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2章 リジェネラティブな未来を拓くテクノロジー リジェネレーションを加速させるテクノロジー(1)

デジタルツイン

テクノロジーの進化

デジタルツインは、組織における意思決定の最適化やオペレーションの効率化に活用される。この先さらに異なる領域のデジタルツイン同士がつながり、エコシステム等における全体最適が実現する。例えば交通渋滞状況と物流システムのデジタルツインが連携することで、物流の最適ルートが割り出される。都市同士のデジタルツインの連携は、リアル空間での課題解決はもちろん、メタバース等の仮想空間を含む広範囲の全体最適を可能にする。こうした連携は製造業や建築業をはじめ、都市、気象・防災、自動車、エネルギー、ヘルスケア等の多様な領域に拡がるだろう。また、デジタルツインとメタバースが連動することで、例えば試作品の検証に際して、デジタル空間上によりリアルなビジュアルやサイズが再現される等、人の感覚・感性に即した判断が可能となる。

もたらされる社会インパクト

【経済】作業現場のデジタルツイン化で効率化・最適化が進む

業務の効率化・最適化を念頭に、作業現場のデジタルツイン化が進行する。最も普及している業界の一つ、建設業界では設計情報、周辺道路や資材に関する情報、安全設備等の環境情報、クレーン車等の重機情報、作業員情報等を統合し、BIM(Building Information Model)として仮想空間上に建設現場を再現する。作業員に取り付けた各種センサー情報やスマートフォンで撮影した写真等も取り込み、作業プロセスを最適化する。設計、施工、管理等の各プロセスが3Dデータとして仮想空間上で共有されるため、関連部署・人員が建築物の状態や作業進捗を直感的に確認、判断できるようになり、また属人化されていた業務知識やノウハウの継承も促進される。

【社会】リアル空間の安全が仮想空間でのシミュレーションで確保されるようになる

仮想空間にてさまざまな条件下でのシミュレーションを実施することにより、製品やテクノロジーの安全性確認を高速化・高精度化する動きが拡がる。例えば、リアル空間を仮想空間上に再現した自動運転シミュレーションでの検証・評価が、来たる自動運転社会の安全性を向上させる。自動運転では多数のセンサーが駆使されるが、リアル空間での実証実験となると天候や気候、時間帯、路面状況等、走行条件が多岐に渡るため、途方もない手間と膨大な時間が必要となる。その点、走行に影響するさまざまな状況を仮想空間上に高精度で再現できれば、走行条件の組合せを効率的に設計して適切なシミュレーションシナリオを作成できる。実際、仮想空間上の実証実験では、実車であれば再現が難しい多様な条件下での走行試験が行われており、安全性評価の効率化が進められている。

【環境】デジタルツインによる環境価値の可視化でカーボンネガティブが加速する

サプライチェーンや製品ライフサイクルをモデル化したデジタルツインにより、原材料調達から製品使用、廃棄に至る過程のCO2排出量が可視化されることで、CN(カーボンニュートラル)実現のための施策立案やその効果検証の精度が向上する。各部材のCO2排出量や、設計変更に際する環境への影響、さらにカーボンリサイクル技術の効果までもがシミュレーションされるため、製品設計の段階でコスト、品質、環境負荷のリバランスが検証できる。また、地球全体をモデル化したデジタルツインでは、自然と人間の活動を可視化・モデル化・予測することで、「持続可能なシナリオ」のシミュレーションが可能となり、すでに政策や企業経営の意思決定に反映させる試みがスタートしている。

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