日本ユニシスグループの力Ⅱ
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2020年6月発行 Vol.40 No.1 通巻144号日本ユニシスグループの力Ⅱ
日本ユニシスの各部門とグループ各社,そして大日本印刷の注力技術を選抜して紹介する特集号の第二弾として, 144号「特集:日本ユニシスグループの力Ⅱ」をお届けします.本号では,産学公連携によるコミュニティとウェルネス事業,MaaSとオンデマンド交通,クラウドサービスと企業の接続に関する最適解とSD-WAN,養豚業における繁殖作業のデジタル化,5Gの技術的特徴とビジネス普及に向けた制度の動向,ITILによる運用標準化,そしてAIを活用したレイアウト自動生成についての論文及び記事を掲載しています.
ICT企業が考える産学連携/地域活性化とは
少子高齢化に起因する健康関連課題を解決するための一手段として,日本ユニシスは産学公連携のアプローチを試行した.熊本県合志市において大手フィットネス企業,事業運営会社,熊本大学と連携して健康管理サービスを構築し,合志市の社会課題であった住民の健康寿命増進に一定の成果を上げた.今後は参加者数を増やしてビジネスエコシステムへと発展させる展望も開けた.
地域交通課題を解決するモビリティサービス
地域交通課題を解決するには,利用者にとって公共交通利用が促される利便性の高いサービスを提供し,交通事業者の経営を改善させて公共交通の維持と発展を図り,併せて中心市街地の賑わいを取り戻してまちづくりと地域振興を図ることが肝要である.日本ユニシスはこの視点をもってMaaSやオンデマンド交通といったモビリティサービスの実証実験を大津市や新潟市において実施し,地域の交通課題解決に向けたモビリティサービス事業に取り組んでいる.この取り組みは将来の公共交通の在り方を追求するものであるとともに,スマートタウン実現への効果的な第一歩となる.
クラウドサービスと企業ネットワークの接続に関する最適解
企業ITインフラの選択肢として第一にクラウドサービスを検討する状態になりつつある中で,従来のネットワーキングの仕組みでは対応できない局面も発生している.クラウドサービスと企業の接続に関する最適解を実現するSD-WAN(Software-Defined WAN)技術が製品化され活用されている.SD-WANでは,コントローラーがすべてのルーターを制御することにより,アプリケーションを識別した経路制御のような高度な制御や,各ルーターの設定の自動生成と配布ができるようになる.
養豚業におけるスマート農業
豚の食肉需要は安定的である一方,IT化は遅れており,また近年では伝染病による事業リスクも高まっている.人材面では,中小農家は高齢化による事業継承に課題を抱え,大規模農家は働き方改革による限られた労働時間での高い生産性が求められている.このような状況下で,繁殖成績に影響する受胎率,産子数の向上を目的に,母豚の分娩サイクルにかかわる作業の自動判定化に向けた実証を行った.具体的には「人工授精に使用する精液の品質評価」と「母豚分娩の予兆検知と分娩検知」である.今回,中小農家への導入を視野に汎用的な機材を活用し,安価なマイクロスコープや光学カメラで得られた画像を用いた行動分析を通じて,自動判定化の可能性について評価を行った.本実証を通じ,実験数が十分ではなかったものの,一定の成果を得ることができた.今後は,データをさらに蓄積していくことで判定精度の向上に繋げる.
【記事】5Gがもたらす次世代ビジネスの展望
IT運用標準化を実現するITサービス基盤
ユニアデックスではグローバルで活用されているServiceNowを導入し業務プロセスの標準化を推進した.それと同時に既存業務のノウハウを抽出し統合する機能を開発することでIT運用管理の多様な業務プロセスを取り込み標準化するITサービス基盤の実現に至っている.これにより従来不明瞭であった運用管理業務の可視化と定量化が実現し,継続的な測定と改善を統一的に行なえるようになった.ユニアデックスでは同様の機能をあらゆる顧客に提供できるようITサービス基盤の顧客向けの提供も開始している.
AIを活用したグラフィックデザイン雑誌のレイアウト自動生成システム
大日本印刷株式会社(以下,DNP)は,AIを活用したグラフィックデザイン雑誌のレイアウト自動生成システムの開発を進めている.本システムでは,入力された素材となる画像,テキストから,内容及びデザイン性を考慮した適切なレイアウトを自動で生成する.レイアウト生成処理は最低限のルールを守ったランダム処理によって行われ,多数の候補が生成される.これらの候補は,過去に制作されたデータから,スタイル,デザインをランキング学習した推定器によってその作品らしさが評価される.そして,その作品らしさが高い,かつ,多様性に富んだ一定個数のものをユーザに返す.ユーザは,自動化によりレイアウト作成業務を大幅に効率化できるとともに,魅力的な複数の案が提示されることにより,従来の発想の幅を広げることが可能となる.本稿では,AIを活用したグラフィックデザイン雑誌のレイアウト自動生成システムについて,取り組みの背景,仕組み,現状の性能評価結果,今後の展望について紹介する.