Windows® Data Center — エンタープライズサーバ時代を切り拓くCMPアーキテクチャ
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2000年8月発行 Vol.20 No.2 通巻66号Windows® Data Center — エンタープライズサーバ時代を切り拓くCMPアーキテクチャ
巻頭言
特集「Windows® Data Center —エンタープライズサーバ時代を切り拓くCMPアーキテクチャ」の発刊によせて【PDF】(16.2 KB)
論文
- ビジネス即応型企業情報システムの実現を目指して
- データセンタの新しい潮流“Windows® Data Center”
- CMP(Cellular MultiProcessing)アーキテクチャに基づくエンタープライズサーバ: Unisys e-@ction Enterprise Server ES7000
- Unisys e-@ction Enterprise Server ES7000を支えるソフトウェア新技術
- Unisys e-@ction Enterprise Server ES7000のメインフレーム同等のRAS技術
- W2KCOE(Windows 2000 Center Of Excellence)Tokyoの紹介
- 高可用性システム達成のための顧客企業側からのIAサーバ評価 —ECA活動とその目指すところ
- 保健福祉総合情報システムにおけるクラスタシステム適用事例 —OPSを活用した大規模高可用性システムの構築
- COMDEXへの米国ユニシス出展事例をベースとした大規模トランザクションシステムの構築
- 顧客アプリケーション構築を支援するイネーブラ
- イネーブラ:DRB—エンタープライズアプリケーション統合に向けたアプローチ
- Enabler IntraBuilder/InfoShare —イントラネット向けのWebアプリケーション構築共通基盤
- エクストラネットにおけるイネーブラの必要性
- シンクライアントソリューションによるシステム構築事例
- 異種ベンダツール連携による統合開発環境基盤
ビジネス即応型企業情報システムの実現を目指して
地球規模のデジタル経済が台頭する中で情報技術を活用した新ビジネス創造とビジネス課題解決が求められている.これに対応してUnisys e-@ction Solutionsの設計思想のもと日本ユニシスは商品(サービス・製品)の整備を進めている.Unisys e-@ction Solutions策定の際に取り組んだ課題は,ビジネス面の「企業の業務モデル設定とソリューションの対応付け」と,技術面の「市販製品の付加価値統合によるエンタープライズ・コンピューティングの実現」である.本稿ではUnisys e-@ction Solutionsの詳細を紹介する
データセンタの新しい潮流“Windows® Data Center”
Eビジネスの本格的普及が始まっている.現在のUNIX中心のデータセンタに“Windows 2000 Datacenter Server”と日本ユニシスが平成12年3月8日に発表した“Unisys e-@ction Enterprise Server ES7000”との組合せによるWindowsベースのデータセンタの新しい潮流“Windows Data Center”がその姿を明らかにした.本稿では,データセンタの現状を俯瞰しながら,新しく出現した“Windows Data Center”の特長を明らかにする.
CMP(Cellular MultiProcessing)アーキテクチャに基づくエンタープライズサーバ: Unisys e-@ction Enterprise Server ES7000
インターネットの急速な世界的普及と共に,e-コマースと呼ばれる電子商取引が盛んに行われるようになり,また基幹業務系へのオープン系サーバの適用が増え始めるにつれ,これまでのオープン環境を支えてきたサーバ群では能力,拡張性及び信頼性等の面で,顧客要求を十分に満足させることは難しくなってきている.ユニシスは,汎用機での永い歴史の中で培った高度な信頼性,可用性,拡張性,操作性等の機能をサーバに取り入れ,インテルCPUベースの高性能且つ大容量なWindows OS環境で動作するシステムを作り上げた.これがCMPアーキテクチャに基づくES7000サーバである.最大の特徴は高い信頼性に裏付けされた高可用性の確保と共に,最大32個のCPUと最大64GBのメモリを使った大規模SMP(Symmetric Multi Processor)の提供やビルディング・ブロック方式での設計を活かして最大8個のシステムに分割し,それぞれ独立したOSで動作可能というユニシスの歴代メインフレームで採用しているパーティショニング機構による高い拡張性とシステム柔軟性を実現している点である.本稿では,CMPアーキテクチャの実装技術とES7000の特徴を中心に説明する.
Unisys e-@ction Enterprise Server ES7000を支えるソフトウェア新技術
今日の急速なアプリケーション規模の成長により,サーバのスケーラビリティが強く求められている.ユニシスはこの要求に応え,ユニシス独自のCMP(Cellular Multiprocessing)アーキテクチャによるUnisys e-@ction Enterprise Server ES7000(以降,ES7000と記述)を開発した.このアーキテクチャには二つのスケーラビリティの要素がある.一つは最大32CPUまでの大規模SMPであり,もう一つは,システム全体を最大八つまで論理的に分割して個別に稼働させるパーティショニング機能である.また,ソフトウェアの新技術としては,分割した各パーティション間でメモリの一部を共有する「共有メモリ」機能がある. 本稿では,ソフトウェアの新技術である共有メモリに焦点をあて,その仕組みや利用方法などを説明する.
Unisys e-@ction Enterprise Server ES7000のメインフレーム同等のRAS技術
ユニシスが長年培ったメインフレームのアーキテクチャを最大限に使い,Eビジネスを中心とするビジネス・クリティカル市場へ満を持して送り込むCMPアーキテクチャを採用したプラットフォームの最初のプロダクトであるES7000は,従来のオープン系サーバでは実現できていない高い信頼性,可用性と保守性,即ち高RAS機能を提供している.CMPプラットフォームで採用されているクロスバー技術は,単一のサーバ内で最大8パーティションまでの分割を可能にしながら,障害時に懸念される他パーティションへの影響を完全に排除している.また,ホスト・サーバと独立したサービスプロセッサ内で稼働するIMSは,このCMPプラットフォームのハードウェアと相まって,卓越したRAS機能提供の中核としての役割を担っている. 本稿では,CMPプラットフォーム上で実現されるメインフレーム並みのミッションクリティカル・システムに相応しいRAS技術について述べる.
W2KCOE(Windows 2000 Center Of Excellence)Tokyoの紹介
日本ユニシスは,最新ITをベースとした競合力の高いビジネスクリティカル・システムの提供が顧客ビジネスの変革のためには必須と考え,サービス面からの支援に関してはeNTECを活用したワンストップ・サービスを提供してきた.2000年4月からは,より強化された総合サポート・サービスを提供するために新たにW2KCOE Tokyoを立ち上げた.W2KCOE Tokyoではマイクロソフト社のWindows 2000 Datacenter ServerとユニシスのUnisys e-ction Enterprise Server ES7000を基盤プラットフォームとして“Windows Data Center”を実現するための各種サポート・サービスを提供する.本稿ではこのW2KCOE Tokyoの概要を紹介する.
高可用性システム達成のための顧客企業側からのIAサーバ評価 —ECA活動とその目指すところ
ECAは,日本における各業界のトップ企業により構成されたIAサーバ・ユーザ団体である.企業活動のあらゆる分野におけるIAサーバの活用を目指し,1998年の春に設立された. 1998年の春に実施したユーザアンケート調査の結果,トラブルが比較的多く,信頼性に関する評価が低い一方で,ユーザ自身も十分な信頼性向上のための対応を行っていないことが明らかとなった.このため,IAサーバの信頼性確保策の明確化,さらにはこれの実現に必要なベンダとの情報交換作業の明確化を行う必要があると考えた.その成果をホワイトペーパやガイドラインとして公表した. すでに,幾つかの企業が,IAサーバを高可用性のもとで利用している.このような活動を通じてIAサーバの普及に拍車がかかるものとECAは信じている.
保健福祉総合情報システムにおけるクラスタシステム適用事例 —OPSを活用した大規模高可用性システムの構築
本稿に収められている内容は,ビジネスアプリケーション分野にエンタープライズNT技術を適用した事例である.大規模な基幹業務系システムへのPCサーバ適用事例は未だ豊富とは言い難い状況の中で,高可用性を追求した信頼性の高いシステムを実現すべく如何にシステム構築を実施したかを述べる.特に並列型負荷分散クラスタリングに焦点を当てながら業務システム分野への適用を技術面及び運用面から論じる.
COMDEXへの米国ユニシス出展事例をベースとした大規模トランザクションシステムの構築
Windowsシステムを基盤としたシステム開発が急増する中で,ミッションクリティカルな大規模システム開発事例はなかなか急増しない状況にある.本稿では,米国ユニシスがMicrosoft社,EMC社等パートナー企業10社の市販製品を使用してCOMDEX’99で実証したWindows2000を基盤としたOnLineTransaction Processing(OLTP)システムとData WareHouse(DWH)システムをWindowsシステムの大規模システム構築事例として紹介することで,Windowsシステムがミッションクリティカルな大規模システムの構築に耐えうるものであることを明らかにする.
顧客アプリケーション構築を支援するイネーブラ
オープン系システム構築では,市販ソフトウェア商品の利用が前提であり,複数のソフトウェア商品を組み合わせてその上にシステムを構築する.この為,それらの組合せ技術や利用技術が必要となる.日本ユニシスはこれらの技術をソフトウェア化することで,顧客が業務処理にのみ専念してシステム構築を目指すことができるイネーブラソフトウェアを提供している. イネーブラソフトウェアは,市場のニーズとテクノロジの双方向で捉えた方法論(マーケットV手法)を利用して創出する.対象とするソリューション分野を選別し,その対象分野に応じた具体的なソリューション事例を摘出し,その機能要件に対してどの機能がイネーブラとして提供でき,どの部分に利用者専用のカスタマイズ用のエリアを埋め込むかを定義する.イネーブラでは,市販ソフトウェアが持つ機能に業務的な機能要件を付加した形で提供し,利用者は業務に則した機能として利用できる.これにより,市販ソフトウェアのバージョンアップによる非互換や組合せ技術を吸収し,利用者からのインタフェースを変更しなくても利用可能にする. イネーブラソフトウェアによって,市販ソフトウェア商品の適用技術をソフトウェア化することで,保守性の向上やソフトウェア資産の延命化を図ることができる.
イネーブラ:DRB—エンタープライズアプリケーション統合に向けたアプローチ
DRBは,システム連携要素技術であるエージェント技術やXMLを使用し,エンタープライズ環境にある様々なデータやアプリケーションを統合するイネーブラである.情報システムに求められている最新のシステムは,インターネット時代の多様化するビジネスへ柔軟に対応することであり,蓄積された情報資産を有効活用することである.本稿では,エンタープライズ・アプリケーション統合を目指すDRBの設計思想および,DRBのビジネス・プロセスの自動化にむけた取り組みを紹介する.
Enabler IntraBuilder/InfoShare —イントラネット向けのWebアプリケーション構築共通基盤
インターネット上へ情報発信する技術として発展したWebは,現在企業内システムのイントラネット上でも本格的に利用されている.このイントラネット環境でのWebアプリケーションの構築をサポートするソリューションイネーブリング・ソフトウェアとして開発されたのがIntraBuilder/InfoShareである. 本稿ではこのIntraBuilder/InfoShareの基本機能である情報へのアクセス権限を一元管理するためのコンポーネントを提供する「個人別情報サービス」と,電子メール,電子掲示板,スケジュール管理,回覧型ワークフローなどのグループウェア・ソリューションを提供する「情報共有サービス」について解説する.
エクストラネットにおけるイネーブラの必要性
エクストラネットの概念はWebEDIやインターネットEDIといった具体的用語の出現に伴い,最近では議論されることが少なくなったが,この概念を曖昧にしたままビジネスに取り組むことは得策ではない.エクストラネットは,イントラネットやインターネットアプリケーションと似たような技術を使用するが,特有の考慮すべき点が存在する. これらの事項に取り組みつつ,ビジネススピードを落とさずにエクストラネットを構築するためのイネーブラとはどのようなものだろうか? この疑問を解くべく設計・開発したのがExtraBuilderである.ExtraBuilderはビジネスレベルのデザイン・パターンという考えを導入し,「テンプレート」と「サービス」というビルディングブロックを利用したスピード構築を可能にする.このためには粒度の粗いビルディングブロックとカスタマイズ可能な機構の両立が必要であるが,結果として,この手法はドッグスピードで進化し,そして一方で陳腐化するIT技術を前にしたIT部門のジレンマからの脱出のヒントになると考える. 本稿では,エクストラネットという技術領域において,イネーブラが成り立つのか,また成り立つとすればそれはどのようなものかを筆者らが開発したExtraBuilderの紹介を織りまぜながら考察する.
シンクライアントソリューションによるシステム構築事例
近年,クライアントサーバシステムの採用が拡大するにつれクライアント側PCでの処理負荷や管理負荷が増加しつつある.これらに対応するためにクライアントPCのシステム構成や処理内容等を変更したくても,社内に大量に設置されたり地域的に分散したクライアントPCを一括管理していくことは大変な作業になってきている. シンクライアント環境は既存のクライアント環境にこだわることなく新たなソフトウェアの導入を可能にする,ソフトウェアの配布作業を行うこと無しにクライアントPCのバージョンアップを実施できる,既存システム環境に同居した形で新システムの構築を実施できる,そしてサーバ側でソフトウェアバージョンを一括管理することが可能となる等々の優れた特徴を持っており,この環境にもっと注目が払われても良い. 本稿では,WindowsNT4.0 Terminal Server Edition及びMetaFrameを基にしたシンクライアントシステムの考え方,特徴,利点などを述べると共にこれを使ったシステム構築事例を紹介する.
異種ベンダツール連携による統合開発環境基盤
Windowsシステム環境でのアプリケーション開発ツールは,最近ますますその種類が増えるのみならず,その機能強化も急速である.世の中に存在する数多くの開発ツールの中から苦労してみずからのアプリケーション開発に使用するツールを選択したとしても,これらのツールの機能は,開発工程の一部分をカバーするだけである事が多い.例えば,モデリングツールは,オブジェクトモデルを生成する作業に有用であるが,コードを記述・編集する機能については,言語系製品を凌駕する事はない.開発工程としてはモデリングからコード作成・編集及びデバック・テストと進みたいにも拘わらず,それぞれのツール間でのギャップの存在を意識せざるを得ない.また,一度使用を決めたツールを,より機能に優れた他のツールに置き換える事は,それまで作成してきたソフトウェア資産を放棄する結果をもたらしかねず,止む無く旧来ツールの使用を継続しなければならなくなる. IntegratePlus IntegratePlusは,これらの課題を解決し,eNTでのアプリケーション開発環境を整備するためのインフラストラクチャの役割を果たすものである.その具体的な機能としては,種々の異なるベンダーから提供される開発ツール間での情報の受け渡しをオブジェクト・リポジトリを介して可能とし,シームレスなツール連携を実現するものである. 本稿では,IntegratePlusが異種ベンダーツールをどのように連携させ,統合開発環境を実現しているかの概要を報告する.