ライフサイクルコストとは?重要性や低減する方法をわかりやすく解説
- ライフサイクルコストとは
- ライフサイクルコスト管理の重要性
- ライフサイクルコストを低減する方法
- ライフサイクルコストの低減に貢献する「Archibus」とは
- ライフサイクルコストを低減するには効果的な資産管理が重要
2025年1月6日
ライフサイクルコスト(LCC)は、製品や建物などが作られてその役割を終えるまでにかかる総コストを指します。近年、企業や組織においては、長期的な視点でコスト管理を行う重要性が高まっており、ライフサイクルコストの概念がますます注目されています。本記事では、ライフサイクルコストの定義や重要性、さらには低減方法について詳しく解説します。
ライフサイクルコストとは

ライフサイクルコストとは、製品や施設、設備などの企画・設計段階から、運用・保守、そして最終的な廃棄に至るまでの全期間に発生する総コストのことを指します。つまり、初期投資だけでなく、使用期間中のランニングコストや、廃棄時のコストまでを含めた、文字通り「ライフサイクル全体」にわたるコストを意味します。
建物で言えば、建設から維持運用、そして取り壊しまでを含めたコストを指します。
この概念は、経営戦略的な視点から企業の設備を統括的に企画管理する「ファシリティマネジメント」においても重要で、ライフサイクルコストをいかに抑えるかがファシリティマネジメントにとっての課題とも言えます。
ファシリティマネジメントについての詳細は「ファシリティマネジメント(FM)とは」のページをご覧ください。
ライフサイクルコストの構成要素
ライフサイクルコストは、以下のような要素で構成されています。
- 建設費
- 保守・点検費
- 水道光熱費
- 清掃費
- 更新費
- 解体処分費
- 各種税金や保険料
など
このように建物の建設から取り壊されるまでにかかる費用を考える必要があります。中には税金や保険料などもあるため、どのような費用がライフサイクルコストにあたるのかをチェックしておきましょう。
ライフサイクルコストの種類
ライフサイクルコストは主に3つの種類に分けられます。
- イニシャルコスト
初期費用のことを指します。イニシャルコストには建設費や企画設計費などが該当します。 - ランニングコスト
製品や建物の運用にかかる費用のことを指します。建築物であれば、水道光熱費やガス代、固定資産税や各種保険料などがランニングコストに含まれます。 - メンテナンスコスト
その名の通り、メンテナンスにかかる費用のことを指します。修繕費や点検費のほか、清掃費などもメンテナンスコストとして数えられます。
各ライフサイクルコストの特性を理解することで、より適切な管理を行えるでしょう。
ライフサイクルコスト管理の重要性

ライフサイクルコストを適切に管理することは、単なるコスト管理以上の重要性を持ちます。それは長期的な視点での経営判断を可能にし、持続可能な事業運営につながるためです。以下、ライフサイクルコスト管理の重要性について詳しく見ていきましょう。
コストを試算できる
ライフサイクルコストの管理が重要視される理由の一つに、将来発生するコストを事前に試算できることが挙げられます。一般的に、建築物のランニングコストは建設費の約4倍に達すると言われています。この莫大な費用をいかに抑えるかを検討するのは、建物が完成してからでは難しいと考えられています。
そのためライフサイクルコストを適切に管理することで、具体的なコストの試算が可能となり、中長期的な予算計画の精度を大幅に向上できます。
コストを最適化できる
ライフサイクルコストを適切に管理することで、建築物の長期的な価値を最大化できます。特に重要なのは、定期的な修繕計画です。適切なタイミングで修繕を行うことで、建物全体のライフサイクルコストを最適化します。
実際、多くの先進的な企業やビル所有者は、建設前の段階からライフサイクルコストを適切に管理した長期修繕計画を策定しています。この事前の計画立案により、中長期的な視点で建物の資産価値を維持・向上させることができ、結果として、単なる費用削減にとどまらず、建物の長期的な価値創造にもつながります。
コストの誤差を考慮できる
ライフサイクルコストの観点において、将来にかかるコストは長期になるほど、ある程度の不確実性が伴います。建物の寿命はおよそ60年といわれており、その長期的な使用期間において、建物の外的・内的要因により想定外のコストが発生する可能性があります。この不確実性を認識することでより現実的な計画立案が可能となります。
ライフサイクルコストを低減する方法

ライフサイクルコストを効果的に低減するためには、さまざまなアプローチが考えられます。以下、主な低減方法について詳しく解説します。
定期的な保全活動を行う
定期的かつ適切な保全活動は、設備や施設の寿命を延ばし、大規模な修繕や更新の頻度を減らすことができます。その結果、長期的なコスト削減につながります。
具体的な取り組みとしては、以下が考えられます。
- 中長期修繕計画など予防保全計画の策定と実施
- 定期的な点検と早期の不具合対応
- 適切な使用方法の教育と徹底
これらの活動により、突発的な故障や性能劣化を防ぎ、安定した運用を実現できます。
長寿命・高耐久な部材や設備を導入する
長寿命・高耐久な部材や設備を導入することで、初期投資は増加する可能性がありますが、長期的には大幅なコスト削減につながるでしょう。
例えば、耐用年数が長い、メンテナンス頻度が少ない、故障率の低い部材や設備を選択しましょう。交換や修理の頻度が減少し、結果としてライフサイクルコストの低減につながります。
電気・水の使用量を抑える
建物であれば毎月発生する電気や水の使用量を抑えることは、ライフサイクルコストの低減に大きく貢献します。
効果的な方法としては以下が考えられます。
- 省エネ機器の導入
- 節水設備の導入
- 従業員への省エネ・節水教育
これらの取り組みにより、ランニングコストを大幅に削減することが可能となり、結果的にライフサイクルコストの低減につながります。
ITツールを導入する
ITツールを活用することで、アナログな方法よりも効率的な管理運営が可能となり、ライフサイクルコストの低減に期待できます。例えば、建物の使用状況や予算計画、エネルギーの使用量などあらゆる情報を統合的に管理できる統合ワークプレイス管理システム(IWMS)であれば、建物全体の情報を可視化できるため不要なコストやエネルギー消費などを見つけ、見直しやコストカットの実施などに取り組むことが可能です。
IWMSについて詳しくは以下のコラムをご覧ください。
コラム:「スペースと不動産を一元管理!経営と現場をつなぐIWMSとは」
ライフサイクルコストの低減に貢献する「Archibus」とは
さまざまなITツールの中でも、効果的にライフサイクルコストの低減に貢献できる、統合ワークプレイス管理システム「Archibus」をご紹介します。
Archibusは、ファシリティに関するあらゆる情報を一元管理し、分かりやすく可視化できる建物管理の基盤システムです。土地・建物などの設備情報はもちろん、エネルギー使用量や関連コストなども統合的に管理できるため、ムダなエネルギー消費やコストの発生箇所を容易に特定することが可能です。さらに、建物全体・面積・人数・コストなど、さまざまな観点でライフサイクル全体を通して分析することも可能なため、効率的な建物管理に活用できます。
このようにArchibusにはライフサイクルコストを適切に管理する機能が備わっており、効果的に活用すればコスト低減に寄与するでしょう。
ライフサイクルコストを低減するには効果的な資産管理が重要
ライフサイクルコストは、持続可能な経営や効率的な資産管理において欠かせない概念です。ライフサイクルコストを適切に管理することで、コストの最適化やリスク管理などにもつながるでしょう。
ライフサイクルコストを低減するためには、定期的な保全活動や長寿命・高耐久な部材や設備の導入、ITツールの活用などの多角的なアプローチが必要です。これらの取り組みを総合的に実施することで、大幅なコスト削減と持続可能な運営が可能となります。
BIPROGYではライフサイクルコストの低減に貢献する、統合ワークプレイス管理システム「Archibus」を提供しています。Archibusは土地や建物、設備や人・業務活動・コスト等さまざまな資産情報を統合的に管理し、どこにどのようなコストがかかっているのかを視覚化します。そのため、ムダなコストやエネルギー消費の見直しや削減が可能になり、より持続可能な運営に貢献できます。
ぜひ、この機会に導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
ライフサイクルコストを低減するには適切な設備保全が必須です。設備保全について詳しくは以下のコラムをご覧ください。
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