムとがあり,それらは時間的アクセントの配置パターンにより特徴付けられると考えられる.映像のリズムの多くは自由リズムに属する.本提案技法では,まずS.M.Eisenstein のモンタージュ理論に基づいて,映像の物理的リズムがショット長,動き,テクスチャおよびそれらの複合により表現されるものと考え,その時系列変化量を抽出する.次に,その映像のリズム特性が固定リズムか自由リズムかに応じて,時系列特徴点列の抽出およびその周波数解析によりリズムパラメータを抽出する. 本稿では,自由リズムの代表事例として,本技法をS.M.Eisenstein の映像シーンの解析に適用し,その有効性を検証した.実験の結果,本提案技法によって,テクスチャ主体の映像(トーン・モンタージュ)と動き主体の映像(リズミック・モンタージュ)との違いが識別できること,また,使用した解析技法の中で特に空間周波数解析が映像のリズム解析に有効であり,テクスチャの解析に加えて,視野サイズや動きの解析にも効果的であることが明らかになった.
インタラクティブマルチメディアプレゼンテーションのための同期制約管理モデル
本稿では,インタラクティブマルチメディアプレゼンテーションのための同期制約管理モデルを提案する.このモデルにおいて,全てのオブジェクトおよび双方向イベント間の同期はAllen の時区間論理を拡張した同期制約で記述される.このモデルの特長はどのオブジェクトからでも全てのオブジェクトとの関係が記述されていることである.また,同期制約を作成するアルゴリズムも合わせて提案する.これらの提案により同期制約の追加,削除,不足検査,矛盾検査,プレゼンテーションデータの動的生成といったインタラクティブマルチメディアプレゼンテーションシステムで必要な機能を実現することが出来る.さらに,本モデルをリレーショナルデータベースに適用するスキーマを提案し,プレゼンテーション作成者および利用者が必要となる問合わせ例を示す.
レーザビームプリンタの印刷データ転送技術
通信販売業では,商品の仕入れを買取りで行っているため,売り切れによる機会損失や売れ残りによる過剰在庫が発生して深刻な問題になっている.そのため,商品発注を適正化するために,受注予測システムの開発に力を入れているが,満足なものは完成していない. 本稿で報告する受注予測は,通販会社でカタログを配布し始めて2 〜4 週間後に,それまでの受注傾向をもとに個々の商品の最終受注数を予測するものである.現在3 社で本番または試行を行っているが,いずれも的中率で10 〜20 %程度の改善がなされている. 今回開発した予測モデルは,発売日があり,販売の有効期限が決められた場合の途中の受注傾向から最終受注数を予測するためのものである.この販売形態は通信販売だけではなく,鉄道や航空機の予約や旅行の販売などでも同様であり,それらへの適用も可能である.
通信販売業における受注予測モデル
CADにおける知識の利用形態
近年,設計ルールなどの設計知識を利用したCAD 機能の発表が相次いでいる.設計知識とその利用技術には様々なものがあるため,本稿ではCAD システムが扱う幾何形状に着目して,形状データを利用するときの前提条件の違いから設計問題を分類する.そして,分類した設計問題の特徴と現状の課題から,問題解決に必要な知識と機能を抽出し,それらの機能をCAD システムで実現する上での要件を明らかにする.試行錯誤を伴う設計作業をインタラクティブに支援する知識の利用機能を実現することが,高品質で効率のよい設計作業を支援するCAD システムには不可欠であることを主張する.
意匠面創成のための曲率単調曲線生成技術
意匠面とは,乗用車の外板形状のように意匠性を要求される製品の表面形状である.これをCAD で設計するための重要な要件の一つとして,曲率単調曲線の生成技術を解説する. 調査の結果,Roulier らの論文が応用微分幾何的な基礎論文であることが判明した.本稿では,この論文の骨子を解説するとともに,曲率単調曲線生成機能の実装にどのように適用すればよいかの展望を論ずる.