3章 再生型ネットポジティブ社会に向けたリジェネレーション・デザイン 四つの視点×デジタル技術のケイパビリティ(3)

成長とガバナンス
共創・共生を持続的に成長させるには、事業環境の変化に応じて、ガバナンスを継続的に再設計していくことが必要不可欠となる。例えば価値の循環を可能にするデジタル技術は、共創・共生の成長に欠かせない一方で、プライバシーやシステムの透明性、安全性等、常に新しい問題をコミュニティにもたらす。データや情報システムにおけるトラストの確保は当然必要だが、その前提としてトラストを担保するためのルール、すなわちコミュニティの運営に関わる全てを適切に制御・管理するガバナンスが構築されていなければならない。

ガバナンスの継続的な改善により成長を持続させる
共創・共生の成長に伴うコミュニティ内外のさまざまな変化に応じ、ガバナンスやルールも柔軟かつ機動的に見直され、改善が図られる必要がある。ガバナンスは、参加者間の対話やコミュニティ運営のリスク分析・達成評価・フィードバック等を通じたアップデートにより有効に機能し続ける。ガバナンスを継続的に再設計し、さらに共創・共生の仕組み自体についても最新のデジタル技術を積極的に活用して効率化・生産性向上を続けることで、コミュニティの持続的な成長が可能となる。
「人が中心」のガバナンス構築でリジェネレーションを実現する
共創により生み出された新たな価値を適切に循環させ、経済・社会・環境のリジェネレーションを実現するためには、リアル空間であれ仮想空間であれ、「人が中心」のガバナンスシステムが構築されていなければならない。新しい価値を生み出す共創・共生のコミュニティは、多様性に富み、さまざまな価値観を前提に結びつく。そこに構築されるガバナンスは、これまでの中央集権的かつ一方的なものから、参加者全員がフラットに関与できるものへと変化する。一人一人の強みや想いを活かせる環境づくり、公平な富の分配も積極的に図られる。DAO等のデジタル技術を活用して、誰もが納得のいく仕組みを目指すことで、コミュニティは一人一人がより生き生きと活動に参加できる共創形態へと進化していく。

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