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物流業界のカーボンニュートラル:コラム

世界各国でカーボンニュートラル(CN)を目指す動きが加速するとともに、国内でもサプライチェーンで排出量の削減を求める動きが活発化しています。
生活インフラに欠かせない「輸送」においてもCO₂排出量の可視化・削減の動きが加速しており、カーボンニュートラル対応が投資家や国、荷主から求められています。
本記事では、物流業界において企業のカーボンニュートラル達成を実現するために必要な知識や取り組み方法について解説します。

国内の輸送に関するCO₂排出量

国土交通省が公表(2023.5)したデータによれば、2021年度における日本のCO₂排出量(10億6,400万トン)のうち、運輸部門からの排出量(1億8,500万トン)は17.4%を占めるとされています。
更に運輸部門排出の87.6%を自動車が占めているため、自動車が排出するCO₂の削減が強く求められています。

出典:国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」

輸送に関わる開示項目

企業のサプライチェーン全体のCO₂排出量は、GHGプロトコル(※)を参照してScope1,2,3に分類・開示がされます。
輸送はその内以下の項目としてカウントされ、企業のサステナビリティレポートや有価証券報告書等で公開されます。

Scope1(自社):ガソリンの購入・消費による排出
Scope2(自社):自社倉庫・事務所の電気による排出

Scope3(上流)
カテゴリ1:委託した輸送サービスによる排出、梱包材の使用による排出
カテゴリ4:調達した製品(販売車両等)の輸送に伴う排出
カテゴリ5:自社の廃棄物の処理場までの輸送に伴う排出

Scope3(下流)
カテゴリ9:自社が販売した製品の最終消費者までの物流(輸送、荷役、保管、販売)に伴う排出(自社負担以外)

参考:製品単位(CFP)で削減する流れの加速

全業種の中で最もCO₂を排出し、削減が強く求められる製造業では、製品単位で排出量の算定・分析・削減を目指す動きを見せています。
今後は、輸送に伴う排出量のデータ取得・削減に動き出すと予想されます。

環境省「カーボンフットプリント ガイドライン」

必要とされる削減施策

物流の役割は多岐に渡りますが、排出量が最も多く、大幅な削減が期待できる「輸送」「保管」機能から脱炭素化への取り組みを始めることが効果的です。

輸送機能における排出量削減策では、自動車から鉄道や内航海運へ輸送手段を変更する「モーダルシフト」、他社と連携して商品を同じトラックで輸送し積載率をあげる「共同配送」、走行距離を短縮し手配台数を減らす「配送ルートの効率化」があります。
また保管機能における排出量削減策では「倉庫の省エネ化」「太陽光発電の導入」があります。

必要とされる削減施策

物流2024年問題との関係

物流業界ではカーボンニュートラルだけでなく、「物流2024年問題(※)」も喫緊の課題として取り組む必要があります。
これまで紹介してきた「配送ルートの効率化」「モーダルシフト」「共同配送」等はCO₂排出量の削減と同時に人員配置の効率化・配送コストの削減に繋げることができるため、物流2024年問題にも対応が可能です。
車両を電化することがCO₂排出量の削減にとって最も効果が大きいのは事実ですが、それだけでなく日々の業務の効率化・コスト削減を行うことで、物流2024年問題とカーボンニュートラル問題を同時に対応することができます。

※物流2024年問題とは
2024年4月よりトラックドライバーに時間外労働年間960時間上限・改正改善基準告示が適用され、トラックドライバー不足の結果輸送能力が低下し、「モノが運べなくなる」問題です。

BIPROGYでは、カーボンニュートラルと物流2024年問題の解決に向けて、さまざまなソリューションを提供しております。
詳細は以下の「ロジスティクスソリューション」よりご覧ください。