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事例紹介

小売電気事業者兼仲介事業者としての非化石証書管理業務に
環境価値管理サービス「Re:lvis® 」を適用
入札~約定~割当プロセスを一元化し、業務効率を大幅に向上

株式会社リエネ様

2024年04月08日

株式会社リエネ様 導入事例 Excelベースだった非化石証書の調達業務にRe:lvisを導入し、SaaSサービス上での管理作業の効率化や入力ミスの削減を実現。

INTERVIEW

株式会社リエネ
エネルギーソリューション部
統括部長

佐藤 聡彦 氏

株式会社リエネ
エネルギーソリューション部
営業企画・ソリューショングループ
部長・グループリーダー

高橋 茂昭 氏

株式会社リエネ
エネルギーソリューション部
ソリューショングループ

小林 亨実 氏

SUMMARY

  • 非化石証書の調達・管理業務にSaaSサービスを適用して効率化
    Excelベースだった非化石証書の管理業務に環境価値管理サービス「Re:lvis」を適用し、入札~約定~割当プロセスを一元管理化
  • 需要家ポータルを介した関係各者とのスムーズな情報共有も促進
    需要家ポータルを介して他の担当者や各部署との情報共有が可能に。今後は関連部署に呼び掛けて実務レベルでの情報共有を促進予定
  • 追加オプションの利用でさらなる業務効率化にも期待
    小売電気事業者向け機能や購入量管理機能の追加導入で、再生可能エネルギー事業のさらなる効率化を志向

USER PROFILE

株式会社リエネ ロゴ

株式会社リエネ
設立:2021年9月1日
所在地:東京都渋谷区道玄坂1-21-1 渋谷ソラスタ
事業内容:再生可能エネルギー等による発電事業、発電設備の運用・保有、電気の供給・販売等に関する業務 他

株式会社リエネ 小林様 佐藤様 高橋様

東急不動産株式会社の100%出資で2021年9月に設立された再生可能エネルギー事業に主軸としたプロフェッショナル集団。電気を販売する小売電気事業者、非化石証書の仲介を行う仲介事業者、電気を利用する需要家全ての立場で活動しており、東急不動産と一体となった再生可能エネルギーによる発電事業を始め、発電設備の運用・保有、電気の供給・販売等に関する事業を展開する。

本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

導入ソリューション概要:
環境価値管理サービス「Re:lvis(リルビス)」

現状Excelなどを使って手作業で行っている非化石証書の管理業務をデジタル化し、非化石証書の調達から入札、割当までの業務プロセス効率化を支援するSaaSサービス。主に日本卸電力取引所(以下、JEPX)の会員である需要家・証書仲介事業者・小売電気事業者の各業務に対応した機能を提供する。

プロジェクトの狙い

非化石証書調達の内製化に伴い、煩雑になった証書の管理業務を効率化したい

株式会社リエネ エネルギーソリューション部 統括部長  佐藤 聡彦氏

2021年9月に東急不動産株式会社の100%出資で設立された株式会社リエネは、電気を販売する小売電気事業者、非化石証書の仲介を行う仲介事業者、電気を利用する需要家という全ての立場で活動している。その中で現在特に注力しているのが、再生可能エネルギーによって発電した電気の販売、いわゆるコーポレートPPAだ。この点について、エネルギーソリューション部 統括部長の佐藤聡彦氏は、次のように説明する。

「現在東急不動産が取り組む再生可能エネルギー事業の拠点は99か所あり、日本全国で太陽光発電所や風力発電所などを開発しています。定格容量は合計で1,710MW、容量だけで言えば中型の原子力発電所1.6基分に相当するもので、一般家庭の約79.3万世帯(2023年11月末時点)をカバーすることができます。この東急不動産で発電した電気のうち、非FITの再エネを小売電気事業者として販売するのがリエネという区分けで活動しています」

東急不動産は2019年4月、事業活動の使用電力を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す国際的イニシアティブ「RE100」に不動産業として初めて加盟し、再エネ化の対象施設を徐々に拡大させていった。当初はFIT制度(固定価格買取制度)における非化石証書の取得を外注していた。非化石証書 は、太陽光などの非化石電源によって発電された電気に付随する“非化石価値”を証書として具現化することで、取引・管理可能にしたものである。通常の電気を使用している場合も、非化石証書を調達することで、需要家は使用電力のCO2排出量を実質的にゼロであると主張することができる。

「リエネにおいて非化石証書は、小売電気事業者、仲介事業者として、また東急不動産は需要家として、全ての立場で扱っています。東急不動産が再エネ化に取り組み始めた当初は、非化石証書の調達を外注していましたが、この部分を内製化すれば、再生可能エネルギー事業に関わる全ての業務を東急不動産ホールディングスグループで完結することができます。その一方で、内製化した非化石証書の調達業務を従来のやり方で行うことが、非常に煩雑になってきており、担当者の負荷増加に課題を感じるようになりました。そこでこの調達業務を何とか効率化できないかと考えたのです」と佐藤氏は当時の状況を振り返る。

非化石証書活用のメリット

証書の価値:使用電力のCO2排出量を実質ゼロに、活用メリット:環境への取り組みの証明に

導入経緯

非効率な情報管理と業務の属人化を解決するために、非化石価値のトラッキングに豊富な知見を持つBIPROGYのSaaSサービスを導入

非化石証書は、JEPXが年4回(8月/11月/翌年2月/5月)開催するオークションにて入札を行い、約定されることで調達することができる。さらに、入手した非化石証書を他社へ仲介するにあたっては、まず需要家から必要な購入量を提示してもらい、それらを取りまとめて入札情報を作成し、入札手続きを実施する必要がある。そして約定後には、各需要家に対して約定結果を割り当て、請求書を発行するという流れになる。

現在リエネが非化石証書の仲介事業として相対する需要家は東急不動産の4つの部署が挙げられる。Re:lvis導入前における業務の課題について、実務を担当するエネルギーソリューション部 ソリューショングループの小林亨実氏は、次のように説明する。

株式会社リエネ エネルギーソリューション部 ソリューショングループ 小林 亨実 氏

「非化石証書の調達に際しては、まず各部署にオークションの告知を行い、メールで注文書を送付して、必要な購入量を記入した上で返送してもらっていました。それらを全て手作業で集計してExcelに入力し、その後、部署ごとに手数料はいくらといった情報などを追記していくのです。またリエネの場合、調達する非化石証書は東急不動産が保有する発電所に由来する非化石証書となりますが、こちらで申請量をどの発電所と紐づけするなどの調整や、申請量の増減により当初予定していた発電所から他の発電所の調達に変更するといった調整も行う必要があります。こうした情報管理を全てExcelベースで行っていたので、入力ミスや記入漏れが度々発生していました。また管理しなければならないExcelファイルも膨大な量になるので、担当者以外は見ても分からないという状況でした。非効率な情報管理と業務の属人化が、非常に大きな問題でした」

さらに冒頭でも紹介したように、リエネは小売電気事業者として売電事業も展開している。小林氏は「当時は煩雑な情報管理を行っている中で、自分が今、発電事業者なのか仲介事業者なのかどの立場で仕事をしているのか、混乱してしまうこともありました」と続ける。

株式会社リエネ エネルギーソリューション部 営業企画・ソリューショングループ 部長・グループリーダー  高橋 茂昭 氏

そこでリエネは業務の効率化と属人性の排除を目指して非化石証書の調達・管理業務のデジタル化を検討、BIPROGYの提供するSaaS型の環境価値管理サービス「Re:lvis」を導入した。
 
Re:lvisを採用した理由について、エネルギーソリューション部 営業企画・ソリューショングループ 部長・グループリーダーの高橋茂昭氏は、次のように説明する。

「調達業務を効率化してくれるソリューションについては、複数のITベンダーに問い合わせを行い、実際にサービスを提供していたBIPROGYと検討を始めました。BIPROGYはJEPXから非化石価値のトラッキング業務を委託されており、非化石価値取引ポータルサイトの提供も含めて非化石証書トラッキング事務局を運営しています。この分野を熟知し、豊富な経験と実績を持つBIPROGYの提供するRe:lvisには、大きな安心感と信頼感がありました」
 
こうしてリエネは試用期間を経て、2023年7月にRe:lvisを正式導入した。

環境価値管理サービス「Re:lvis」の概要

環境価値管理サービス「Re:lvis」の概要図

導入効果

調達に関する一連の業務を効率化、属人化の排除やスムーズな情報共有といった効果も獲得

Re:lvisは、現状手作業で行っている非化石証書管理業務のデジタル化を実現し、非化石証書の調達から入札、割当までの業務効率化を支援するSaaSサービスだ。Re:lvisを活用することで、保有している非化石証書に関わる情報を一元的に集約し、調達・入札・割当の各フェーズにおいて必要となる情報の管理を効率化することができる。
 
Re:lvisの導入から約8か月が経った現在、リエネでは数々の効果を実感している。この点について、小林氏は次のように説明する。
 
「各部署から上げてもらう購入量とそれらの合算、入札情報の作成、約定結果の割り当てといった一連の作業が、全てサービス上で完結できるようになりました。以前のように、入札情報を作成する際に各部署から上がってきた情報をExcelに入力し直すといった作業も不要なので、転記ミスも無くなりました」。
 
また小林氏は「従来のRe:lvisでは料金計算のタイミングが権利確定後でしたが、当社では約定直後のタイミングで料金計算を行い、請求金額を確認してもらう運用となっていました。このことをBIPROGYに相談したところ、要望に応じた形でサービスの改修を行ってくれました」と続ける。
 
この点については、高橋氏も「Re:lvisはSaaSサービスですが、BIPROGYは我々ユーザー企業の声に真摯に耳を傾け、他のユーザー企業にも有用な機能については随時反映するという姿勢を示してくれています。前述の料金計算機能についても、今ではRe:lvisのデフォルト機能として搭載されていると聞いています」。

環境価値管理サービス「Re:lvis」の活用例

環境価値管理サービス「Re:lvis」の活用例

今後の展望

小売電気事業者向け機能も試用中、 今後は購入量管理機能の採用も検討したい

現在リエネは仲介事業者としての立場でRe:lvisを活用しているが、小売電気事業者として利用する追加オプションの試用にも着手している。
 
小売電気事業者向け機能は、供給する電力量をもとに、FIT/非FITの非化石証書の調達計画を一元管理することができる機能で、さらに自社発電および相対調達による非化石証書の管理も行うことができる。
 
小林氏は「Re:lvisでは、1つの画面内に仲介メニューと小売メニューが表示されており、クリック1つで各機能を使い分けることができるようになっています。今どの立場で情報を扱おうとしているのかが非常に分かりやすくなり、例えば今自分たちが調達しなければならない電力量、これから必要とする電力量、あるいは保有している電力量を全てグラフで直感的に把握することが可能です。小売電気事業者向け機能もできるだけ早く運用に載せたいと考えています」と強調する。
 
そして現在、利用を検討しているのが、同じく追加オプションである購入量管理機能だ。これは電力使用量の情報をもとに、非化石証書の購入量を一元管理するための機能で、割当先の管理から電力情報の管理、購入量の算出作業までを支援する。階層管理によって、きめ細かい非化石証書の割り当てを行うことも可能だ。
 
そして最後に高橋氏はBIPROGYとのパートナーシップについて言及し、次のように締めくくった。
 
「我々の証書仲介事業や小売電気事業には、グループ内のみならずグループ外の需要家様からのオファーも徐々に増えてきています。これらの事業領域をさらに拡大していくためには、Re:lvisをうまく活用して業務の効率化をより一層高めていく必要があると考えています。これからもBIPROGYには、豊富な知見をベースに、我々の視点に立った心強いサポートを期待しています」

※本事例に記載された情報は取材時点のものであり、社名、内容など閲覧される時点では変更されている可能性がありますことをご了承ください。本事例は情報提供のみを目的としており、BIPROGYは、明示的または暗示的を問わず、本事例にいかなる保証も与えるものではありません。

*Re:lvisは、BIPROGY株式会社の登録商標です。
*記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。