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特別企画(対談):キーパーソンが語る“DXB(DNP×BIPROGY)” の挑戦──人財交流編(後編)

2026年4月13日

研修運営の舞台裏を語る。設計の工夫、成果、そして未来へ

BIPROGY 仙北谷 学、DNP 鈴木茂雄 氏

2023年度にスタートした大日本印刷(以下、DNP)とBIPROGYの「新入社員合同研修」。前編では、両社の人財育成責任者が研修の意義と狙いを語った。後編では、研修の実務を担う大日本印刷株式会社情報イノベーション事業部 価値創造推進本部 人材・組織開発部の鈴木茂雄部長と、BIPROGY人的資本マネジメント部 人財開発室の仙北谷学室長が登場。「ワールドカフェ方式」を採用したプログラム設計の工夫や取り組み開始から約3年を経て見えてきた成果とこれからの課題、そしてリーダー層への展開など、研修運営の舞台裏と今後の展望を語る。

研修設計の工夫──「ワールドカフェ方式」で広がる対話

—改めて合同新人研修の狙いについて教えてください。

鈴木 氏

合同新人研修は、BIPROGYさまからのご提案をきっかけに2023年度にスタートしました。DNPとしては、このような形での取り組みは初めての試みでした。研修の運営は、私が所属する情報イノベーション事業部とBIPROGYさまの人的資本マネジメント部が担当しています。

DNP 鈴木茂雄 氏

大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部
価値創造推進本部 人材・組織開発部 部長 鈴木茂雄氏

狙いは、新入社員の段階から両社の交流を深め、将来的な共創につなげることです。お互いの事業や強みを理解し、いつでもコミュニケーションできる関係を築くことで、共創パートナーとしての基盤をしっかりと構築していきたいと考えています。

仙北谷

入社して間もない新入社員にとって、外部の文化に触れることは重要だと考えています。当社では、新人研修中にグループ会社と合同で研修を受講することはこれまでもありましたが、外部企業との交流は今回の研修が初めての経験となります。

BIPROGY 仙北谷

BIPROGY株式会社
人的資本マネジメント部 人財開発室 室長 仙北谷 学

BIPROGYでは、入社後に営業とエンジニアが合同で社内研修を受け、会社全体の理解を深めます。その後、専門性を高めるために営業とエンジニアはそれぞれの分野に特化した研修を受講します。なお、DNPさまとの合同新人研修には現在、営業メンバーのみが参加しています。

—合同新人研修の全体像について教えてください。

鈴木 氏

この研修は入社1年目の5月に両社の新入社員を対象に半日間で実施しています。プログラムは、まずお互いの会社を紹介し合い、その後グループに分かれて社会課題の解決策をディスカッションし、発表する流れです。2024年度までは「社会課題」という包括的なテーマでしたが、2025年度はより焦点を絞り、「地方創生」をテーマに設定しました。グループワークは24グループを6つのエリアに分け、ワールドカフェ方式を採用しています。最初のグループで話し合った後、メンバーを入れ替えて別のグループで新たな意見を交わし、最後に元のグループに戻って学びを共有する形式です。

仙北谷

研修の中では、世界を旅するようなイメージで、グループ名にも国の名前をつけています。議論がうまく進んでいるか、停滞していないか、エリアごとに配置された両社の運営スタッフが見守ります。

—プログラムを設計する上で工夫した点はどんなことでしょうか?

鈴木 氏

やはりワールドカフェ方式を採用したことが大きなポイントです。この形式なら、1つのグループだけで議論が完結せず、より多くの人のアイデアに触れながら、対話を深めることができます。また、すべてのグループが全体発表する時間を確保するのは難しいため、エリアごとに予選会を設けました。各エリアで選ばれた6グループが、全体で発表します。全グループの発表はできなくても、エリア代表として発表するという雰囲気を演出する工夫をしています。

合同新人研修の様子(写真は2024年度)

当日の様子:DNP資料

—合同新人研修の発表で印象に残っているエピソードがあれば、教えてください。

鈴木 氏

DNPでは、入社後約1か月半をかけて会社や事業部の強みを、導入教育として徹底的に学びます。事業部での導入教育期間中にグループワークとして、会社紹介のための簡単な資料をつくり、発表をする時間があり、そこで最も評価の高かったチームが合同新人研修で自社紹介を担当する仕組みです。正直BIPROGYさまの前でしっかり発表できるか心配していましたが、その不安は杞憂でした。堂々と立派に発表していました。

仙北谷

当社も、会社紹介をするグループは選抜制にしているのですが、「ぜひ私に会社紹介をやらせてください!」と意欲的に伝えてくる社員もいて、熱意に圧倒されます。この研修をきっかけに、自社をきちんと知ろうとする思いを強く感じました。「地方創生」をテーマにした2025年度のグループワークに関しては、その思いを反映してか、人口流出や医療の問題など多彩な視点で数多くのアイデアが出てきました。また、学生時代のインターンシップの経験が生きているのか、新入社員たちはグループの中で自然に役割分担を決め、うまく議論を進めておりました。私たちの時代にはできていなかったことで、本当に感心しました。

仙北谷、鈴木 氏

鈴木 氏

私も仙北谷さんと同じ感想を持ちました(笑)。さらに感じたのは、面白いアイデアが本当に多いということです。社会人経験が長くなると、どうしても「ビジネスとして成り立つか」を軸に考えてしまい、発想が凝り固まりがちです。しかし、合同新人研修ではビジネスとしては成立しないかもしれませんが、アイデアとしてキラリと光るものがたくさんありました。自分の志に従ってフラットな視点で考えられるのは新入社員ならではの特権ですね。

また、先ほど触れたように、DNPでは入社後約1か月半の導入教育を実践しています。座学だけでなく、グループワークを多く取り入れ、対話や協働によるアウトプットの方法も学べるように設計しています。そこで得た経験が生かされ、新入社員たちのスムーズなグループワーク運営につながっていると感じます。

3年間の手応えと課題──次のステージに向けて

—過去3回の合同新人研修を経て、その手応えや課題にはどんなことを感じていますか。

仙北谷

2025年度の合同新人研修は、両社から70人ずつの計140人が参加しました。これは過去最多の参加人数です。3年間を経て、この取り組みが着実に実を結び始めていると実感する場となりました。また、研修に参加したBIPROGY側はもちろん、研修後のDNPさま側のアンケートにも「部署を超えるだけでなく会社を超えた交流はなかなかないためとても刺激になった」という声もあり、確かな手応えを感じています。

鈴木 氏

仙北谷さんのおっしゃる通り、うれしいことにDNPの他の事業部やグループ会社でもこの合同新人研修に関心を持ち、参加していただけるようになりました。一方で、参加人数の増加に伴う会場確保といった運営面での課題や、アンケート結果にあるように研修後に連絡を取り合える人脈づくりなどの課題も見えてきています。研修のゴールは、「両社の新入社員がお互いの強みを理解していること」「共創パートナーとして認識し、今後コミュニケーションができる状態」として設定しています。その点では確かな成果が出ている部分もあると感じています。

今後は、研修後のフォローアップの仕組みづくりも重要な視点です。2026年度の取り組みについては、じっくりと検討していきたいと思います。

2025年度のアンケート結果(抜粋)

相手方の会社と共同で行う今回のようなイベントにまた参加したいと思いますか?
相手方の会社がどういった会社であるか(概要、沿革、事業内容、強み等)を理解している。
【目的達成度】今後、連絡を取り合える人脈はできましたか?
アンケート結果及び次回に向けた検討事項

—この交流の先に期待することを教えてください。

仙北谷

新入社員時代にDNPさまと一緒に社会課題を考える経験は、各々の視野を広げ、より大きな視点から1つ1つの課題を捉える力につながると感じています。

鈴木 氏

私自身も、他社との交流を通じてお互いの強みを共有し、理解を深め合う経験が大きな成長につながることを実感しています。先ほど触れましたが、新入社員たちには「会社の枠を超えて協力できる」という意識が確かに芽生えているようです。今後の共創につなげていくためにも、非常に重要な取り組みだと感じています。

仙北谷

研修から事業部に戻ったときに、この経験をどのように生かせるかも次のステップに向けた重要な課題だと思います。常に社会課題を意識し、それをDNPさまと一緒に解決する意識を継続するための施策を今後考えていきたいと思います。

鈴木 氏

新入社員が成長し、重要なクライアントやプロジェクトを任されたとき、自分たちだけでは解決できない課題に直面することもあるでしょう。そのとき、この研修を思い出し、「BIPROGYさんに相談してみよう!」と思えるかもしれません。ぜひ、研修で築いたネットワークを生かしてほしいと思います。会社の枠を超えて、何でも話せる同期ができたと感じてもらえたらうれしいですね。この研修が、“未来共創の種まき”となり、両社でより大きな価値を一緒に社会に提供していけることを期待しています。

仙北谷

先ほど紹介させていただいたアンケート結果でも「一緒にビジネスをするイメージがつかめた」「今後共創できそうだ」という回答がありました。新入社員なので、まだ構想レベルであっても、その感覚やイメージをつかむことが大事です。そこを起点にしてイメージが次々と広がり、新しい発見や事業創出につながれば大きな成果です。研修プログラムの内容も、さらにブラッシュアップしていきたいと思っています。例えば、BIPROGYが得意とするITを生かして生成AIを取り入れてみるなど、お互いのアセットを持ち寄ることでより共創がイメージしやすくなります。

—ぜひ、「次の一手」の構想があれば、教えてください。

鈴木 氏

情報イノベーション事業部では、社外連携の強化とキャリア自律に向けた対話に力を入れています。これまで当社は、顧客からの依頼に応える受け身の体制でしたが、現在では、顧客と共創しながら課題を見つけていく関係性へのシフトに取り組んでいます。具体的には、事業部全員がデザインシンキングを学び、実践で生かせるよう工夫しています。

また、キャリア自律に向けた対話の質を高めるため、事業部独自で1on1支援ツール「kakeai(カケアイ)」を活用しています。月に最低1回は対話の場を設けるよう呼びかけており、定着しつつあります。1on1では業務課題の相談が中心になりがちですが、もっと自分のキャリアについて話し、上司がそれを支援できる場にしてほしいと考えています。

仙北谷

新入社員がせっかく共創の種を持ち帰っても、リーダーや上司も同じように共創を重視する意識を持たなければ、つながりが継続しません。共通言語で会話ができる社員を増やす必要があります。また、共創に向けた次のステージを用意するために、中堅層やリーダー層にもDNPさまとのコラボレーションを広げていきたいと考えています。2年目、3年目の社員がお互いの会社で一定期間、業務を経験できるような人事交流制度もいいかもしれません。

合同新人研修を経験した先輩社員たちの成果や活躍が後輩に伝わることで、次に入ってくる新入社員にも良い刺激を与えていくはずです。新入社員たちが成長して、研修で出会った仲間と一緒に何か新しいサービスや商品を作り上げたと私に報告してくれたら、それが一番うれしい瞬間になるだろうなと想像しています。

鈴木 氏

2023年度の第1回研修に参加した新入社員たちは、現在3年目となり、実務でさまざまな悩みに直面しています。そのタイミングで、3年前に一緒に研修を受けた仲間と再び会い、コラボレーションしてみるのも面白いのではないかと思います。このように、コラボレーションの場や対象を広げることで、共創パートナーとしての関係性をさらに強固なものにしていきたいと考えています。

BIPROGY 仙北谷、川端、DNP 藤田 氏、鈴木 氏

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