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間接オークション制度とは: Enabilityコラム

導入後の連系線ルールの変更点について解説

導入後の変更点のルールについて解説

電力広域的運営推進機関(OCCTO)により2018年10月1日より連系線の割当は「先着優先ルール」から「間接オークション制度」へと変更されました。間接オークション制度の導入に伴い、変更されたルールや制度のポイント、経過措置についてわかりやすく解説していきます。

間接オークション導入の背景

2016年4月の電力小売全面自由化に伴い、発電と小売電気事業が自由化されました。ただし、送配電網については旧一般電気事業者が設備投資や維持管理を独占し、経済産業省の規制のもとで運営されています。現状ではエリアごとに管理した方がコストが小さいとされつつも、2020年には発送電分離が進められました。

この規制緩和の中、地域間の連系線利用はこれまで登録事業者が利用計画を提出した順に送電を割り当てる「先着優先ルール」が使われてきました。しかし、安価な電源があっても容量が埋まっていれば利用できず、競争上の不公平が問題となっていました。また、2016年より電源差替えが可能になったことにより、特定事業者が有利になる問題も生じていました。
より安い電源から動かす「広域メリットオーダー」を促すため、入札価格の安い順に送電を可能にする「間接オークション」が導入されました。目的は公平な環境下での効率的利用と広域メリットオーダーの推進です。

間接オークション制度とは

間接オークション制度では、全ての連系線容量(マージン分除く)を日本卸電力取引所(JEPX)の市場で前日スポット取引により割り当てる仕組みになります。残余容量は1時間前取引市場にて再度割当が行われます。
これにより、従来の利用計画提出制度は廃止され、容量登録は前日スポット取引以降に実施されるようになりました。

現行の仕組み(いわば、先着優先と間接オークションのハイブリッド)>間接オークション:原則、全ての連系線容量をスポット市場に活用

間接オークション制度によるルール変更

間接オークション導入に伴い、「先着優先ルール」から以下のような主要な変更が行われました。

連系線利用についての変更

従来の先着優先ルールによる容量登録は廃止され、JEPXを介したスポット市場取引での割当となりました。これにより、安価な電源が優先されるメリットオーダーが機能し、公平な競争と効率的利用が促進されます。

現行の連系線管理>間接オークション導入後イメージ

主な変更内容

  1. 地域間連系線管理方法の見直し
    ・連系線利用計画の廃止、容量登録は前日スポット取引以降に実施 
    ・利用計画に関する内容削除 
    ・契約認定や変更賦課金による空押さえ抑制の仕組みは廃止
    ・翌々日断面の追加による容量算出の見直し 
    ・長期断面の「電力市場整備のためのマージン」の廃止(ただし安定運用マージンは維持)
  2. マージン設定断面の見直し
    ・翌々日断面における実需給断面を考慮したマージン設定 
    ・「先着優先」に基づくマージン減少措置の廃止 ・断面設定を「長期・年間・翌々日」とする整理
  3. 出力維持等が必要な電源に関する優先約定

    長期固定電源(原子力・水力(揚水式除く)・地熱)は、供給安定性確保の観点から優先的に先行約定(価格面優遇ではなく、成り行き約定との比較での先行)

    ・特定電源側に制御装置がある場合も同様に優先
  4. 経過措置について

    2016年度策定の長期利用計画登録分に限り、20182025年度まで経過措置

    ・小売電気事業者が対象(送電者と合意できれば送電者にも措置可能)

    ・精算方式はオブリゲーション方式

    受電側は約定量が計画値未満の場合、補填清算は不可。送電者が正当理由なく計画値未満の場合には措置停止など監視を実施
  5. 混雑処理

    ・市場約定以前の混雑処理は不要

    ・約定後に系統制約が生じた場合は按分抑制による混雑処理が必要

    ・前日スポット取引と1時間前取引は同順位で扱い、按分抑制を実施

需給状況監視ルールの見直し

連系線利用計画廃止に伴い、一般送配電事業者は週間計画以前に供給区域を跨ぐ取引予定分の計画提出が必要になりました。従来の計画を代替する形で、供給区域間潮流を想定するための詳細計画提出が義務づけられています。

計画策定プロセスの変更

従来は空容量が一定割合以下となった場合に連系線増強の検討が開始されていましたが、間接オークション導入後はこの空容量ベースの検討要件は削除されました。その代わりに、実績評価に基づく検討方式へ移行しています。

取引所ルール改定

日本卸電力取引所(JEPX)は連系線割り当て市場として国内で唯一機能する取引所です。間接オークション導入により取引所ルールが改定されました。以前の取引所ルールから改定された内容について詳しく見ていきます。

主な変更内容

  • 経過措置給付金の支給

  • 承認電源の入札方法追加

  • 特別取引会員の取引追加

  • 受渡契約の売買の別を設定可能に

  • スポット市場取引単位の変更(1MW ⇒ 0.1MW

  • 京都メカニズムクレジット掲示板売買の終了

間接オークション導入により、エリア間取引は全てJEPX経由となりました。新規参入者は取引会員登録が必要ですが、会員に委託することで参加も可能です。

経過措置給付金

経過措置計画に基づき、市場分断により値差が生じた場合、その差額を受電側に給付します。支給額はJEPXサイトにて事業者別に公表され、日々決済されます。対象は経過措置計画の買い手である受電側事業者です。コード不一致時は支給不可です。

承認電源ユーザー

承認電源用ユーザーとは、スポット市場において 価格を指定せず売り量のみを指定して最安値入札として扱われる特別ユーザーです。既存ユーザーも申請により変更可能です。

受渡契約の売買の別

改定前は受渡契約の売買は、エリアごとに1契約のみでした。間接オークションに伴う改定後は、エリアごとに売り・買いそれぞれの契約を設定することが可能になりました。従来1契約だった受渡契約は、売り・買い別に設定できるよう改定されました。売買両方を同一契約にすることも可能で、経過措置給付金ではコードの一致が必須です。

間接オークションは新規参入促進の鍵

先着優先から間接オークションへの移行により、連系線の割当が公平化され、新規参入の障壁が下がりました。制度変更に伴いルールや登録方法が大きく変わったため、十分な理解と対応が必要です。

重要ポイント
  1. 間接オークション制度導入で連系線の公平な競争が実現
  2. 全連系線容量はJEPX経由の市場取引に
  3. 制度変更多数のため、事業者は十分な注意と準備が必要

BIPROGYのエネルギーソリューション

BIPROGYは約60年にわたりエネルギー業界向けのシステム構築で培った知見を活かし、エネルギーソリューションを多数提供しています。環境長期ビジョン2050を策定し、RE100加盟や非化石証書の活用、EV導入などを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

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