1章 新たな価値を生み出すリジェネレーション

社会・環境・経済を調和させるリジェネレーション
これまでは、社会・環境・経済の諸課題は個別に解決が図られてきましたが、リジェネレーションの取り組みでは、それぞれが持つ価値が見直され、社会や市場に流通し循環することで「三方良し」が目指されます。
例えば、ある地域の自然が持つ環境価値がSNS や映画を通して発信されることで、新たな観光客の誘致という経済的価値が生み出されると共に、地域社会の活性化も進展します。また、多様な価値観やスキルを共有できるコミュニティを作ることで、自分らしい働き方やライフスタイルを支援する新たなサービスを生み出せるだけでなく、ウェルビーイングの向上にもつながり、経済的価値と社会的価値が両立します。リジェネレーションは新たな価値の発掘、可視化、流通を通して、社会・環境・経済の調和と発展を実現します。

新たな価値を紡いで創るリジェネレーション
リジェネレーションでは、「既存の価値」が「新たな価値」として捉え直されます。例えば植物由来のバイオマス燃料は、これまで経済的な価値が評価されていました。しかし、CO2排出量を相殺できる「カーボンオフセット燃料」という見方が浸透することで、温室効果ガスの大幅な削減につながる環境価値が評価されるようになりました。リジェネレーションはこうしたパラダイムシフトを通して、既存の価値を持つ製品やサービスにも、新たな価値を創り出して流通させます。
企業・団体の従来のビジネスにも新たな価値が見出されます。実際、社会課題の解決に取り組む企業が、これまでになかったビジネス機能だけを自社で開発し、その他の機能については従来のビジネスを行なっている企業の機能を活用することでイノベーションを生み出しています。例えば、フードロス問題の解決を目指すスタートアップが、スーパーマーケットやフードサービス企業と連携し、廃棄食品の収集、加工、デリバリーの機能を結合させた新たなサービスシステムを構築することも可能になります。既存の事業に新たな価値を見出すビジネスモデル作りが、リジェネレーションの取り組みとしてすでに始まっています。

関連事例
資源循環型社会の構築に向けた
廃プラスチックリサイクルのトータルコーディネートサービス
廃プラスチックなどの資源循環型社会の実現を目指す「iCEPPLASTICS」の取り組みでは、製造から使用・廃棄に至るプラスチック製品の流通経路に、廃プラスチックの集荷・再原料化・形成加工の能力を持つ企業が連なり、再生材の利用と再製品化を促進する循環システムを提供しています。この取り組みは、製品などの生産・供給を担う産業と、廃棄物の回収・再資源化を担う産業との綿密な情報連携・共有を図ると共に、四社のリサイクル関連企業が互いの強みとするビジネス機能を結合させ、廃プラスチックの回収から再製品化までをワンストップで担えるトータルコーディネートサービスを通して、プラスチックの循環サイクルを実現しています。

既存のビジネスを強化するリジェネレーション
リジェネレーションを通じて企業・団体間に新たなつながりが生まれることで、既存のビジネスが強化されます。これまでは、企業・団体はサプライチェーンの形で「つながり」を築いてきました。一方、リジェネレーションの取り組みでは、各企業が持つ強みを外部に開放し、柔軟に結合させます。この新たな結合がイノベーションを生み出します。企業・団体は、それまでの顧客接点の拡大だけでなく、互いの商材やビジネス機能を組み合わせた新製品・サービスの開発、発信も可能になります。例えば、企画、開発、流通、顧客接点の開拓、顧客獲得の各分野を得意とする複数の企業を多層的に垂直統合することで、顧客にとってより高付加価値の製品・サービスを提供できます。既存ビジネスのオープン化と結合を推し進めるこうしたリジェネレーションの動きは、業界の垣根を越えて着実に拡大しています。

関連事例
金融サービスの連携とビジネス・パートナーとのエンゲージメント進化による
デジタル経済圏の変革
BIPROGYでは、金融業務知見のサービス化を通して、金融サービスの連携を図り、様々な企業とのビジネス共創を通して、金融サービスの多様化とデジタル経済圏の変革に取り組んでいます。

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