別冊技報
技報サイト内検索
2011年5月発行 Vol.31 No.1 通巻108号別冊技報
「別冊技報」は、ビジネスシーンでの「技報」の活用を推進するために発刊されました。技術論文集の編集方針を若干広げ、ビジネス展開への示唆となる事例や、技術解説を収録しています。昨年開催された日本ユニシスグループの総合展示講演会「BITS2010」で紹介された日本ユニシスグループのサービスを、技術的視点から分かりやすく解説した論文が中心です。
セキュリティサービス最前線 ──情報セキュリティの課題とその解決に向けて
セキュリティ管理策の実装は、もはや、従来通りのセキュリティ投資方法だけが選択肢ではない。クラウドコンピューティングは、セキュリティ管理策の機能をサービス化し、ユーザにセキュリティサービスの購入という選択肢を与えた。サービス化されたセキュリティ機能は、その機能のみに留まらず、コスト削減、効率的なIT運用支援、脅威と脆弱性情報の有効的な共有など、多くの付加価値も提供する。 昨今、日本企業は、グローバル化、もの作りからサービス化へ、新しいビジネスモデルの創出要求など、産業構造の変化が求められている。その変化には、常にリスクが伴う。その不確実性、曖昧さを減らす役割を果たすのが情報であり、曖昧さの減少分が情報量に相当する。したがって、競争が存在する限り情報は適切に保護するべきであり、方法を問わずセキュリティ管理機能を合理的に実装しなければならない。本稿では、萌芽しつつあるセキュリティサービスの特徴と限界を記述し、具体的事例の導入経緯とその効果まで言及している。
国際会計基準(IFRS)の適用が企業に問いかけること ──日本ユニシスのIFRSソリューション/サービスのご紹介
国際会計基準(International Financial Reporting Standards, IFRS)の国内上場企業への強制適用が、最短では2015年3月期から実施される。国際会計基準(IFRS)は投資家保護と市場の健全性確保を目的として、市場から資金調達を図る企業に対して、企業経営に関するより一層の情報開示を求めるものである。 経済のグローバル化を主たる背景とする競争の激化にさらされ、企業は連結決算から連結経営を経て、グローバル連結経営の実現による全体最適を目指すことで生き残りを図る。国際会計基準(IFRS)は100を超える国々で採用されている標準化された「度量衡」であり、透明化された企業の経営状況、資産状況、そしてこれらを管理する経営者による意思決定内容を投資家に説明するためのものである。 本稿では、国際会計基準(IFRS)に関して、今なされているその議論の中身を整理する。経理部門の方だけでなく、他部門の方が国際会計基準(IFRS)の本来的な影響を腹に落としていただき、幽霊の正体にあたりをつけ、それぞれの立場、役割における次なる意思決定に供することをゴールとしている。また、この企業対応に際して、日本ユニシスが提供するソリューションやサービスを紹介する。
地域への貢献を目指す“地域ICTサービス”について ──ICTで地域にリーズナブルな革新を
社会経済情勢が大きくかつ急激に変化する中、行財政改革への取り組みに迫られている地方自治体では、自治体クラウドへの関心が高まっている。自治体クラウドは、クラウドコンピューティング技術を電子自治体の基盤構築に用いることで、情報システムの効率的な整備・運用や住民サービスの向上等を図ることを目的としており、国や地方自治体において様々な取り組みが行われている。 このような環境の下、日本ユニシスでは、「ICTで地域にリーズナブルな革新を」をコンセプトに、地域への貢献を目指す「地域ICTサービス」を発表した。地域ICTサービスは、地域にフォーカスした多様なサービスをワンストップで提供するクラウドサービスの集合体で、地方自治体の業務効率化を推進する自治体ICTサービスと、地域協働型の街づくりを支援するパブリックICTサービスから構成され、「Civicloud」、「SAVEaid」、「LIBEaid」等のサービス製品をリリースしている。 今後、地域ICTサービスが顧客の支持を拡げていくためには、サービス・インテグレーションというコアコンピタンスを中核に据え、魅力的なコンテンツをクラウドサービスとして提供していくことだけではなく、「幅広いエリア・団体に跨る顧客層に対して、地域の課題解決に有益であることを認知してもらう活動」、「サービスの販売や適用を通して、地域の活性化に繋がる地場企業との協業」、「時間や空間の障壁を取り払うクラウドサービスだからこそ実現できるコストメリットの追求」等を強化し、地域と共に課題の解決に取り組んでいくことが重要である。
成長するBankVisionのご紹介
BankVisionは、日本ユニシスの銀行基幹系システムのノウハウと、業界に先駆けて培ったオープン技術を融合し、「フルオープン化の実現」や「サービス指向の考え方を採用」した先進の銀行基幹系システムである。BankVisionは、これからも国際会計基準(IFRS)や電子債権ネットワークへの対応を強化していく。さらに、各種研究会の設立・推進による顧客の経営課題解決への寄与、BankVisionのサブシステム群のICTサービス化によるコスト削減等、常に顧客と共に成長を続けていく。
高品質クラウドサービス“U-Cloud”のコンセプトと採用技術
2008年に登場した日本ユニシスグループのクラウドサービス“U-Cloud”は、日本初の本格的なクラウドサービスであり、新たなサービスモデルの出現としてIT業界に大きな影響を与えた。この当時、米国Amazon社のAWS(Amazon Web Service)は、低価格IaaSを強力に売り出し、米国内を中心に多くのユーザを獲得しつつあった。一方Googleも、GoogleAppsのヒットからIaaS/PaaSの分野に展開を開始していた。日本ユニシスグループは、このようなクラウドサービスの黎明期にいち早くクラウドビジネスの事業化に乗り出した。 本稿は、日本ユニシスグループのクラウドサービスU-Cloudの中核となるエンジン部分の全容について、そのコンセプトと技術の裏付けを解説するものである。日本ユニシスグループは、クラウドという言葉すら一般的ではない時代にクラウドコンピューティングの本質を研究し、クラウドサービスの機能定義を開始した。このサービス企画の段階からゴールを“企業向けサービス”とし、企業向けクラウドサービスの一般的な要件を検討した上で、自らの知識と経験をベースに自分たちの技術でクラウドを作り上げてきた。顧客企業が安心して自社システムを任せることのできる高品質なクラウドサービスの実現のために、日本ユニシスグループの技術者が総力をあげて取り組んだクラウドサービスのエンジン部分の開発コンセプトと、適用された技術について解説する。