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「賢い」社会を実現するためのデジタル技術

デジタル技術は、人、モノ、データ、プロセスをつなぐことで新たな可能性を生み出す。様々な情報をデータ化してサイバー空間へ転送し、処理した結果をリアル空間へフィードバックすることにより、既にあるつながりを進化させたり、新たなつながりをつくることができる。

1 自ら成長するAI

この先AIは、自ら試行錯誤しながら人の行動を学習し、人の作業を代替するようになっていく。例えば熟練者の動きの観察を通していわゆる「匠の技」まで再現するロボットも登場するだろう。AIに大量のデータを学習させる方法と、自らの試行錯誤を促す方法を組み合わせることで、例えば部屋の中を動き回る片付けロボットに間取りを理解させたり、効率よくモノをつかむ動作を学習させることができる。

2 リアルタイム制御にAIを適用

自動運転車や産業用ロボットなど高い即応性が必要とされる制御システムにも、AIが適用されるようになる。学習・推論処理を低消費電力・高速で行うAIチップの登場により、学習済みモデルをデバイスに実装する「エッジAI」が普及していく。必要な判断や制御を現場で実行できるエッジAIは、クラウドを利用したAIサービスの難点とされる反応の遅延、通信障害、機密データ流出等のリスクを低減できる。今後は、瞬時の判断が求められるデータ処理はエッジAI、膨大な計算処理が必要な場合はクラウド側のAIが行うといった連携が進む。

3 秘密を守りつつAIを成長させる

機密情報の保護とアルゴリズムの精度向上を同時に実現するAI開発手法として、フェデレーションラーニング(協調機械学習)が、プライバシー保護の求められる業務、サービス、研究等で普及していく。AI診断の精度向上を目的としたあるプロジェクトでは、フェデレーションラーニングを利用し、患者のパーソナルデータを保持する複数の病院が、それぞれ院内で構築した学習済みモデルを提供し合い、それらを統合した1つのモデルを共有するといった取組みが行われている。個人や社会がプライベート情報を保護されながら、同時にAIの恩恵を受けられるサイクルが実現していく。

4 量子計算

量子の振舞いを計算過程に利用する量子コンピューターは、現在主流のノイマン型コンピューターでは現実的な時間内で解けない問題を解くことができる。 AIの深層学習や気象ビックデータ解析、膨大な量の化合物評価が必要な創薬、さらには新材料の開発など幅広い分野での実用化が期待される。現在、量子コンピューターには、汎用的に計算を行うゲート方式と、組合せ最適化問題に特化したアニーリング方式の二大潮流がある。アニーリング方式の実用化が先行しているが、いずれはゲート方式の普及も見込まれる。量子コンピューターという「ハードウエア」が発展すると、次は「ソフトウエアエンジニアリング」に注目が集まるだろう。量子コンピューターの特性上、従来のソフトウエア開発におけるデバッグや検証手法は使えないため、数理論理学を基にプログラムを検証する形式手法が応用されると考えられる。量子コンピューターは、従来のノイマン型コンピューターに完全に取って代わるものではなく、特性や強みに合わせて両者の計算資源が適材適所で使われていくだろう。

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