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エネルギーマネジメントとは?その重要性や実践的な推進方法などを詳しく解説

2025年1月27日

昨今の世界情勢による燃料価格高騰や環境配慮への取り組み推進などを背景に、企業における「エネルギーマネジメント」の重要性が増しています。本記事では、エネルギーマネジメントの基礎から実践的な推進方法などを詳しく解説します。

エネルギーマネジメントとは

エネルギーマネジメントとは

エネルギーマネジメントとは、企業や組織におけるエネルギーの使用状況を把握し、適切な管理・運用を通じて、エネルギー効率の最適化を図る取り組みです。具体的には、電力、ガス、水道などのエネルギー使用量を測定・分析し、ムダな消費を削減しながら最適なエネルギー運用を行います。
その運用システムとして、多くの企業でEMS(Energy Management System)の導入が進んでいます。例えば、IoTセンサーや先端機器を活用することで、エネルギーの使用量を自動的に計測・収集し、そのデータを詳しく分析します。その結果をもとに、より持続的なエネルギー運用を実現できます。

エネルギーマネジメントの重要性

エネルギーマネジメントの重要性

エネルギーマネジメントの重要性について解説します。

エネルギーの効率運用につながる

エネルギーマネジメントを通じて、各設備の稼働状況やエネルギー消費パターンなどを詳細に把握できるようになるため、電力需要のピーク時における使用量の分散や、設備の運転時間の最適化が可能となります。また、機器の無駄な稼働を抑制し、省エネ運転を実現することで、エネルギー使用量の大幅な削減も期待できます。このような運用は、月々の光熱費の低減にもつながり、コスト削減に貢献します。

環境配慮につながる

世界規模で環境配慮への取り組みが加速するなか、環境負荷の最大の要因として注目されているのが、エネルギー消費に起因する二酸化炭素排出です。日本における温室効果ガスのうち二酸化炭素排出量の実に約80%が企業・公共部門から排出されており※1、そのうち約94%がエネルギー消費によるものとされています。
このことから、エネルギーマネジメントを通じた省エネや再エネ、自然エネルギーの活用などの取り組みは、直接的な二酸化炭素排出の抑制につながり、環境保護に大きく貢献します。さらに、こうした環境配慮への積極的な取り組みは、ESG投資の呼び込みやSDGsへの貢献として高く評価され、企業価値の向上にも直結します。また、再エネや省エネなどの環境活動に取り組むことで補助金も活用できるため、コストを軽減しつつ新たな事業投資も可能です。
結果、環境配慮型企業としてのブランド価値向上にもつながり、持続可能な企業成長を実現する重要な要素となるのです。

BCP対策につながる

近年、自然災害の激甚化や予期せぬ停電リスクの高まりを受け、エネルギー供給の冗長性確保がBCP(事業継続計画)の重要課題となっています。エネルギーマネジメントを通じて平常時から使用状況を把握し、エネルギーの最適な運用方法を学ぶことで、非常時でも確実なエネルギー供給体制を構築できます。
さらに、太陽光発電や蓄電池の活用などの分散型電源の導入検討ができ、電力供給の安定性向上にもつながります。

エネルギーマネジメントの実践的な推進方法

エネルギーマネジメントの実践的な推進方法

エネルギーマネジメントの推進には、組織的な体制整備が欠かせません。その上で、継続的な改善活動とそれを支援するシステムの活用が重要です。ここでは効果的な推進のための3つの重要な要素について解説します。

推進体制を確立する

まずは全社的な推進体制の構築に取り組みましょう。経営層の承認のもと、推進リーダーを任命し、各部門から選出されたメンバーによる専門チームを組織します。このチームを核として、定期的な推進会議を開催し、具体的な目標設定や実績の評価、課題への対応策を検討します。さらに、現場レベルでの意識向上を図るため、従業員向けの教育プログラムを実施するとともに、部門別の削減目標管理や優良事例の表彰制度を導入することで、組織全体での取り組みを活性化させます。

継続的な改善プロセスを実践する

エネルギーマネジメントは、継続的な改善活動を通じてこそ、最適な運用が実現できます。体系的なアプローチを用いることで、エネルギー管理における課題の特定から改善策の実行まで、着実に進められます。以下の4つのステップに沿って取り組みを進めましょう。

1. エネルギー状況のデータ収集・見える化を行う

まずは、現在のエネルギー使用状況を把握することから始めましょう。最新のIoTセンサーやスマートメーター、EMSなどを活用することで、リアルタイムでのエネルギー消費状況の把握が可能です。このようなデータの収集・可視化により、具体的な改善施策の立案と効果検証につながります。

2. エネルギー消費を分析する

収集したデータは、時間帯別、部署別、設備別など、多角的な視点で分析を行います。特に注目すべきは、通常時・ピーク時のエネルギー消費状況、季節変動の特徴などです。これらの分析結果から、ムダな消費や非効率な運用を特定し、改善の糸口を見つけ出すことができます。また、AIを用いた分析ツールを活用することで、より精緻な課題抽出が可能になります。

3. 分析結果をもとに改善施策を立案する

データ分析結果をもとに、具体的な改善施策を立案します。計画時には、投資対効果や実現可能性を考慮して優先順位をつけることが重要です。例えば、照明のLED化や空調の運用改善など、比較的取り組みやすい施策から着手し、段階的に設備更新や運用体制の見直しなど、より本格的な対策へと移行していくアプローチが確実な成果につながります。

4. 改善施策を実施する

計画した改善施策を実施する際は、手順とスケジュールを明確にしましょう。具体的な目標値を設定し、定期的な進捗確認を行うことで着実な成果につながります。また、EMSやIoTセンサーのデータを活用して施策の効果を定量的に測定・評価することで、必要に応じて計画を見直し、新たな施策の検討も可能になります。
このようにデータに基づく継続的な改善サイクルを確立することで、エネルギー利用の最適化と省エネルギー目標の達成を確実なものとします。

EMSを導入・活用する

エネルギーマネジメントの推進には、エネルギー使用状況を可視化し、最適な運用を可能にするEMSが不可欠です。そこで、EMSを導入する際の3つの選定ポイントと実践的な2つの活用例を紹介します。

既存の設備管理システムとの連携性

EMSは単独で導入するのではなく、既存の設備管理システムやほかの基幹システムなどとの連携性が求められます。特に大規模施設や複数拠点を持つ企業では、設備情報の一元管理や統合的なデータ分析が効率化のカギとなります。既存システムとのスムーズな連携により、施設全体のスマートな運用管理体制を構築できます。

データ分析・可視化機能の充実度

EMSの導入効果を最大化するには、収集したデータを多角的に分析し、実用的なインサイトを導き出せる機能が必要です。特に、さまざまなデータと連携した分析や、AIを活用した予測分析など、高度な分析機能を持つシステムを選定することで、データドリブンな意思決定と施策の精度向上を実現します。

サポート体制の充実度

EMSには、システムの設計や既存設備との接続、適切な設定値の決定といった初期段階から、運用開始後のシステム設定変更や新機能追加、突発的なトラブル対応まで、継続的な専門サポートが欠かせません。そのため、プロジェクト管理から保守まで一貫した支援体制を持つベンダーの選定が重要となります。

EMSの活用例

上記のようにEMSを活用することで戦略的なエネルギーマネジメントの確立が可能となります。ここでは総務部門によるEMSの活用例を紹介します。

  • オフィスビルのエネルギー使用量の可視化と最適化
    EMSを導入することで、リアルタイムにオフィスビルのエネルギー使用量を可視化できます。また、在席状況に応じた空調設備や照明設備の自動調整により、最適なエネルギー運用を実現します。
  • 従業員の省エネ意識促進
    EMSを通じて電力使用状況を全社に共有し、従業員の省エネ意識を高めます。部署別の省エネ目標設定や達成状況の可視化により、自発的な省エネ行動を促進します。

このようにEMSを活用することでエネルギー使用量の可視化と最適化、従業員の省エネ意識の促進が期待できます。

エネルギーマネジメントで企業価値を高めよう

エネルギーマネジメントは、企業の持続可能な成長に不可欠な取り組みです。単なるコスト削減にとどまらず環境対策やBCP対策など、多面的な効果が期待でき、ひいては企業の競争力強化や価値向上にもつながるでしょう。
最適なエネルギーマネジメントの実現には、ITツールの導入が不可欠です。
BIPROGYは統合ワークプレイス管理システム「Archibus」を提供しています。Archibusは土地や建物、設備や人・業務活動・コスト等さまざまな資産情報を統合的に管理し、さらにCAD・BIMなどの図面データや既存システムからのデータも取り込み、資産情報と連携させることができます。
また、建物や設備ごとのエネルギー支出情報を紐づけて管理、集約することで、設備のポートフォリオが可視化できるようになり、不要なエネルギー消費の把握ができ、コスト削減の検討材料を提供します。データにもとづいたエネルギーマネジメントを実施することで、最適な建物・設備の運営が可能になります。
ぜひ、この機会に導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

  • *記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。