別冊技報
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2025年6月発行 Vol.45 No.1 通巻164号別冊技報
別冊技報は、BIPROGYグループ各社が力を入れているサービスやソリューションをピックアップし、通常の技報より平易に、またビジネスに役立つように解説する小冊子です。今回とりあげるのは、現場の課題を経営層に伝えるアプローチ、サイバーセキュリティ対策、サイバーレジリエンス向上、サーバー仮想化の未来です。
なぜ現場が抱える課題は経営に響かないのか ――現場と経営層の視座をつなぐ体系的アプローチ
課題の解決は、ビジネスを進行させる上で避けて通れない要素であり、企業の持続的成長に直結する。企業が効率的に課題解決を進めるためには、「課題を経営層に伝えること」と「経営層が意思決定をすること」の二つが重要である。しかし、多くの企業では、現場の課題が経営層の視座と合っていないため、「課題を伝える」段階でつまずいており、課題が適切に対応されずに放置されている。この「課題を伝える」段階にフォーカスし、視座の違いを埋めるため、課題化・グルーピング・抽象化という三つのステップからなる手法を紹介する。これらのステップを実行することで、現場の課題が経営層に伝わりやすくなり、視座をそろえたコミュニケーションを実現できる。
ユニアデックスは、課題を経営層に伝えるプロセスの支援や、課題解決に不可欠な意思決定を促進するサービスを通じて、企業が迅速かつ的確に課題解決を進められるよう支援している。
ゼロトラストの次に目指すところ ――経営と現場をつなぐ「サイバーセキュリティー・メッシュアーキテクチャー」
サイバーセキュリティーは、境界型からゼロトラストへと進化した。次に目指すべきは、分散するセキュリティー対策の統合プラットフォーム戦略である「サイバーセキュリティー・メッシュアーキテクチャー」である。これにより、セキュリティーの有効性向上、中央制御、強固な本人確認、運用と監視の集約が実現される。本稿では、増え続けるセキュリティーツールの網羅ではなく、守るべき七つの領域を網羅することで、今後のサイバーセキュリティー戦略の理想形を提言する。これからはAIがセキュリティーにおける防御と攻撃両方の基準を上げる。ゼロトラストの踏襲がAI中心の未来に通用する保証はない。ゼロトラストの次にサイバーセキュリティー・メッシュアーキテクチャーを目指すべきである。
いま、セキュリティ強化に求められる回復力 ――事業継続を意識した「サイバーレジリエンス」向上のカギ
多くの企業がサイバー攻撃へのセキュリティ対策を実施する一方で、攻撃者側はそれらの対策を回避するために攻撃を進化させている。企業は、攻撃を防ぐことが困難であることを認識し、攻撃を受けることを前提とした回復力(レジリエンス)を向上すべきである。サイバー攻撃に対するレジリエンスを向上するための対策として、サイバーレジリエンスが注目されている。サイバーレジリエンスの向上には、予測力、抵抗力、回復力、適応力をそれぞれ向上させていくことが重要であり、それぞれの能力強化がサイバーレジリエンス向上のカギになると言える。BIPROGYグループは様々なセキュリティソリューションおよびサービスを提供することで、顧客のサイバーレジリエンス向上を支援する。
仮想化の「いま」と「これから」 ――VMware社買収による影響とサーバー仮想化の未来をSIer目線で解説
「仮想化」は現代のITインフラにおいて不可欠な技術であり、多くのクラウドサービスもこの技術によって実現されている。オンプレミス環境においても、その重要性は変わらない。しかし、仮想化製品のデファクトスタンダードであるVMware vSphereを開発・販売していたVMware社がBroadcom社に買収され、ライセンスや販売ルールが大きく変更されたことが、業界に大きな影響を与えている。この買収の結果、コストや将来性の観点から、多くの顧客がVMware vSphereからの移行を模索せざるを得ない状況となった。ただ、オンプレミスやクラウドなど、移行先は複数あるものの、現実的な選択肢は限られている。また、既存のVMware vSphere環境があまりにも安価で便利だったため、多くの顧客がITインフラの見直しを行わなかった結果、IT環境のモダナイズが進まなかったという事実も、影響をより大きくしている。この環境変化は一企業の一製品ポートフォリオの変更に過ぎないが、それによってもたらされた変化が、ITインフラのあるべき姿を見直す契機となり、より効率的で持続可能なソリューションの普及につながることが期待される。