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事例紹介

24時間365日止められないミッションクリティカルな基幹システムで利用する約3,000台の端末をアプリケーション仮想化ソリューション「Citrix XenApp®」でシンクライアント化

中部電力株式会社 様

2023年03月15日

24時間365日止められないミッションクリティカルな基幹システムで利用する約3,000台の端末をアプリケーション仮想化ソリューション「Citrix XenApp®」でシンクライアント化

「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし、社会の発展に貢献する」を企業理念に掲げる中部電力様。
24時間365日止められないミッションクリティカルな基幹システムで利用する約3,000台の端末をアプリケーション仮想化ソリューション「Citrix XenApp®」でシンクライアント化。端末OS依存からも解放され、運用負荷の軽減ととともに開発コストの低減も実現。

INTERVIEW

情報システム部 共通基盤グループ グループ長 部長 山田 健史 氏

情報システム部
共通基盤グループ
グループ長 部長
山田 健史 氏

 情報システム部 共通基盤グループ 課長 栗林 修 氏

情報システム部
共通基盤グループ
課長
栗林 修 氏

情報システム部 共通基盤グループ 中條 宏昭 氏

情報システム部
共通基盤グループ
中條 宏昭 氏

USER PROFILE

中部電力株式会社ロゴ

設立:1951年(昭和26年)5月1日
本社所在地:愛知県名古屋市東区東新町1番地
事業内容:電気事業およびその附帯事業、ガス供給事業、蓄熱受託事業、分散型エネルギー事業、
海外コンサルティング・投資事業、不動産管理事業、IT事業ほか

本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客さまにご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

導入の背景 端末に依存したアプリケーション環境からの脱却が急務に

OSのアップグレードで多大なシステム改修コストが発生

「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし、社会の発展に貢献する」を企業理念に掲げる中部電力様。同社は2011年に創立60周年を迎えたのを機に、2030年の目指す姿を定めた「経営ビジョン2030」を策定し、実現に向けた取り組みを推進している。

お客さまに安定した電力サービスを提供していくうえで欠かせないのが、24時間365日のミッションクリティカルな基幹業務を支える販売系システムだ。同社で管理する販売系システムの業務端末は主に、法人・個人のお客さまの契約情報や料金情報を管理する「営業系端末」、配電設備を管理する「配電系端末」、関係会社が利用する「関係会社端末」の3種類があり、その台数は合計で約3,000台にも達する。

同社の販売系システムは、長年にわたって構築・改修を進めてきた結果、ホスト系、クライアントサーバー系、Web系と多岐にわたり、それぞれのアプリケーションを操作する端末は固定されていた。そのため、端末にインストールされているアプリケーションの管理には多大な負荷がかかり、端末の取り替えやアプリケーション入れ替え時には、端末一台一台に対応していく必要があったという。

端末上で稼働するアプリケーションやミドルウェアも、OSに最適化されて作成されているため、どの端末でも同じアプリケーションが利用できるわけではない。しかも自社開発のアプリケーションが多く、Windows 2000やWindows XPといった古いOS上でのみ稼働するものも多かった。「OSのサポート切れなどでバージョンアップを迫られるたびにアプリケーションの改修が発生し、相当のコスト負担と改修の手間を覚悟しなければなりませんでした」と、情報システム部 共通基盤グループ グループ長 部長の山田健史氏は振り返る。

端末のライフサイクル管理を効率化して管理コストの削減へ

また、端末は配電設備の管理で利用する「ハンディターミナル」や「バーコードリーダー」、認証用の「磁気カードリーダー」など、さまざまな周辺機器との連携が発生したり、ホスト系のエミュレータソフトウェアが稼働したりするなど、通常のPCと比べて特殊な環境である。その結果、端末調達時は競争原理が働かず、特定ベンダーに依存しがちとなることから、コスト高となることも課題だった。

さらに、約3,000台もの端末のライフサイクル管理も、運用を担う情報システム部の負担になっていたという。同社では、端末のライフサイクルを5年に定めて入れ替えを進めてきた。それと並行してOSのアップグレードも発生するため、随時対応しなければならない。その結果、設備計画が複雑化し、作業の属人化を招くことになっていた。情報システム部 共通基盤グループ 課長の栗林修氏は「電気料金を少しでも安くするために全社をあげてコスト削減に取り組んでおり、情報システム部門としても効率化やコスト削減が命題となっています。その中で販売系システムの業務端末に関しては、OSなど外部環境に依存しない運用管理体制を確立する必要がありました」と語る。

拠点震災時の事業継続性確保も課題のひとつだった。情報システム部 共通基盤グループの中條宏昭氏は「70近くの事業場に業務系サーバーがあり、運用管理の負荷が発生していました。また、事業場の建屋はデータセンターと比較して堅牢性の低い建屋に設置しているため、災害などで事業場が被災すると、事業場にあるサーバーにアクセスすることができなくなってしまうなど、事業継続性の面でも課題がありました」と説明する。

選定理由 周辺機器との接続性と、挟帯域への対応を評価してCitrix XenAppを採用

日本ユニシスの実績と、システム面での優位性と信頼性の高さを評価

システム運用コストの削減と事業継続性の確保を目指した中部電力様は、端末本体にアプリケーションを置かないシンクライアント・ソリューションの導入を2008年から検討。日本ユニシスをパートナーに指名し、アプリケーションを仮想化して端末にネットワーク経由で配信するCitrix社のXenAppを採用した。

日本ユニシスの選定について栗林氏は「長年にわたり日本ユニシスのメインフレームを利用して販売系システムを構築してきた実績があり、その接点となるクライアント端末の導入支援先として、日本ユニシスを選定しました。当社の基幹業務を支えてきた実績とシステム面での優位性と信頼性の高さを評価すれば、日本ユニシスに任せるのは自然な選択です。こうした期待の中、日本ユニシスにはCitrix XenAppの導入プロジェクトにおいても、コアパートナーとして力強い働きをしていただきました」と語る。

日本ユニシスが提供する連携ソリューションを用いてすべての周辺機器と接続

シンクライアント・システムについては、複数のベンダー製品を検討。その中から、(1)ハンディターミナルやバーコードリーダー、磁気カードリーダー、スキャナーなどの周辺機器とのインターフェース、(2)通信帯域が20〜30kbpsという狭帯域でも利用可能な「ICAプロトコル」に対応していることの2点を評価し、Citrix XenAppを採用した。検討時は、Windowsデスクトップを丸ごと配信する「Citrix XenDesktop®」も比較検討はしたものの、ライセンスコストや導入実績、アプリケーション配信に特化した利用目的などを考慮してCitrix XenAppを導入することに決めたという。

「周辺機器との接続性は、他社の製品と比べてCitrix XenAppが最も高く、現行の業務アプリケーションをそのまま移行し、エンドユーザーに対して今までと変わらない操作性を提供するという当社の目的に合致していました」(中條氏)

ところが実機検証の結果、磁気カードリーダーやハンディターミナルなど一部の機器については連携ができないことが判明する。そこで、Citrix XenAppが対応していない機器については、日本ユニシスから提供されたUSBデバイス連携ソリューション「Virtual Channel Suite」を活用。Citrix社の標準SDKキットを利用して独自に開発するよりも、短期間・低コストで問題解決を実現した。

検証時には、管内に分散する支店、営業所での利用を考慮して、仮想的な狭帯域ネットワークにおける接続テストを実施。データ容量の大きな地図情報(画像情報)の表示も、ICAプロトコルによって高いレスポンスが担保できることを確認している。

シンクライアント化に際して、同社が大きく要望したのがサイロ化された既存アプリケーションやミドルウェアがシンクライアント環境下でもすべて稼働することだった。特に、クライアントサーバー型システムのアプリケーションは、端末上にユーザーの設定ファイルやログファイルなどを持ち、マルチユーザー環境での利用が想定されていない。こうした問題を解決するために中部電力様と日本ユニシスは、Citrix XenAppの「アプリケーション分離機能」を活用。クライアントサーバー型のアプリケーションでも同じリソースに複数のユーザーがアクセスして利用できるようにした。その結果、個々のアプリケーション改修の必要がなくなり、開発工数の大幅な削減につながったという。

2008年から始まったプロジェクトは、検証、システム構築を経て、順次シンクライアントに移行。システムの依存関係を考慮し、営業系、配電系といった業務システムごとにCitrix XenAppサーバーを分けて導入した。営業系端末については、2010年から2011年にかけて約1,500台分の端末をシンクライアント化。その後、配電系端末を約1,200台、関係会社向け端末を約300台と順次導入を進め、2012年末で約3,000台分のシンクライアント化が終了している。

導入の効果 端末1台あたり約40%の運用コストを削減

従来と変わらないアプリケーション環境をユーザーに提供

Citrix XenAppの導入によって中部電力様は、端末やOS環境に依存しない業務系システムへのアクセス環境を実現した。端末の電源を入れるとWindows OS特有の画面ではなく、Citrix XenApp専用のソフトウェア「Citrix Receiver」が起動。シングル・サインオンでユーザー専用環境にログインし、目的の業務アプリケーションをネットワーク経由で利用することができる。

業務アプリケーションは、既存の端末上で稼働していたものをそのままCitrix XenAppサーバー上に移行しており、操作性や表示画面、デバイス利用などもすべて従来と同様だ。中條氏は「シンクライアントへの切り替え時もスムーズに業務を移行できました。ユーザーからは、操作性、性能、レスポンスなどについて、大きな不満の声は聞こえていません」と述べる。

Citrix XenAppの導入は、システムおよび端末の管理運用面についても大きな効果をもたらした。業務系アプリケーションはすべてCitrix XenAppサーバー側で動作するため、管理者は端末単位のアプリケーションの管理や開発から開放された。そのため、端末の取り替えに伴うOS更新もアプリケーションへの影響を意識することなく実行できる。

端末の交換サイクルの長期化に成功

また、アプリケーションをサーバー側で一括管理するようになった結果、アプリケーションのライセンスコストの削減が実現。さらに端末の交換サイクルも、従来の5年と比較し、長期化が可能となった。交換サイクルの延長効果は、3,000台もの端末を管理する中部電力様としては非常に大きく、運用計画を司る情報システム部の工数削減に結びつくなど、管理コストの低減効果は確実に現れている。

「サーバーライセンス、アプリケーションの改修コスト、ライフサイクルの延長など、あらゆることを考慮すると、端末1台あたりのランニングコストは約40%ダウンしています。端末上にアプリケーションが存在しないことから、端末構築作業が軽減され、端末入札に競争原理が働いた結果、端末の調達コストも低減できました」(栗林氏)

事業継続対策についても、今まで約70カ所の事業場で管理していた業務系サーバーをすべてデータセンターに集約し、端末をシンクライアント化した。その結果、事業所が被災した場合でも、代替拠点を立ち上げそこにネットワークとシンクライアント端末を設置することで、従来と同様の業務がいち早く再開できる。

今後の展望 端末の台数増とサーバーの仮想化を検討

ITシステムを通して経営の効率化とコスト削減の実現へ

約3,000台の業務系端末をシンクライアント化した中部電力様では今後、対応端末の台数を拡大していく考えだ。 「現在専用端末として利用している配電系端末を、社内の汎用端末と統合していく予定です。そうなると、導入台数が一気に拡大することが想定されることから、今後はサーバーの仮想化による集約なども含めてサーバー台数の削減を検討していきます」(中條氏)

また、将来的には、デスクトップPCが主流を占める現在の端末をモバイルPCに置き換えてモビリティーを高めたり、営業支援ツールにタブレット端末を導入したりするなどして、業務スタイルの変革を図ることも構想している。

経営面における貢献も長期的な課題という。同社では現在、経営効率化に向けてグループ一体で業務再構築プロジェクトを立ち上げており、情報システム部ではプライベートクラウド環境の構築やオープンソース利用による更なる生産性の向上とコストの削減に向けて正面から取り組んでいる。山田氏は将来展望について「聖域なきコストダウンが求められている電力業界において、情報システム部門でも情報システム環境の維持、向上だけでなく、業務の効率化、可視化への取り組みがシビアに求められています。長年に渡り強力なパートナーシップを構築し、当社のシステムを熟知している日本ユニシスには、端末のシンクライアント化に留まらず経営資源の最適化、新しいIT技術の適用などの側面から、幅広い支援を期待しています」と語った。

導入のポイント

  • ホスト系、クライアントサーバー系、Web系と多岐にわたるアプリケーションの実行環境をCitrix XenAppに統合し、端末単位で発生するアプリケーション管理を廃止した。
  • アプリケーションやミドルウェアを仮想化して端末に画面配信することで、端末のOS依存から脱却を図った。
  • 旧端末は、業務に必須のバーコードリーダーや、ハンディターミナルなどの周辺機器に縛られていた。日本ユニシスの提供するソリューションで、周辺機器とシンクライアントとの連携を実現した結果、特定ベンダーの端末に拠らなくなり、競争原理による調達コストの削減につながっている。端末のライフサイクルの長期化も可能となり、運用管理コストが削減できた。
  • システムの選定に際しては、日本ユニシスのホスト系システムの構築実績と、システム面での性能と信頼性の高さを評価。シンクライアント・ソリューションについては、複数のベンダー製品の中から、周辺機器との連携と狭帯域でも利用可能な「ICAプロトコル」を評価してCitrix XenAppを採用した。

*Citrix、XenApp、ICA、Access Gatewayは、Citrix Systems,Inc. の米国あるいはその他の国における登録商標または商標です。
*Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
*Windowsの正式名称は、Microsoft Windows Operating Systemです。
*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。