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IWMS/FMソリューション「ARCHIBUS」コラム

理想のワークプレイスづくりとは?業務効率化において重要なポイントを解説

2023年2月20日

働き方改革やDXというワードが広まる中で、注目を集めるようになったのが「ワークプレイス」です。
今後の企業活動や、日本の将来的な社会情勢を考えると、すぐにでも導入するべきものといえますが、そもそもワークプレイスとは何か、その実像を描けているでしょうか。
そこで今回は、ワークプレイスの基本から、実現することのメリットや機能、活用事例についてまとめました。

ワークプレイスとは

ワークプレイスとは、オフィスに限らず社外や自宅でのテレワークでの業務でも効率が落ちることなく仕事に集中できることを目的とした、デジタル技術を用いたプラットフォームを指します。
デジタルツールを活用して社員の働く環境をデジタル化することで「いつ」「どこから」でも、同じ環境で業務や情報共有、コミュニケーションが行えるようになります。
ワークプレイスを直訳すると「仕事場」となりますが、あくまで生産性の向上、業務の効率化、これらを高めるためのプラットフォームを構築する考え方であると理解しておきましょう。
近年、働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大を契機としたテレワーク・リモートワークの増加に伴い、オンライン会議やビジネスチャットなどのツールが一気に普及しました。
普及した当初は、仕事の見える化を図ることが難しい、あるいはコミュニケーションが希薄になった、などが課題として挙げられていました。
その点、ワークプレイスにおいては、上記で挙げたようなITツールを集約することはもちろん、仕事を見える化し、仕事満足度や従業員満足度を醸成できるよう、従業員同士のつながりをより強固とする目的もあります。
そして、クラウド、モバイルデバイスを活用することで、場所や時間に縛られることなく仕事を行える環境を実現でき、従業員満足度や離職率の低下につながります。
気軽にかつスピーディーなコミュニケーションも実現し、遠隔でも情報の共有と管理ができることで、事業の成長をサポートしてくれるのがワークプレイスの特徴です。

ワークプレイスとは

ワークプレイスはなぜ、今注目が高まっているのか

ここでは「社内DXの推進」「テレワークの急速な増加」「ダイバーシティ」という3つの観点から、ワークプレイスの注目が高まっている理由を深堀りします。

社内DXの推進

DX、いわゆるデジタルトランスフォーメーションもここ数年でバズワードとして認知されるようになってきました。
多くの企業で、社内のDX化に向けた取り組みが進められているものの、本当の意味でDXに成功している企業は、まだそれほど多くないのが現状といえるでしょう。理由として、DXを単に「デジタル化」としてしか認識できていないことが背景に挙げられます
DXの本質とは、デジタルツールを導入することではありません。デジタル化を進めることで組織を変革し、ビジネスを生み出し、新たな価値を作り出すことです。
この本質に沿ってDXを実現するためには、デジタル技術の導入で終わらせるのではなく、従業員同士のコミュニケーションの活性化や仕事の見える化による生産性の向上が必要となります。
そのため、デジタルツールを活用して社員の働く環境をデジタル化することで「いつ」「どこから」でも、同じ環境で業務や情報共有、コミュニケーションが行えるようになる、ワークプレイスが注目されているのです。

テレワークの急速な増加

新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、テレワークが急速に増加しました。
総務省の発表によると、令和2年4月7日の緊急事態宣言時における正社員のテレワーク実施率は、東京都で49.1%と多くのビジネスパーソンがテレワークを経験していることがわかります。

一方、テレワークの実施によって、コミュニケーションや仕事の見える化など、課題が多くあったことも事実です。
そのため企業としては従業員同士のコミュニケーションを円滑にして情報の共有やデータの管理を簡単に行える、そして効率的に業務に集中できる環境を用意する必要が生まれました。
このような課題を解決するため、働く従業員が効率的に、満足度高く業務に取り組める環境を用意すべく、ワークプレイスのようなプラットフォームが注目されているのです。

ダイバーシティ(多様性)の受容

企業活動、事業継続のために必要なことは、いつの時代でも人材です。いかに効率を上げていっても、最後は人の手によって事業はスケールしていくものでしょう。
ところが、日本は世界でも類を見ないほどのスピードで少子高齢化が進行しており、超高齢化社会へ突入していくため、必然的に働き盛りの世代の人口が減少しています。
従来のような画一的な採用手法では人材の獲得が難しく、結果として企業活動を維持することが困難になりつつあるのが現状といえるのです。
そこで、多様性を受け入れることを意味するダイバーシティが重要となってきます。
ようするに、海外や地方など遠隔に住んでいる人、育児や介護などで出勤して仕事することが難しい人でも社会に参加でき、仕事に打ち込み活躍できる環境を作っていく必要があるのです。
このように、多様性を持った人材採用活動の必然性からいっても、時間と場所を選ばず仕事ができるワークプレイスの考え方が注目を集めるのは当然といえるでしょう。
これまでの画一的な人材採用のあり方を見直し、新たな人材をリモートで獲得する。こうすることで、従来になかった化学反応が起こる可能性もあり、また社会全体で見ても埋もれていた人材が活躍できるというwin-winの企業活動を実現できます。

ワークプレイスの経緯

多くの企業では、社内ポータルのサービスが普及してから、従業員間のコミュニケーションやデータの管理をデジタルツールに移行するようになりました。
そして、新しいテクノロジーの進化と働き方の変遷が進行していく中で、社内ポータルからデジタルワークプレイスへの移行が進んでいます。とくに大きく影響しているのがDXの流行です。
もともと、社内ポータルはデータの管理やコミュニケーションを外部からの脅威を守りながら安全に行うための手段でした。
しかし、スマートフォンのようなモバイルデバイスの普及と、テレワークの働き方が増えてきたことにより、外部からもシームレスに利用でき、効率化と生産性向上を実現できるワークプレイスの普及が進むようになったのです。
ツールの一元管理や統合、カスタマイズなどが可能なプラットフォームに価値が見出されるようになっています。

ワークプレイスの経緯

ワークプレイスのメリット

ワークプレイスの実現によってもたらされるメリットとして、デジタルツールの一元化、スピーディーな連携、テレワークでの生産性向上が挙げられます。

デジタルツールの一元化

ワークプレイスの実現は多くのデジタルツールを一元化し、業務効率、生産性向上につながるメリットがあります。
テレワークやオンライン会議の導入、社内DXの推進など、ここ数年で働く環境は様変わりし、同時にビジネスツールも多くのものが生まれました。
業務の効率化や情報共有が容易となるなど、デジタルツールそれぞれに利点がありますが、多くのツールを導入すればするほど各ツールを行き来しての業務となります。
しかし、これでは効率化と生産性アップに逆行してしまい、本末転倒といえるでしょう。
そこで、ワークプレイスを実現することでデジタルツールを一元化するのです。
一元化してビジネスチャットのような情報共有ツールや、ワークフローなども含めることで、複数のツールを行き来して業務を進める必要がなくなるメリットが生まれます。

スピーディな連携

ワークプレイスを実現することで、従業員間での連携をよりスピーディーに行えるようになるでしょう。
変化のスピードが早いビジネスの世界において、スピード感を持って業務を進めることは重要なことです。
従来であれば、何かしらの新規ビジネスに関する打ち合わせをしたい場合、関係者に連絡をとり時間を設定して、会議室を抑えて、ようやく会議をスタートするといった形が大半でした。
その点、ワークプレイスであれば、新規ビジネスの企画をツール上に関係者向けに公開し、チャットやビデオ会議機能などですぐに簡易な打ち合わせを始めることもできます。
これだけスピード感を持って仕事を進められれば、生産性の向上にもつながるでしょう。従業員同士のスピーディーな連携を実現できることがワークプレイス実現のメリットのひとつです。

テレワークでの生産性向上

テレワークにおいて課題となっているのが、仕事の見える化と従業員同士のコミュニケーションの希薄化です。
リアルタイムに活動できる環境のワークプレイスであれば、オフィスで仕事する従業員も、リモートで参加する従業員も、全員が同じ存在感を持って業務を進められるのがメリットといえます。
円滑なコミュニケーションが取れるようになることは、業務を進めていくうえでも重要なことであり、ひいては生産性の向上につながるはずです。
時間と場所を選ばずとも、常に従業員同士のつながりを感じられる環境を提供できれば、エンゲージメントを高めながら仕事する従業員が多くなることでしょう。

業務効率化に役立つワークプレイスかを判断するポイント

実際に職場環境にワークプレイスを導入および実現するにあたり、どのようなポイントに気をつけて判断すればいいのか解説します。
ポイントは、安全性、機能、周知教育の3つです。

安全性

まずは、セキュリティの安全性について考えなければいけません。
たとえばメールに対するセキュリティ機能を例にあげましょう。
迷惑メールや標的型メール攻撃、ランサムウェアなどの危険、あるいは送信や添付ファイルの間違いなどから守る必要があります。
そういった脅威や危険に対して、迷惑メールを自動的に検知してくれる、送信メールを一時保留し一定時間後に送信できるようにするなどの対策がとられたシステムを選ぶようにしましょう。

機能の種類

多くの種類の中から最適なものを選ぶには、そもそもの導入目的、使用目的をハッキリさせておく必要があります。「便利そうだから」だけでは、本質的な課題解決には至りません。
ワークプレイスに搭載されている機能は、ツールによって異なります。とくに、パッケージ化されている商品を選択する場合には、自社にとって必要な機能が揃っているかを事前にチェックすることが大切です。
ワークプレイスを実現する目的を明確にしておけば、自ずと必要となる機能も見えてくるでしょう。

導入・周知・教育のハードル

新しいシステムや仕組み、ツールを導入し、浸透させるには金銭的なコストがかかるだけでなく、従業員への理解促進と教育にもコストがかかることをあらかじめ認識しておきましょう。
とくに、すでに使用しているツールに依存している部署や、従来の仕事方法からの変化を受け入れにくい人も一部いると考えておくべきです。
導入した後のイメージと使用することのメリットを周知することはもちろん、可能な範囲で実際の使い方を指導する時間も設けるといいでしょう。
導入、周知、教育のハードルがあることを踏まえ、必要な機能同様に、デザインのわかりやすさや見やすさ、操作性についてもチェックしておくべきです。

デジタルワークプレイスを構成する要素

デジタルワークプレイスを構成する要素は主に5つです。

チャット機能

チャット機能では、従業員同士のコミュニケーション手段としてだけでなく、タスク管理機能やファイル管理機能を搭載していることがほとんどです。
日常的に最も多く使う機能となるため、業務効率の改善にも役立つことでしょう。
また、気軽にリアクションだけを行えることから、メールよりもコミュニケーションのハードルを下げてくれる利点もチャットならではの強みです。

オンライン会議に対応するビデオチャット機能

オンライン会議での使用はもちろん、テキストでのコミュニケーションだけでは難しい場合や、複数人にまとめてイメージを共有したい場合などにビデオチャット機能は有効です。
視覚的な情報を共有する際に有効活用できるだけでなく、商談や面接、遠隔にいる方とのコミュニケーションにも使えます。

データ共有のためのクラウド

クラウドがあることで、複数人向け、あるいは容量が大きめのファイルデータの共有も容易となります。
ファイルの一元管理や、同時編集などが可能となるのもクラウドならではのメリットです。
従来のようにメールでファイルをやりとりすると、容量が大きすぎて送信できないといった事態も発生しますが、クラウドであればそのような心配も不要です。
ただし、セキュリティ面には注意する必要がありますので、ファイルの保存先や、共有範囲の設定には気をつけましょう。

ワークフロー

これまでアナログのやり方が多かったワークフロー、たとえば稟議や申請関連もより簡単にスピーディーに行えるようになります。
経費の精算など、手間と時間がかかっていたこともより効率よく行えます。

勤怠管理

ワークフローのように、勤怠管理においても効率化を図ることが可能です。また、日々のスケジュールの管理についても同様です。
スケジュールの管理と共有がより簡単に行えるようになることによって、従業員同士の連携も行いやすくなります。

ワークプレイスの活用事例

最後に、具体的にワークプレイスの活用事例を2つ紹介します。
まずは、勤怠に関する課題と管理職と職員の働き方への意識に悩みがあった企業についてです。
勤怠に関しては、実際の勤務時間との乖離が問題となっていたようですが、ワークプレイスの導入により、リアルタイムで勤務時間を把握できるようになり適切な労務管理につながったようです。
意識改革については、時間外勤務となると自動的にアラートが表示されることで、職員の残業への意識が刺激され、管理職も部下の働き方や体調面への配慮などが増えたようです。
続いては、世界中に従業員を抱える大手企業の事例です。その企業では、オフィスも世界各地に点在しており、国を跨いだオフィス間のコミュニケーションに課題がありました。
そこでワークプレイスを導入することで、クラウドサービスを上手く活用し、各オフィス間の情報共有、業務連携を図ることに成功しています。

まとめ

ワークプレイスの導入は、今後の企業活動を発展させることを考えると非常に重要です。
時代背景や外部環境によって、ある種強制的に導入せざるをえない状況となった部分もありますが、とくに日本においては少子高齢化が差し迫った課題となっており、ワークプレイスの導入を急ぐ必要があります。
うまく導入して活用できれば業務の効率化をはじめ、従業員の満足度ならびに生産性を向上させることが可能です。
ぜひ自社の目標や目的に沿って、必要な機能を備えたワークプレイスを導入していきましょう。

まとめ

*記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。