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事例紹介

社内に散在する情報の一元管理に向けSharePoint Portal Serverを導入

株式会社星光堂様

2007年04月01日

社内に散在する情報の一元管理に向けMicrosoft Office® SharePoint®Portal Serverを導入

INTERVIEW

山田 忍氏の写真

SNS推進グループ

山田 忍氏

児島 宏氏の写真

情報サービス部
情報管理課
担当課長

児島 宏氏

田部井 一記氏の写真

情報サービス部
情報管理課

田部井 一記 氏

田部井 一記氏の写真

情報サービス部
情報管理課

志水 一樹 氏

濱野 美紀氏の写真

情報サービス部
情報管理課

濱野 美紀 氏

USER PROFILE

株式会社星光堂の写真

設立:1948年5月
資本金:7,400万円
従業員数:473名(2006年6月15日現在)
本店所在地:東京都豊島区東池袋1-21-11オーク池袋ビル(2階/5階/11階)
事業内容:CD、DVD、ビデオソフトオーディオ機器、AV関連グッズ(楽器、書籍他)、ゲームソフトなどの卸売

本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

システムの概要

  • システム名称:星光堂ポータル
  • システム概要:情報を一元管理し、検索性の向上と情報共有の高度化を目的とした、全社員向けのポータルシステム。Sharepoint Potal Serverを基盤としている。
  • 開発期間:約4カ月
  • システムユーザー数:400〜450人

導入の背景 営業部門の情報共有・高度活用に向け情報システムの構築に着手

  • 時流を反映した業務の革新が求められていた
  • 従来の情報管理の仕組みは情報検索性が低かった
  • 情報共有の高度化を実現したかった

業界の“オンリーワン卸”として、先進の「卸型CRM」を構想

CDやDVD、さらにはゲームソフトや関連書籍など、さまざまなエンターテインメント商品の総合卸売業務を手掛けている星光堂様。1万1000以上の販売店様と取引のある同社は、国内のエンターテインメント商品の流通分野において圧倒的な存在感を誇っている。

こうした地位をさらに確固たるものとするため、同社はいち早く独自の物流網を整備して販売店様からの発注に迅速かつ的確に応える体制を整えるなど、付加価値サービスの拡充に積極的に取り組んできた。

永岡 哲也氏の写真

「CDやDVDなどの商品は、当社以外にもさまざまな仕入れルートが存在します。そうした中でより多くの商品を当社から仕入れてもらうために、単に商品を迅速に届けるだけでなく、販売店様ごとに最適な商品構成を提案したり、POSレジ導入による情報化を支援したり、一歩先ゆくサービスを提供できる体制を整えたいと考えていました」と説明するのは、情報サービス部部長の永岡哲也氏である。

「そうした、お客様との良好な関係づくりに向けて当社が構想したのが“卸型CRM”でした」(永岡氏)

情報の共有・活用の推進ができる仕組みづくりが課題に

高橋 兼三氏の写真

卸型CRMの実現に向けて、同社は基幹系システムや各種の情報系システム、コールセンターなど、顧客の要望に迅速に応える仕組みを整備。併せて、システムを通じて収集・蓄積される情報を顧客への提案活動に活かせるよう、営業部門内での情報共有できる仕組みづくりを推し進めてきた。しかし、後者の取り組みには大きな課題も残されていた。

それまで、星光堂様では個々の営業スタッフが顧客に提出した書類や業務の中で得た営業情報を、メッセージングサーバのMicrosoft® Exchange Serverや部門ごとに設置されたファイルサーバで管理し、スタッフ間で相互に閲覧できるようにしていた。しかし、情報の管理方法は個々の営業スタッフに一任されていたことに加え、次第に情報量も膨大となり、必要な情報がどこにあるのかが極めて把握しづらくなってしまったのである。

さらに、情報共有は営業部門の各部署単位にとどまり、営業部門全体には広まっていなかったため、他の部署に営業活動のヒントになる情報があっても、それを十分に活用できていなかった。

情報サービス部情報管理課課長の高橋兼三氏は、こうした課題について次のように説明する。

「消費者の音楽に対する嗜好がますます多様化するなかで、販売店様に対して効果的な提案を行うためには、営業担当者の一人ひとりが消費者の動向にこれまで以上に精通しておく必要があります。しかし、従来の仕組みは情報の検索性が非常に低かったため、情報の共有・活用が極めて困難になっていました。当社は、豊富な経験をもつ営業担当者が多く、歌謡曲やポップスなどのジャンルごとにかなりのノウハウを蓄積しています。そうしたナレッジを営業スタッフ全員で共有できれば、提案活動の質を全社的に底上げしていくことができます。そのため、何としても円滑な情報共有を推進する仕組みが必要だったのです」(高橋氏)

こうして同社は従来型の営業スタイルを刷新するためのツールとして、新たな情報システムの構築を決断し、その選定に着手した。

選定理由 BIPROGYの提案がポータル選定の決め手に SharePoint Portal Server 2003を活用し、ポータルにBI機能も実装

  • 営業活動で扱う情報のすべてを一元的に管理できる
  • BIPROGYはポータルシステムの豊富な構築実績がある
  • Microsoft® Exchange Server、Microsoft Outlook®など既存システムとの親和性が高い

情報の一元管理の重要性を認識、SFAからポータルシステムへ方針転換

当初、星光堂様は業務革新のツールとしてSFA(Sales Force Automation)に着目し、BIPROGYを含む複数のベンダーに対し、具体的なシステム提案を依頼した。しかし、システムの詳細についてBIPROGYと議論を重ねる中で、同社は当初の方針を大きく変更することとなった。

「営業を支援するためにはSFAを利用すればよいと漠然と考えていたのですが、BIPROGYから『営業案件の管理を主目的とするSFAよりも、まずは日々の業務で利用する情報そのものの活用に主眼を置いたポータルシステムを導入すべき』という提案を受けたのです」(高橋氏)

このBIPROGYの提案は、星光堂様に高く評価された。

「当社が新しい情報システムの構築を検討している本当の目的・背景まで踏まえ、ポータルシステムの構築を提案してくれたベンダーはほかにありませんでした。また、ポータルシステムの豊富な導入ノウハウを備えているというだけあって、その内容も的確で、安心できるものでした。これを受けて、われわれも方向性を見直すことにしたのです」(永岡氏)

.NETの開発生産性、既存のIT環境との連携に期待

こうしてシステム構築の方針を転換した星光堂様は、BIPROGYとともに改めてポータルシステムの詳細について協議。その内容を踏まえ、BIPROGYはポータル製品のSharePoint Portal Server 2003を用いたポータルシステムの構築を提案した。

具体的には、SharePoint Portal Server 2003をExchange Serverや各ファイルサーバと連携させるとともに、好調に売り上げを伸ばしている店舗のレイアウトや商品構成など、営業部門全体で共有すべき情報を集めたコンテンツをポータル内に設けることで、組織的な情報共有を活性化させるというもの。これによって、営業スタッフがExchange Serverやファイルサーバに散在している情報をワンストップで効率よく収集でき、営業部門全体の知識レベルを大幅に向上させることを提案した。

また、SharePoint Portal Server 2003はMicrosoft .NET(以降、.NET)を使って開発作業を進められるため開発生産性が極めて高く、WordやExcelといったマイクロソフトのオフィス用アプリケーションに慣れているユーザーが違和感なく操作できるというメリットもあった。

社内の写真

さらに、星光堂様はすでにDWH(Data Warehouse)とBI(Business Intelligence)を活用した情報分析環境を整備していたことを踏まえ、Microsoft SQL Server™(以降、SQL Server)に、DWHのデータを取り込んだ上でSQL ServerのBI機能を活用することで、これまでと同様の分析環境をポータルシステム上で実現することを提案した。

こうしてポータルシステムの要件は着々と固まり、2006年8月、星光堂様とBIPROGYはいよいよ実際の構築作業に着手した。

導入の効果 眠っていた情報の利用が活性化され知識レベルの底上げが可能に

  • 全社レベルで知識レベルの大幅な底上げが可能になった
  • 貴重な情報の存在が顕在化した

進化するポータルで視認性の高いインタフェースを製作

山田 忍氏の写真

ポータルシステムにとって、画面の視認性の高さはユーザーの利便性を大きく左右する重要な要素である。掲載する情報が多すぎると1画面内に表示しきれず、ポータルの視認性を下げてしまいかねない。そこで導入を進める過程では、同社の情報サービス部のスタッフが営業スタッフの声を聞きながらサイトに掲載するコンテンツを絞り込み、BIPROGYの技術者と共同でインタフェースの製作を進めていった。

しかし、導入するシステムが当初のSFAからポータルに変わったことで、構築作業に携わった同社のメンバーの中には戸惑いもあったという。当時、ポータル構築プロジェクトのリーダーを務めたSNS推進事業推進グループの山田忍氏は、「営業支援のためのさまざまな仕組みを備え、選択するだけで済むSFAとは異なり、ポータルでは自由度が高い分、掲載する情報を自分たちで取捨選択する必要がありました。掲載候補となる情報は、営業スタッフごとに異なる意見が寄せられ、コンテンツの絞込みに苦労したことを覚えています」と説明する。

苦心した状況を打開するきっかけとなったのが、高橋氏のある助言だった。情報サービス部情報管理課担当課長の児島宏氏は、その時のことをこう振り返る。

「ポータルの設計にあたって、当初は営業部門からコンセンサスを得ることを重視していたため、ポータルに掲載する情報の取捨選択に悩んでいました。そんな時、『まずは目に見えるものを作り、意見をもらおう』という助言が高橋からありました。たしかに、ポータルは運用開始後であっても画面の設計変更を容易に行える特徴をもっています。そのため、最初から完璧なものをつくるのではなく、徐々に完璧なものを目指すこともできることに気づきました。そこからは気分が楽になり、メンバーの意見もまとまるようになりました」

児島 宏氏の写真

こうしてポータルシステムの構築を進めていったプロジェクトメンバーは、稼働後の利用を促すため、2006年末に全国の事業所でポータルサイトの説明会を実施。そして2007年1月、システムはついに完成し本番稼働を開始した。

ポータルという“窓口”で情報提供を一元化

田部井 一記氏の写真

情報サービス部情報管理課の田部井一記氏によると、現在、ポータルサイトの利用は着々と活性化しつつあるという。

「ポータルシステムは、いわば営業が必要な情報を収集するための“窓口”です。ポータルを整備したことで、これまで社内には、その存在に気づかれていないだけで非常に貴重な情報が蓄積されていたことがわかりました。積極的に活用されているようですし、ポータルは社内の情報共有に着実に役立っています」(田部井氏)

とくに営業担当者から評判の良いコンテンツが、営業情報の分析結果を示すグラフ、そして業界の情報をまとめたニュースである。情報サービス部情報管理課の志水一樹氏は、「グラフは複雑で細かい分析結果であっても感覚的に理解することができるというのが最大の利点です。また、ニュースは当社の顧客や業界情報をもとに情報管理課がコンテンツを作成しているのですが、ほとんどの人に見てもらっているようです。これまでは個々に調べるしかなかった業界情報を一元的に収集できる環境を整えたことで、営業スタッフ間の情報格差も埋まり、高いレベルで均一化していくと期待しています」と語った。

 志水 一樹氏の写真

また、一人の成功例を、部門を越えて見ることができるようになったのもポータルの大きな効果だ。これまでは部門内でしか共有していなかったものが部門の枠を越えて共有できるようになった。

利用ユーザーの声

  • 業界ニュースが大変わかりやすく、日々閲覧しています。CD業界以外の情報も増えるとさらに良いと思います。
  • データの加工業務を行う際、これまでは情報検索システムで情報を抽出していましたが、ポータルから直接ダウンロードできるようになり、業務時間の短縮につながっています。
  • 日々の売上状況の把握や、売上進捗等がポータルを開くだけで可能になり、進捗確認・管理・分析が楽になりました。
  • 成功事例から学ぶことも多く、実践的なナレッジとして活用できると感じています。継続的に活用していきたいです。
  • 連絡先の一覧は、内線番号の検索やメールアドレス検索の手間が省け、業務効率UPにつながっています。
  • 検索機能が優れており、どこにあるかわかりにくいファイルや原紙がすぐ見つけられるようになりました

今後の展望 ナレッジにアクセスする意欲を高める仕組み・制度づくりを計画

  • さらなる機能向上によって、営業部門に不可欠なシステムにしていく
  • 人事制度とも連携させ、社員のモチベーション向上にもつなげていく
濱野 美紀氏の写真

星光堂様は今後、営業部門の声を参考に、ポータルシステムの機能をさらに向上させていく計画だ。情報サービス部情報管理課の濱野美紀氏は、「システムの運用を開始後、ポータルを用いてシステムに対する感想についてアンケート調査を実施しました。SharePoint Portal Server 2003の機能でアンケート画面そのものの作成が簡単でしたし、回答もデータとして収集できるため、集計業務を大幅に効率化することができました。情報共有や活用の推進はもちろん、業務の効率化の点でもポータルの活用を進めたいと考えています」と話す。

また、永岡氏は教育ツールとしての可能性にも大きな期待を寄せている。

「ポータルシステムを利用すれば、全国の拠点で仕事をしている社員が、距離や部門の壁を越えてあらゆるナレッジにアクセスできます。つまり、新入社員であっても、どこにいても一定レベル以上の質で業務を進めることができるわけです。それがひいては、お客様への提案内容の高度化を可能にします。現在、ようやく『見ざるを得ない』状態が実現した段階で、ポータルシステムのコンテンツのさらなる見直しなどを進めている最中ですが、今後はさらに機能を充実させ、経営側からプライオリティを提示し、それによって個々の意思決定の精度を高めたり、ボトムアップによって全社的なテーマを浮かび上がらせたりして、会社全体が『動かざるをえない』ようなシステムにしていきたいと考えています」(永岡氏)

ポータルの目標は、経営側が発信するだけではなく、社員の自発的な行動を促進することだ。将来的には“ナレッジポイント制度”のようなもので、発信するごとにモチベーションがあがるような仕組みをつくり、人事制度とも連動させていく。

打ち合わせの写真

事例のポイント

星光堂様の今回のシステム構築は、SharePoint Portal Server 2003で新たにポータルシステムを構築したものだ。今回のポータルシステム構築のポイントは、次の通り。

1.業務革新の一環でSFAの導入を検討していたお客様がポータルシステムの構築を決断

当初、SFAシステムの導入を考えていたが、BIPROGYの提案を受け、営業の案件管理情報のみならず、社内に散在するあらゆる情報を一元管理するためにSharePoint Portal Server 2003を用いてポータルシステムを構築。

2.ポータルシステムと既存IT環境(Active Directory®、Exchange Server、Microsoft Outlook®)との連携

SharePoint Portal Server 2003は文書の共有や共同作成を行うためのドキュメントライブラリ機能など、ポータルとしての基本機能を備えるだけでなく、マイクロソフトの統合認証環境であるActive Directoryとも連携。これにより、既存のActive Directoryを活用して、社員の役職に応じて適切なコンテンツを表示できるパーソナライズ機能を容易に実装できる。また、同様にExchangeやOutlookなども既存メールシステムとも円滑に連携する。

3.ポータルシステムと既存情報分析環境(DWH/BIシステム)との連携

星光堂様はすでに、DWHとBIツールを用いた情報分析環境を社内に整備していた。そこでBIPROGYは、Microsoft SQL Serverを新たに導入し、DWHのデータを取り込んだ上でSQL ServerのBI機能を活用し、これまでと同じ使い勝手のBI機能をポータルに実装した。BIポータルを実現したことで、さまざまな営業情報をグラフとしてポータルに表示することが可能になった。このグラフは、その視認性の高さから社員から高く評価されている。

4.ポータルシステムの構築期間

構築にあたっては.NETによる開発生産性の高さを最大限に活用することで、約4カ月という短期間でのシステム構築を実現した。また、構築にあたってはBIPROGYの豊富なポータル開発実績が星光堂様に安心感を提供した。

システム構成図
システム関連図
  • *Microsoft、Microsoft Office、SharePoint、Active Directory、Outlooは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
  • *その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。