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事例紹介

DX化の推進に不可欠だった”脱ホスト”。データべース環境の移行において、コストや作業負担を抑制しながらシステム性能品質の維持を実現

株式会社ジェイテクト様

2023年05月10日

デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるIT基盤の実現に向け、脱ホスト化を推進する株式会社ジェイテクト。そうした同社において課題として浮上していたのが、データベース環境のマイグレーションにおけるシステム品質の確保だ。この課題解決に向けてジェイテクトが選択したのが、データベース可視化ソリューション「MAJESTY」である。

USER PROFILE

株式会社ジェイテクト ロゴ

設立:平成18年(2006年)1月1日
資本金:45,591百万円
本社所在地:〒448-8652 愛知県刈谷市朝日町一丁目1番地
社員数:47,167名(連結:2022年3月現在)
事業内容:ステアリングシステム、軸受、駆動部品、工作機械、電子制御機器等の製造・販売

導入ソリューション概要

データベース可視化ソリューション「MAJESTY」

米国特許を取得した独自開発の「アクセスパターン分析」により、全SQLの動作をパターン化することで客観的に可視化し、データベースの性能問題の原因解析を大幅に効率化する。また、データベースの最適なインデックス設計を自動的にアドバイスしてくれる「インデックス設計ガイド」「インデックス最適化ガイド」も搭載。さらにユーザーの観点から管理したいSQLのIDを、SQLのヒント句に挿入することで、MAJESTY側からSQLの追跡や分析を可能とする「USID (User Sql ID)機能」も提供。結果、問題の解決から高度なデータベース管理までを、簡単な操作で実現する。

導入の背景 DX化の推進に不可欠だった“脱ホスト”。データベース環境の確実な移行をコストや作業負荷を抑制しながら実現したい

株式会社ジェイテクト IT推進部 脱ホスト推進室 室長 松井 良友 氏

「No.1 & Only One ―より良い未来に向かってー」をグループビジョンに掲げる株式会社ジェイテクトは、世界シェアNo.1のパワーステアリングをはじめとする自動車部品のほか、ベアリング、工作機械等を製造・販売する企業である。「競争力の高い、日本のステアリングシステムサプライヤーになる。」ことを目指し、ビジネスを推進してきた。
そうしたジェイテクトが急務の課題として変革に取り組んでいるのが、IT基盤における「脱ホスト」である。これまで同社では、受注、生産、物流、販売といった一連の基幹業務をホストコンピューターで一元的に行っていた。「しかし、『2025年の崖』への対応をはじめ、当社にとっても重要なミッションであるDXを促進するため、また柔軟で拡張性の高いIT基盤を実現していくためにも脱ホストが急がれていたのです」と、IT推進部 脱ホスト推進室 室長の松井良友氏は説明する。
ジェイテクトはホストコンピューターのオープン化にあたって、業務変革を伴うシステムについては全面的な再構築を行う「リビルド」を、一方、既存業務を継承するシステムは、内部ロジックは変更せず別の使用言語に変換し、新環境へ移行する「マイグレーション」の大きく2つの方向性を策定した。後者では主に自社開発した変換ツールを用い、システム移行に取り組んでいた。
ここで、懸念されていた事項の1つが、データベース環境の確実なマイグレーションである。松井氏は「これまでホストコンピューターのデータベースとしてDb2🄬を利用していましたが、Oracle🄬 Databaseへの移行を決定しました。しかし、同じRDBとはいえ両者のアーキテクチャは異なるものであり、また、既存の静的SQLから動的SQLへと環境も変化することで、さまざまなリスクの発生が想定されました」と振り返る。
「マイグレーション後でもシステムの品質や性能が維持される等、これまでと“何も変わらない”ことが最重要と考えました。その中で、性能面の維持については、マイグレーション後の状態を詳細に可視化し、問題が発生した場合にも容易に対処できるツールの導入等、コストや作業負担を抑制しながら実現できる方法を模索していたのです」
このほかにも、脱ホスト推進室にはOracle Databaseに習熟した人材が不足しており、移行作業、および移行後のボトルネック改善やチューニング等、継続的な性能管理についても不安を抱えていたという。

選定理由 独自のSQL追跡機能や分析機能を評価し「MAJESTY」を導入

この課題を解決するためにジェイテクトが選んだのが、BIPROGY株式会社から提案された株式会社シスバンクのデータベース可視化ソリューション「MAJESTY」である。MAJESTYは独自開発のSQLグルーピング技術を利用したデータベースへの「アクセスパターン分析」や、データベースのインデックス設計の自動ガイドといった機能群により、データベースのSQLチューニング/インデックス設計の効率化を実現するものだ。
これらと合わせて、確実なマイグレーションの遂行を支援する機能として評価されたのが、「USID(User Sql ID)機能」である。USIDとは、データベースが管理しているSQLを特定するIDではなく、ユーザーの観点から管理したいSQLに特定の記号を埋め込んだもので、MAJESTYの独自用語だ。このUSIDを使うことでMAJESTY側よりSQLからアプリケーションへの追跡や分析が可能となる。例えばアプリケーションの機能IDをSQLに埋め込むことにより、「問題のSQLがアプリケーションのどの機能から発行されているのか」「バッチ処理等、特定のSQL群がシステム全体に対してどの程度の割合を占めているのか」といった管理が簡単に行えるようになる。
「これであればマイグレーション後に特定のプログラムにレスポンスの問題が生じた時でも、USIDを参照すれば原因となっているSQLをすぐに見つけられると判断しました」
そもそもジェイテクトでは、IBM Db2の利用時からプログラムが異常処理した際の原因究明のために、SQLに特定の記号を挿入するという仕組みを作っており、MAJESTYのUSIDの考え方は共感できるものだったという。
「また、MAJESTYはデータベースのログを解析するとともに、Oracle Databaseに関する高度な知識やノウハウに基づいた分析を実施、その結果、改善に向けたアドバイスも提示してくれます。この解析機能とUSIDを併用すれば、マイグレーション後に問題が発生しても、コストや手間をかけることなく解決できるようになると判断しました。また、マイグレーション後の継続的な性能管理にも役立てられると期待しました」
このほかにも、MAJESTYは本番環境とは別環境にインストールして、定期的に情報を収集し分析を行う仕組みであるため、稼働中の本番環境への影響が少ないことも評価ポイントとなった。
このようにMAJESTYを導入するだけでも、問題となっている箇所をすぐ発見し、性能改善を図れるという効果を得られるが、さらに今回はUSID機能も併用することで、より効率的なマイグレーションの実現、および移行後のシステム品質の維持を実現できるようになるとジェイテクトは判断。BIPROGYからの提案後、ジェイテクトはすぐにPoCを実施。前述した機能群の実力が確認されたほか、操作の容易性、そしてコストパフォーマンスについても優れていたことを評価し、MAJESTYの導入を決定した。

データベースマイグレーションにおける移行先環境での性能品質の保証

導入のポイントと効果 データベース技術に習熟していない担当者でも容易に取り扱い可能

現在、ジェイテクトでは、データベース環境のマイグレーション作業が進行中だ。
「MAJESTYのアクセスパターン分析により、全SQLの動作がパターン化されています。これにより、処理時間の長い上位トップ10のSQLが、それぞれどのようなパターンで動いていて、他にそのパターンで動いているSQLがどの程度あるのか、問題がある場合にどうすれば改善できるのか、すぐに判断できるようになっています」
同様に、MAJESTYのアクセス効率に対する評点化機能を利用することで、SQLがOracle Database上で問題なく動作しているか、簡単に判別できるようになっている。評価の観点として、例えば、DBを移行した際、SQL自体は同じでも製品を変えたことで性能遅延が起きることがあるが、こういったケースもMAJESTYで可視化して初めて評価ができる。また、別のケースとして、本番前のテスト段階で性能的には問題がなくても、トランザクションやデータ量が増えることで構造的な欠陥が顕在化し極度の性能劣化が起こる可能性があるが、評点機能を使うことで、潜在的な段階でそのような欠陥構造の特定も可能だ。
「Oracle Databaseに習熟していないエンジニアでも、問題が発生している箇所をすぐに見つけ出せるようになったことは大きなメリットです」

全てのSQL実行プランを、自動的にわかり易く可視化

今後の展望 MAJESTYを全社利用し、継続的なシステムの性能改善を推進

今回、ジェイテクトは無制限ライセンスの採用によりMAJESTYを全社利用しており、マイグレーションの用途だけでなく、既存、および再構築された他のOracle DatabaseやSQLを利用しているシステムの性能改善にも役立てているという。
MAJESTYでの可視化・分析がなければ、上記のような顕在化しない問題の対応に追われ、別の代替手段によるコスト増加が発生する恐れがあった。
システムのオープン化に取り組むジェイテクト。「まずは新システムへの切り替えを問題なく実現していくことが目下のミッションです。その後、MAJESTYを活用し、新システムのパフォーマンス改善や強化を図っていく計画です。当社にとって、MAJESTYはシステム品質の確保に必須のソリューションであり、引き続きBIPROGYとシスバンクには手厚いサポートを期待しています」と松井氏は強調した。

※Db2は米国におけるIBMの登録商標です。
※Oracle Databaseは、Oracle、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。
※その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。