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2章 価値を引き出し・流通させ・紡ぎ・届けるデジタル技術

デジタル技術で加速するリジェネレーション

イノベーションは、様々な人や組織がつながり、互いが持つ価値を組み合わせることで生み出されてきました。しかし社会・環境・経済で山積みとなっている課題を解決するには、これまでは実現が難しかった多様なつながりを作り、イノベーションをさらに加速させる必要があります。そこで欠かせないのが、企業や団体が持つビジネス機能、データ、ノウハウといったアセットの価値を掛け合わせ、そこから生み出される新たな価値を広く社会に届けることです。例えば、地域の商店街が鉄道事業者のシステムを活用してポイントサービスを構築する取り組みでは、ポイントの利用が地域や街全体に拡がることで購買やサービス利用が活発になります。この取り組みにより、商店街は購買顧客をより深く理解して商品やサービスの改善を図ることができ、鉄道事業者は当該地域への来訪客数増加に伴う収益の向上が見込めます。
デジタル技術は、これまで組織内でしか活用されてこなかった様々な価値を引き出して可視化し、流通させ、新たな価値を紡ぎ出して広く社会に届けます。そして、アセットをオープン化する企業と、それを活用する企業との新たなつながりが、社会課題の解決と経済成長を実現します。

リジェネレーションを支えるデジタル技術

価値を引き出すデジタル技術

これまで企業や団体が持つビジネス機能やデータ、知識、ノウハウなどのアセットは、従来のビジネスの視点に沿って評価されてきました。今後は、それらのアセットを整理し、そこに埋もれている価値をこれまでとは異なる視点で可視化することで、新たな異業種連携やサービスが生まれ、単独の企業では生み出せなかった革新的な価値が創出されます。このときアセットの価値は、アセットを「提供する側」の視点だけでなく、アセットを「活用する側」の視点でも評価されなければなりません。IoT、ドローン、衛星コンステレーションは、様々な状況をデジタルデータとしてインターネット上に集約・蓄積します。その大量のデータを生成AI、エッジAIが学習し、データに含まれる知識やノウハウを可視化します。そして自然言語を使ったインターフェイスを通して、可視化した知識やノウハウを「活用する側」の視点からアジャイルに評価することを可能にします。

関連事例
インバランス料金の負担を低減する「太陽光発電量・余剰量予測サービス」

太陽光による発電量と余剰量を予測するサービスでは、AI技術を活用することで、野立て、屋根上などの太陽光発電設備に対応した発電量全量・余剰量の高精度な予測を行っています。その結果、発電計画値と実際の発電量に差異が生じた場合のインバランス料金を一部負担するサービスが実現しています。この取り組みは、既存のシステムにAIとIoTを組み込むことで、今後の太陽光発電設備の導入促進と炭素・脱炭素化社会の実現が期待されています。

「太陽光発電量・余剰量予測サービス」詳しくはこちら

価値を流通させるデジタル技術

アセットに関する情報が、それを必要とする人にしっかりと届くことで、アセットの活用は進みます。現在主に利用されているインターネット検索では、企業や団体の発信したい情報が優先的に表示されるリスティングアルゴリズムの影響で、検索する側にとって本当に必要な情報が提供されるとは限らない状況が起こっています。またキーワード入力では検索する側の意図が的確に伝わらないといった問題もあります。生成AI は自然言語を使った対話を通して、ユーザーの検索意図を的確に理解したうえで、発信者側ではなく、検索者側が望む情報を届けます。生成AIがさらに進化すれば、ユーザーに代わって生成AI同士が対話し、必要なアセットの情報をユーザーに自動的に届けてくれるようになるでしょう。また情報そのものや、情報の発信者、その情報を基にした取り引きなどの信頼性は、ブロックチェーン技術を用いたWeb3やNFTによって確保されます。これにより、情報を必要としている側にとって公正な情報が提供されるため、安心感・信頼感が醸成され、アセットの活用が進展します。

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生成 AI で農業における事業拡大や資金調達、労働力不足などの課題解決を支援

農業などの一次産業では、労働力や後継者の不足、食糧生産の不安定化や高付加価値化など、経営の難易度はますます上がっています。そこで農業経営者に寄り添い継続的な発展に貢献する取り組みが、農業を支える金融機関の経営アシストサービスとしてスタートしています。同サービスでは、農業経営の専門家が執筆したコンテンツを学習した生成AIが、チャットを通じて農業に特化した専門的な回答を行い、課題を深掘りしたい農業経営者の問題解決を支援します。農業経営者は、農業に関する膨大な情報の中から、「いま必要としている有用な」情報に到達できるようになり、問題解決への新たな気づきも得られやすくなります。

生成AI「Azure OpenAI Service スターターセットPlus」のご紹介

価値を紡ぐデジタル技術

これまでは人同士が対話し、互いの知識や経験を共有してアイデアを出し合うことで価値を紡いできました。この創造的な活動にデジタル技術を取り入れることで、人の発想力が刺激され、より優れた新たな価値の創造が可能になります。このような人とデジタル技術の共創により、社会・環境・経済の課題解決に向けたイノベーションは加速します。知識や経験、視座や視点を、大量かつ多様なデータから学習した生成AIは、それらを関連付けてまとめ上げることで、これまで人が見つけられなかった新たなつながりを生み出します。またデジタルツインや空間コンピューティングは、人、モノ、それらに対するアクションやそれが行われる環境、必要な情報システム、各種デバイスなどをデジタル空間上に再現し、シミュレーションとその評価をアジャイルに繰り返すことを可能にします。このようにデジタル技術を組み合わせることで新たな価値の結合が実現します。

関連事例
自動運転車の安全性評価のためのプラットフォーム DIVP

自動運転サービスの社会実装に向け、 デジタルツインを活用した安全性検証の取り組みが進んでいます。自動運転システムや運転支援システムにおいては、センサーが安全性の鍵になります。下記リンク先の取り組みでは、実空間で起こる実現象との一致性が高いセンサーシミュレーションを用いて、様々な交通環境を再現することで安全性の向上を図っています。センサー検出の弱点となる環境も忠実に再現して、センサーや認識技術の開発にも貢献しています。また、シナリオ作成から結果の解析・評価までの効率化を図ってコストを削減します。この取り組みは、デジタルシミュレーションを通して排出ガスの削減にも貢献するため、持続可能な街づくりの進展などが期待されています。

DIVP製品のご紹介別ウィンドウで開く

価値を社会に届けるデジタル技術

デジタル空間上に紡ぎ出された価値を広く社会に届けるためには、仮想空間と現実空間をつなぐインターフェイスが必要になります。
人と協調しながら動くロボット、パーソナルAI、エッジコンピューティングは、現実空間にいる人と仮想空間上の価値をつなぐインターフェイスの役割を果たします。また人、AI、ロボットの役割を適切に設計するインタラクション技術は、紡がれた価値をより身近に手軽に活用できる環境作りに貢献します。
複数の企業・団体が持つ、マルチクラウド上に散らばるアセットを結合させることで、様々な価値が生み出されます。この「価値の結合」を支えるシステムの安全性や信頼性は、デジタル技術によりパフォーマンスを継続的に監視し、発生した問題の原因を迅速に特定・解決するオブザーバビリティ(可観測性)によって確保され、その結果、生み出された価値を安心して活用できる環境作りが進展します。

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「ドラえもんを本気でつくる」。
気鋭の研究者と語る、人とロボットの未来

人とロボットの関係性に注目したヒューマン・エージェント・インタラクションの分野では、「人とロボット」、また「人とAI」を一つのシステムとして捉え、それぞれにとって最適な役割を考えることで、「人々に寄り添い、一人一人を幸せにする」デジタル技術の研究が進められています。

AI研究者 大澤正彦氏×BIPROGY・若手AIエンジニア対談のご紹介別ウィンドウで開く

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