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「つながる」社会を実現するためのデジタル技術

デジタル技術は、人、モノ、データ、プロセスをつなぐことで新たな可能性を生み出す。様々な情報をデータ化してサイバー空間へ転送し、処理した結果をリアル空間へフィードバックすることにより、既にあるつながりを進化させたり、新たなつながりをつくることができる。

1 次世代通信ネットワーク

ローカル5Gは、企業や自治体などが固有の環境・目的に合わせて構築できる局所的な5Gネットワークである。通信事業者のトラブル等の影響を受けず、Wi-Fiよりも広い範囲で安定した通信を実現できることから、大規模な工場での業務効率化やエンターテインメント配信をはじめ様々なビジネス、サービスでの利用が進む。さらに2030年をめどに導入予定の6Gは、100Gbps以上のスピードでデータを伝送でき、通信カバーエリアも飛躍的に拡大する。リアルタイム処理が可能になり、現実と同等、もしくはそれ以上の新体感サービスがもたらされる。また、仕様の標準化によるRAN(Radio Access Network)のオープン化によって、利用可能なテクノロジーの多様化と選択の自由が広がる。

2 宇宙からのリモートセンシング

人工衛星がもたらすデータが、新たなビジネスとつながりを生んでいく。気温、海面温度、地表の水分含有量、植生状況などの衛星データをクラウド上で分析できるプラットフォームが提供されたことで、衛星データ利用のハードルが一挙に下がり、これまでにないビジネスやつながり創出への期待が高まっている。複数の衛星を使った多視点・同時撮影の技術は、地上の3D画像の大幅な精度向上を可能にする。デジタル技術の進化によるこうした衛星データの利用は、農林水産業など自然と直接関わる分野だけでなく、金融・保険業界でのプラン設計や、建設業界におけるインフラ点検など様々な分野で拡大していく。

3 現実空間と仮想現実空間の融合

現実空間と仮想現実空間の連携がいっそう進展し、今後は両者を区別する必要がなくなっていく。MR(複合現実)は現実空間と仮想現実空間をつなぐ。例えば仮想現実空間内に表示されたボタンを操作することでアクチュエーターを通じて現実空間のボタンを動かせる。あるいはボタンよりもつまみの操作に快適さを感じている人は、現実空間のボタンによるテレビ音量操作を、仮想現実空間内でつまみ式に変えることができる。さらに仮想現実空間に表示する物体の立体感を高めていくことにより、あたかも現実空間で実物に接しているかのような感覚を実現できる。

4 企業間取引の自動化

企業間取引の自動化が進むことで、人は、ルールを守る立場から、ルールをつくる立場へと役割が変わっていく。ブロックチェーン上で契約の締結と実行等を自動的に行える仕組みであるスマートコントラクトは、決済時間の短縮や不正防止、仲介者を必要としないことによるコスト削減を可能にする。そのため様々な業界で業務の効率化・自動化だけでなく、ビジネスモデル創出等への利用が進むだろう。スマートコントラクトを利用した分散型アプリケーションの開発が拡大しており、様々な契約・取引の自動化が進展する。

5 つながるためのプラットフォーム

資源を循環させる仕組みであるサーキュラーエコノミーの実現に、企業間、産業間の新しいつながりを生む情報連携プラットフォームが活用されていく。複数の企業や産業が集うプラットフォームには、高度なデータ処理を行うための計算資源を個々の企業や組織が抱えずに済むというメリットもある。プラットフォームには次のような機能が実装されると考えられる。

  • データ交換
    企業間連携などにおけるEDI(電子データ交換)に際して、データ形式の単純変換やコード等の読み替えでは対応できない場合、書類の意味処理ができるAIの適用が考えられる。

  • 取引記録
    企業間の取引においては、その記録等を高い信頼性のもとで管理できる仕組みや技術に加えて、取引の履歴を正確に記録し続けられる機能が必要である。そこで取引記録を当事者である企業の間で共有でき、改ざんが困難で、取引や決済のプロセスを自動化できるブロックチェーン技術が活用されるだろう。

  • 組合せ最適化
    経営リソースや遊休資産を稼働させる需給のマッチング、スピーディな新材料開発を目指すマテリアルズインフォマティクスなど、より良い解決法を得たい「組合せ最適化問題」の規模は大きくなっていく。大規模な問題に対しては量子計算が用いられるだろう。

サーキュラーエコノミーのプラットフォームには、上記に加えて、製品の状態や利用状況の監視、故障予知、部品の流通管理などの機能も装備されるだろう。

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