事例紹介
経営状況を多面的・網羅的に分析できるDWHによってより戦略的なデータ活用と意志決定の迅速化を実現
株式会社サイゼリヤ 様
ソリューション、製品・サービス
2009年08月01日

USER PROFILE

設立:1973年5月1日
資本金:86億1,250万円
従業員数:正社員1,482名(2007年8 月期・単体)
準社員5,876名(2007年8月期・単体)
本社:埼玉県吉川市旭2番地5
事業内容:イタリア料理店「サイゼリヤ」をチェーン展開するフードサービス業
店舗数:770店舗(2008年6月末現在)
本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。
システムの概要
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システム名称:データウェアハウス(DWH)
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システム概要:複数の関連システムに蓄積されているPOS情報や生産・物流情報、勤怠情報などを一元的かつ効率的に管理・検索・分析するためのDWH
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開発期間:4カ月
導入の背景 積極的な店舗拡大にともなってデータ検索・加工の負担が増大
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『感覚に頼らず、科学的な根拠ある数値で判断する』という企業文化に基づき、POSや購買、生産、物流、人事・給与などの複数の情報システムを構築
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店舗拡大にともなう情報増加によってデータ検索のレスポンス低下。また、情報システム分析によるデータ加工の作業負担が課題に
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全社情報が集約されておらず、各部門から見たいデータについて、個別に対応(少人数の情シスにおいて、日々帳票作成に苦労)
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散在データの一元管理、共通ルールに基づいた整備が必要
経営戦略と店舗運営を支える複数の情報システムを構築
首都圏を中心に全国770店舗のレストランチェーンを展開するサイゼリヤ様は、自社農園や契約農家で栽培した新鮮な食材を計画的かつ効率的に工場・店舗へと配送し、「高品質の素材を使いながらもリーズナブルな価格」という魅力的なメニューを実現している。この同社のビジネスモデルを支えているのが、POSシステムや生産管理システム、物流システムなど、目的に応じて設置された複数の情報システムだ。
「当社には、『感覚に頼らず、科学的な根拠ある数値で判断する』という企業文化が根づいています。これは当社の正垣社長の信念でもあるのですが、以前から経営判断や店舗運営においては何よりデータを重視してきました」と語るのは、同社の取締役 経営企画部 部長である堀田康紀氏だ。
「例えば、各店舗の運営状況を分析する時には『人時売上高(従業員一人の一時間当たりの売上高)』という指標を重視します。この数値を見ると、店舗の売上高だけではわからない作業効率や人員配置のバランスも見えてくるからです。また、店舗開発においては、『ROI(投下資本利益率)20%』という基準を設けて、出店・退店を判断しています」(堀田氏)

さまざまな部門から寄せられる分析ニーズへの対応が課題に
このように戦略的なデータ活用によって店舗マネジメントや商品力を強化してきた同社だが、ここ10年間で店舗数を3倍強まで拡大、さらにはファストフードやファストカジュアルなど新業態の店舗もスタートさせるなど積極的な店舗拡大によって、次第にデータの量・種類が増大。これにともなって情報システム部ではデータ検索のレスポンス低下、データ加工の作業負担増加といった新しい問題に直面していた。
「当社では、POSや購買、生産、物流、人事・給与などの情報システム単位でデータベースを構築しているため、分析データを作成しようとすると複数のシステムから関連するデータを探して、ひっぱってこなくてはなりませんでした。しかも複雑な分析が必要な場合には、抽出したデータをエクセルなどに移行してグラフ化する作業も必要だったのです」と、情報システム部 課長の杉山完二郎氏は語る。
戦略的な情報活用を重視する同社では、事業部長やエリアマネジャーをはじめ、食材の仕入担当、生産管理担当、物流担当など、さまざまな部門から、多種多様な分析ニーズが情報システム部に寄せられている。そうした要望へのレスポンスを高めることは、杉山氏にとっても重要な課題となっていた。
「当然、私たちとしてもできるだけ迅速に“生きた情報”や“役立つ情報”を現場に届けたいという思いはありました。しかし、これまでのような手作業でデータを抽出・加工する方法には、限界を感じはじめていました」(杉山氏)
そこで同社では、各情報システムに蓄積されているデータを一元的に管理・検索できる新しい仕組みの導入を決断。汎用パッケージソフトからオーダーメイドのシステム設計まで、さまざまな商品やベンダの比較検討を開始した。
選定理由 柔軟性、操作性、実績、コスト すべてにおいて高く評価できた『MartSolution』
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目的に応じて自由にプログラミングができる柔軟性の高さ、コストパフォーマンス
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サンプルが豊富でウィザード(対話)形式で設問に答えるだけで容易に新しい検索の仕組みができる
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.NET開発およびDWH構築における豊富な実績とノウハウ
将来の事業展望も見据えてさまざまな商品・ベンダを比較検討
選定にあたってサイゼリヤ様が重視したのは、(1)今後ますます多様化していくであろう分析ニーズに応じて自在に機能を追加・拡張できる柔軟性・自由度の高さがあること、(2)さまざまな業種・業態での導入実績があること、(3)低コストで導入できること、(4)自社で開発運用できるシステムであること、(5)ユーザビリティ(Webベースでの簡易性、グラフ・画面などの表現力の豊富さ)に優れていること、という5点だった。
「展示会に足を運んだり、ベンダの話を聞いたりして、いろいろな商品を見たのですが、自由度が高いと信頼性にやや不安があったり、豊富な実績をもつ大手ベンダだと莫大な費用がかかったり…と、正直、どれも決め手に欠けました」と情報システム部課長の須藤政博氏は当時を振り返る。そうしたなか、須藤氏、杉山氏の目にとまったのがBIPROGYが提供しているWindows®/.NETベースのDWH(データウェアハウス)構築支援ツール『MartSolution』だった。
「何といっても魅力的だったのが、目的に応じて私たちが思うようにプログラミングできる自由度の高さでした。その一方で、サンプルが豊富に入っていて、ウィザード(対話)形式で設問に答えていくだけで、あっという間に新しい検索の仕組みができるという手軽さも兼ね備えている。またBIPROGYのもつ実績、コスト面、開発期間にも惹かれました。.NET開発およびDWH構築に関する豊富な実績とノウハウをもっていることも大きなポイントで、ようやく納得のいくものを見つけたと思いましたね」(杉山氏)

導入の効果 データ検索、加工作業の効率が飛躍的に向上
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Windows®/.NETベースのシステムとしたことで操作性や開発生産性が向上
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データ検索に要する時間が従来の6分の1まで短縮、加工にかかる業務負荷も大幅に低減
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必要な源泉データを本社サーバに自動で集約・蓄積する仕組みを構築
開発作業を通じて加工・編集のしやすさを実感
こうしてサイゼリヤ様は2007年8月にMartSolutionの正式採用を決定し、第1フェーズとして、週別の来店客数やメニュー別の売上数量などの「基本情報」をWebブラウザ上で簡単に検索できる新しい検索システムの構築に着手。基礎部分をBIPROGYがつくり、それをもとにサイゼリヤ様が追加開発するという分担体制で開発を進めた。
「この作業を通じてMartSolutionのインタフェースの分かりやすさ、加工・編集のしやすさを実感しました」と杉山氏は言う。
「これまでは同じ『売上数字』を抽出するにも、対象店舗や対象期間が違うだけで煩雑な作業が発生したのですが、今回のシステムでは同一の画面上で『店舗名』『期間』『項目』などの条件を切り替えるだけで欲しいデータが簡単に検索できます。おかげで作業効率が飛躍的に高まりましたね」(杉山氏)
各部門にとっても利便性の高い情報活用環境を構築
また、データベースサーバには、戦略的な情報活用とデータ分析を支援するMicrosoft® SQL Server™ 2005を採用。さらに、分析に必要な源泉データを本社サーバに自動で集約・蓄積する仕組みも構築し、一元管理されたデータベースから柔軟にレポーティングできる基盤を実現した。これによって情報システム部の作業効率を高められただけでなく、データを必要とする各部門にとっても利便性の高い情報活用環境を整えた。

「良い意味で、今回のDWH構築はBIPROGYにぐいぐい引っ張られたという感じでした。ベンダとしての意見を押しつけるでもなく、私たちの要望を聞くだけでもなく、共同開発のようなスタンスで真剣に取り組んでもらえたことに感謝しています。緊張感をもってディスカッションを重ねられたおかげで、思い通りのものができました。また、MartSolutionという製品を通じて、これまでさまざまな企業のシステム構築を支援してきたBIPROGYの経験値の高さを実感しました。いままでいろいろなベンダとお付き合いしてきましたが、営業担当の方だけでなく、SEの方々までも当社の業態や企業特徴をきちんと理解していてくれたことに、正直驚いたくらいです」(杉山氏)
こうして2007年12月にプロトタイプが完成。この新しいDWHでつくられた各種レポートはポータルサイトを通じて各部門に公開された。
今後の展望 多面的・網羅的なデータ分析によって経営戦略の的確性・実効性を強化
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レポートのバリエーションを増やし、DWHで抽出・分析したデータを経営的な視点から有効活用
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店舗でも各種分析データを閲覧できるようにし、店長や従業員の目標管理・モチベーション向上にも活用
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国内外の店舗を横並びで評価できるようなシステムを構築
店舗オペレーションへの応用や海外展開も視野に
「公開しているWeb検索レポートは、各部門のスタッフからも大変好評で、『今度はこんなグラフをつくってくれないか』『次はこういう帳票がほしい』といったリクエストが多く寄せられるようになりました。データ検索に要する時間も従来の6分の1まで短縮されて作業効率も高まりましたし、これを機に当社のデータ活用もさらに活発化していくものと期待しています」(須藤氏)
現在、同社ではDWHによって抽出・分析したデータを、より経営的な視点から有効活用するための準備を進めている。そのキーワードを、堀田氏は「多面性と網羅性」と説明する。

「今回のDWHは、当初、データの一元化を目的にしていましたが、この仕組みがもつポテンシャルの高さを確信しています。私たち外食産業というのは、日曜日が1日少ないだけで月間売上が大きく変わる…と言われるように、いろいろな条件・要素に左右されるビジネスです。それ故に、刻々と変わる状況を科学的な手法で分析して、より実効的な“次の一手”を打つことが求められます。その点で、このDWHは強力な経営ツールになると思います。グラフや表など視覚的な資料も容易に作成できますし、今後もレポートのバリエーションをどんどん増やして、当社の経営状況を多面的に、網羅的に検証できるようにしていくつもりです」(堀田氏)
その一環として、同社では店舗でも各種分析データを閲覧できるようにし、店長や従業員の目標管理・モチベーション向上にも活かしていくことを計画している。また、将来的には海外への店舗展開にも活用していきたいと、堀田氏は言う。
「当社は現在、オーストラリアにある自社農場・工場から食材を調達しているほか、中国をはじめとするアジア地区での海外出店を進めています。国内外ともに店舗運営をコントロールする方法は同じですが、会計システム、食材料調達に関する為替変動や関税などに違いが生じてきます。こうした諸条件を考慮したうえで、国内外の店舗を横並びで評価できるようなシステムを構築したいと考えています。そのためにもBIPROGYの積極的な提案を期待しています」(堀田氏)
事例のポイント
サイゼリヤ様は、POS、購買、生産、物流、人事・給与などの複数の情報システムに蓄積されている膨大なデータを、生きた経営情報として効率的に活用するためにWindows/.NETベースの『MartSolution』を活用したDWHを構築した。構築のポイントは、次の通り。
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「自社での開発・運用、機能の追加・拡張が容易にできる柔軟性」「低コスト・短期間での導入」「ユーザビリティの確保」などの要望に応えるため、BIPROGYのWindows/.NETベースのDWH構築支援ツールMartSolutionを活用し、使いやすさと短期開発を実現
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同一の画面上で『店舗名』『期間』『項目』などの条件を切り替えるだけで欲しいデータが簡単に検索できるインタフェースを構築し、作業効率を向上。データ検索に要する時間も従来の6分の1まで短縮
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分析に必要な源泉データを本社サーバに自動で集約・蓄積する仕組みを構築
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データベースサーバには、戦略的な情報活用とデータ分析を支援するSQL Server 2005を採用
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一元管理されたデータベースから柔軟にレポーティングできる基盤を実現。これによって情報システム部の作業効率を高められただけでなく、データを必要とする各部門にとっても利便性の高い情報活用環境を整えた。
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BIPROGYの豊富なWindows/.NET開発実績・DWH構築実績がお客様に安心感を提供
情報分析システム概念図

- *MartSolutionは、BIPROGY株式会社の登録商標です。
- *Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
- *Windowsの正式名称は、Microsoft Windows Operating Systemです。
- *その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。