総務DXはなぜ必要?DXの必要性や行うメリットなどを詳しく解説
2025年2月3日
昨今、技術の進歩に伴い、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが一般的となりました。多くの企業でDXの導入が進んでいますが、総務部門でのDXは浸透しているのでしょうか。さまざまな理由でDXが実現していない企業も多く見受けられます。
本記事では、総務DXの必要性からDXを行うメリットなどを詳しく解説します。
DXとは

DXとは、単なる業務のデジタル化やシステムの導入にとどまらず、企業文化や業務プロセス全体を抜本的に変革することを指します。
経済産業省はDXを、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を改革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
引用:デジタルガバナンスコード3.0|経済産業省別ウィンドウで開く
ここで重要なのは、ITやデジタル技術の導入はあくまでも手段であり、目的ではないという点です。真のDXとは、デジタル技術を活用しながら、企業の競争力強化や顧客価値の創造など、経営における本質的な課題解決を目指すことです。
総務DXが必要な理由

では、なぜ総務部門にDXが必要なのでしょうか。総務DXが求められる一因として、テレワークの普及があります。従来の紙ベースの書類管理や対面での承認プロセスが、分散型の勤務環境では機能しにくくなっているのです。
総務部門は従業員が働きやすい環境を整える役割を担います。テレワークを円滑に進めるために、各種ルールを整備し運用管理を主導しなければなりません。これらの課題に効果的に対応するため、業務の早急なDXが求められているのです。
DXの必要性はそれだけにとどまりません。企業全体で人手不足や働き方改革への対応が求められるなか、総務部門には率先してDXを推進する役割が期待されています。契約書の電子化や勤怠管理のシステム化などによる定型業務の効率化は、働きやすい環境づくりの具体例といえます。
書類の電子化について詳しくは以下のコラムをご覧ください。
コラム:書類を電子化するメリットとは?電子化する方法や意識するポイントを解説
勤怠管理のシステム化といった人事系のDXは着実に進展しています。その一方で、従業員が実際に働く場としての施設や設備のDXは思うように進んでいないのが現状です。
快適な職場環境の実現には、施設や設備の適切な管理が不可欠です。管理が不十分では従業員の働きやすさが損なわれ、生産性低下や人材流出といった悪影響にもつながりかねません。
そこでファシリティのDXが重要となります。施設や設備の管理をデジタル化することで資産管理やスペース状況などを効率的に把握・分析でき、最適なファシリティ管理が実現します。従来、ファシリティの管理は総務部門が担っており、より生産性向上が求められる現代では、総務DXの一環としてファシリティのDXも求められているのです。
また、ファシリティのDXに関連して、企業の保有する建物や設備などを経営戦略的な視点で一元管理する「ファシリティマネジメント」の考え方が注目されています。設備を最適な状態で管理することは、従業員満足度の向上はもちろん、企業の競争力強化にも直結します。
ファシリティマネジメントについての詳細は下記のページをご覧ください。
総務DXが進まない理由
総務部門のDX導入は急務となっているものの、多くの企業では進んでいません。それはなぜでしょうか。
業務が属人化しがち
総務業務には専門的で手間のかかる業務が多いため、従業員の長年の経験やノウハウに依存する傾向があります。特定の担当者でなければ処理できない業務が数多く存在するため、業務プロセスの標準化やシステム化が困難になっています。
DXを進める前に、まず現状の業務フローを可視化し、必要な業務と改善すべきプロセスを明確にすることが不可欠です。この手順を省略してDXを急いでしまうと、非効率な業務をそのままデジタル化してしまう危険性があります。
変化に不安感がある
新しいシステムやツールの導入は、業務プロセスの大幅な変更を伴います。たとえDXを推進する環境が整っていたとしても、総務部門の従業員からは「今までのやり方を変えることへの不安」や「新しい仕組みへの抵抗感」の声が上がることも少なくありません。
特に、長年同じ業務に携わってきたベテラン社員は、これまでのノウハウや経験が活かせなくなることを懸念し、変化に対して慎重な姿勢を示す傾向にあります。また、「システムやツールの導入にコストをかける必要性があるのか」「システムを導入したところで本当に業務改善や効率化につながるのか」といった疑問を抱く従業員も多く存在します。
このような状況では、DXの推進を一方的に進めるのではなく、まず従業員の不安や懸念に真摯に耳を傾けることが重要です。そのうえで、新しい働き方がもたらす具体的なメリットを丁寧に説明し、全員が目的を共有できる環境を整えることが、DX推進の成功へのカギとなるでしょう。
DX人材が不足している
DX人材とは、デジタル技術の知識を持ちながら、業務プロセスの改善や企業変革を推進できる人材を指します。総務部門のDXを成功させるには、現場の業務内容を理解したうえで、適切なデジタルツールの選定や導入後の運用設計ができる人材が不可欠です。
しかし、独立行政法人情報処理推進機構の2023年度の調査によると、約62%の企業がDXを推進する人材が「大幅に不足している」と回答しています※1。深刻なDX人材の不足感が浮き彫りになっているのです。特に総務部門では、業務知識を持つ人材は豊富にいるものの、それをデジタル化して効率的な業務フローに転換できる人材が圧倒的に不足しているのが現状です。
※1参考:DX動向2024 - 深刻化するDXを推進する人材不足と課題|独立行政法人情報処理推進機構別ウィンドウで開く
総務DXを行うメリット

総務部門のDX推進にはさまざまな課題が存在しますが、実際にDXに成功した企業では、多くのメリットを享受しています。ここでは、総務のDXによってもたらされる具体的なメリットを紹介します。
働き方改革に対応できる
近年、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方が求められています。総務部門のDXを推進することで、新しい働き方への対応が可能です。例えば、クラウドベースの書類管理システムやワークフローツールの導入により、従業員は時間や場所を問わず必要な情報にアクセスし、業務を遂行できます。社内の各種申請や承認作業もオンラインで完結できるため、出社せずとも総務関連の手続きが可能です。さらに、備品管理や施設予約などの総務業務もすべてデジタル化することで、従業員は場所を問わずスムーズに利用できます。
このようにDXは働き方改革の推進に不可欠な基盤となり、多様な働き方を支援する環境づくりを実現します。
業務の属人化を解消できる
総務業務の多くは、ベテラン社員の経験や暗黙知に強く依存している状況が一般的です。担当者の突然の病欠や退職により、業務の引継ぎが滞るケースも多く見られます。DXを進めることで、これまで言語化されていなかった判断基準や業務上のノウハウをシステムとして整理し、標準化できます。また、過去の判断事例や社内ルールをデジタルデータとして蓄積・共有することで、新任担当者でも迷わず適切な判断が行えます。DXは属人化を防ぎ、円滑な企業運営の実現につながるのです。
生産性が向上する
DXの推進により、これまで非効率な手法で行っていた定型業務をデジタル化して、業務効率を大幅に向上できます。例えば、申請書類の電子化や承認プロセスの自動化により書類の作成・確認にかかる時間や手間を削減し、ミスのない正確な処理が可能です。また、ペーパーレス化を実現することで紙の購入費や印刷コスト、書類の保管スペースに関わる経費も大幅に削減できます。
業務効率化とコスト削減を実現して生まれた余剰時間と経営資源を、従業員が働きやすい環境づくりや、より戦略的な業務に振り分けることで、企業全体の生産性向上へとつながります。
資産管理を最適化できる
DXを進めることで、これまで個別に管理されていた備品や設備などの資産情報をデジタル化し一元管理できるため、効率的な管理が可能となります。例えば、各部署の備品の使用状況や耐用年数をリアルタイムで把握でき、計画的な調達を実現します。また、保守点検の履歴や修理記録なども一括管理でき、適切なタイミングでのメンテナンスが可能となり、資産の長寿命化にもつながります。さらに、ファシリティ管理システムの導入により、オフィススペースの利用状況を可視化し、効率的な空間活用を実現することも可能です。このように総務DXは、組織全体の資産管理を最適化し、コスト削減と業務効率の向上に大きく貢献します。
総務DXの効果を最大化する統合管理の重要性
前述のように総務DXには多くのメリットがありますが、これらの効果を最大化するには業務全体を統合的に管理する仕組みが不可欠です。なぜなら、総務部門が担う業務は、施設管理や書類管理など多岐にわたっており、これらの業務は相互に関連し合っているためです。これらを個別のシステムで管理すると、データの二重入力や情報の分断が発生し、かえって業務効率が低下してしまいます。
そこで注目したいのが、総務業務全体を一元的に管理できる統合ワークプレイス管理システム(IWMS)です。
統合ワークプレイス管理システムの最大の特徴は、オフィスや建物に関するあらゆる資産情報を一元管理できる点です。また、建物のスペース状況や備品などの設備情報を可視化できるため、最適なスペース管理を実現します。
具体的には、以下のような効果が期待できます。
- スペースの占有状況や稼働率のデータを分析し、将来的な施設計画の立案に活用できる
- 光熱費や賃貸契約情報との連携により、コスト管理を効率化できる
- エネルギーの使用状況を正確に把握し、省エネ施策の立案・実行が容易になる
統合ワークプレイス管理システムを導入することで、総務部門は戦略的な施設運営に注力でき、企業全体の生産性向上に貢献できるでしょう。
統合ワークプレイス管理システムについて詳しくは以下のコラムをご覧ください。
コラム:スペースと不動産を一元管理!経営と現場をつなぐIWMSとは
総務DXを進めて企業の競争力強化を図ろう
総務部門のDXは、単なる業務効率化だけでなく、企業全体の生産性向上や競争力強化につながる重要な取り組みです。DXを進めるにあたっては、ITツールの導入が不可欠です。なかでも、あらゆる資産情報を一元管理する統合ワークプレイス管理システムの活用は、総務DXの第一歩として有効な手段となるでしょう。
BIPROGYは、統合ワークプレイス管理システム「Archibus」を提供しています。Archibusは土地や建物、設備や人・業務活動・コスト等さまざまな資産情報を統合的に管理し、CAD・BIMなどの図面データや既存システムからのデータも取り込み、資産情報と連携させることができます。
また、建物のスペース関連情報もまとめて管理できるため、効率的なスペース運用が可能となり、ファシリティ管理のDX化が実現するでしょう。さらに、エネルギー使用量やコストも可視化できるため、不要なエネルギーやコストの削減にも効果的です。
Archibusの導入により、総務部門のDXを確実に前進させることができます。ぜひ、この機会に導入をご検討ください。
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