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特別企画(対談):キーパーソンが語る“DXB(DNP×BIPROGY)”の現在地とこれから(LearningCast編)

2025年2月14日

「LearningCast®」:企業の人財教育に新たな価値を生み出す学習管理システムの真価とは

大日本印刷(以下、DNP)とBIPROGYは新たな価値創造に向け、「DXB」の姿勢で取り組みを続けている(“DXB”の「D」と「B」をつなぐ「X」は「未知数」と「コラボレーション」を示し、両社の共創により創造される新たな可能性を示している)。
今回は、その中で企業向けのラーニングシステムである「LearningCast」に焦点を当てて紹介していく。同システムは、BIPROGYが初めて手掛けたSaaS(Software as a Service)だ。企業の教育投資が活発化しつつある中、DNPはその販売代理店として多くの顧客企業を開拓している。大きな強みはコンテンツ制作力と教育のPDCAをサポートするBPO(Business Process Outsourcing)を含めて、教育関連サービスをワンストップで提供できる点だ。企業にとって、人財がより重要な経営要素として認識される中、両社のコラボレーションは確かなシナジーを生み出している。
その現在地とこれからを見ていこう。

大学との共同研究を経て、企業向けLMS「LearningCast」を商用化

――まず、皆さんの業務と「LearningCast」との関わり方について伺います。

BIPROGY株式会社
市場開発本部データ&AI事業推進部 白井賢一

白井

今は、BIPROGYにおけるデータ活用関連サービスの商品企画、プロモーションなどを担当しています。2010年代後半までの20年以上、私は学習管理システム(Learning Management System、以下、LMS)に携わりました。その中で、LearningCastの立ち上げなどを経験しました。

BIPROGY株式会社
プロダクトマネジメント部パートナービジネス企画室
片野裕介

片野

BIPROGYの営業出身ですが、7年半前に現在の部門に移りました。商品企画のチームでLearningCastを担当するとともに、世の中にインパクトを与えるような商品づくりについて調査・検討を行っています。

大日本印刷株式会社
ABセンターデジタルイノベーション事業開発ユニットDXビジネス推進部
部長 宮内孝和 氏

宮内

DNPのAB(Advanced Business)センターに所属し、デジタル関連の事業開発を行っています。テクノロジー起点、マーケット起点の両面からのアプローチで事業開発に取り組むのがABセンターの特長といえると思います。生成AIや、最適解を高速に導き出すアニーリング・ソフトウェアといった先端技術なども扱っています。

――次に、LearningCastの歩みについて教えてください。

白井

当社は長期にわたって教育関連事業に注力しています。LMSの企画・検討は1997年頃にスタートしました。当時はeラーニングという言葉もなく、少なくとも国内にはLMSと呼べるような仕組みもありませんでした。

その後、社会的意義を認められて政府の予算を獲得することができ、日本初の試みとして青山学院大学やスタンフォード大学と共同で大学向けのLMSを開発。こうした経験を生かし、2003年度に商品化したLMSが「RENANDI(レナンディ)」です。これが、LearningCastの前身に当たります。

――最初は大学向けだったのですね。

白井

大学向けのLMSを企業向けにも展開しようと考えましたが、簡単ではありませんでした。2007年に企業向けのLMSの企画・開発に着手しましたが、大学と企業とでは、求められる要件が異なります。そこで、一部の機能は流用しましたが、ほぼつくり直す形になりました。こうして、2009年度に企業向けLMSのLearningCastをSaaSとしてリリースしました。当時はクラウドが急成長していた時期ですが、当社としては初のSaaSでした。お客さまとの契約の仕方やプライシングなど、未経験のことが多く苦労した覚えがあります。

「LearningCast」は、eラーニングと集合研修の管理などを統合的にサポートし、定期的な機能強化と専用コンテンツの提供で企業の学習ニーズに対応するサービスとして多くの企業で活用されている。

DNPはコンテンツとシステム、BPOのワンストップサービスを提供

――LearningCastのユーザー企業は少しずつ増え、2012年に成長の第2ステージを迎えます。

宮内 氏

日本ユニシス(当時)とDNPとの資本業務提携ですね。2012年、私は両社の協業を推進するチームに配属されました。協業の柱となる分野の1つがマーケティング・販売連携で、DNPはその対象だったLearningCastの販売代理店となりました。DNPは以前から教育マニュアルや学習教材などのコンテンツ制作を行っており、そのノウハウを生かせると考えたのです。eラーニングやLMSといったシステムとセットでコンテンツを提供するだけでなく、運用管理のBPOによりお客さまの教育PDCAをサポートすることもでき、ワンストップでのサービスが可能です。資本業務提携から数年後には10万ユーザー超の小売大手から大型受注を獲得するなど、確かな成果が生まれています。

片野

良質なコンテンツと運用管理、BIPROGYのシステム基盤の3要素をまとめて提案できるのはDNPの大きな強みですね。

宮内 氏

お客さまにとっては、認知度の高いIT企業であるBIPROGYが提供するSaaS、という安心感も大きいようです。

片野

当社は企業の基幹システムも手掛けているので、LearningCastと人事システムとの連携等を支援することもできます。特に大手企業では、人事システムとつないで活用する企業が現れ始めています。

――最近の企業の教育ニーズについては、変化をお感じになりますか。

宮内 氏

DXに関連する社内教育に取り組む企業が増えています。IT部門やDX推進部門に専門性が必要とされるのは当然ですが、DXが組織全体に広がる中で、社内ユーザーにも一定のデジタル知識が求められるようになりました。

そこで、生成AIやセキュリティに関する教材とともに、ユーザーの学習をサポートするシステムとセットでの導入を希望するお客さまが増えています。「コンテンツ+システム(場合によっては+BPO)」の強みを発揮する機会が増えてきました。

DNPとBIPROGYによるコラボレーションの強み

――教育コンテンツとしては、どのような種類のものがありますか。

宮内 氏

セキュリティのような汎用的なものもあれば、生成AIといった技術に特化、あるいは業界に特化したものなどもあります。また、特定のお客さま向けに当社がカスタマイズして制作する場合もあります。カスタマイズに関しても、過去の教材の一部分が使えることもあり、提供価格は抑えることができます。コンテンツの形態については、テキスト主体の教材、動画教材などさまざまです。多くのお客さまに提供しているセキュリティ教材は「紙芝居型」のスライドコンテンツですね。

片野

最近は、動画のコンテンツが徐々に増えています。例えば、接客の仕方を教育する動画です。小売業などでは、ベテランの商品説明や提案の手本を視聴すると学びを得やすいようです。また、LearningCast上で試験を実施することもできます。動画などの教材を非正規社員にも提供し、試験のスコアを評価して社内資格を付与するケースもあります。

参考:事例紹介 株式会社ヤマダホールディングス様

――DNPとBIPROGYとのコラボレーションの強み、メリットなどをお聞かせください。

片野

DNPからはよりユーザーに近い目線で企画開発の意見をいただけるのが有難いですね。BIPROGYの顧客接点は多くの場合、お客さまのIT部門です。したがって、LearningCastが対象とするユーザー部門にたどり着くまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。その一方で、DNPの営業担当者は普段からユーザー部門とお付き合いをしているので、私たちが気づかないニーズを敏感に察知しています。

宮内 氏

DNPからの要望でUI/UX(User Interface/User Experience)を改善してもらったことがありましたね。

片野

ユーザーのリアルな声を伝えてもらえるので助かります。両社の得意分野を生かして、LearningCastは進化を続けています。もちろん、販売面でのメリットも非常に大きいと感じています。アクティブなユーザー企業の半数がDNPの販売先です。

――最後に、今後の展望についてお聞かせください。

白井

私は現在、LearningCastに直接的には関わっていませんが、思い入れのあるSaaSです。LearningCastがお客さまに貢献できたと聞くと素直にうれしいです。これからも、そんな声をたくさん聞きたいですね。

片野

次の進化のステップは、LearningCastを通じて得られたデータの活用だと思います。そのプロセスには、AIの活用も含まれるでしょう。例えば、データを分析して教育効果を高める、あるいは個々のユーザーが学ぶべき教材をレコメンドするなど、さまざまなやり方が考えられます。また、今後は生成AIによる自動コンテンツ制作が普及するかもしれません。そうした可能性を念頭に置いた上で、より価値あるサービスづくりを進めていきたいと考えています。

宮内 氏

日本は人財教育への投資に消極的と言われてきました。しかし、先ほど触れたDX関連の教育をはじめ、企業の姿勢は少しずつ変化しつつあるように見えます。実際、教育が必要とされる場面は増えているのではないでしょうか。そうしたニーズを的確に捉えて、LearningCastと教育の価値を多くのお客さまに届けていきたいと考えています。

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