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事例紹介

激変する市場環境に対応する自由度の高い売上情報システムを『MartSolution®』で短期間に構築

花王カスタマーマーケティング株式会社 様

2009年03月01日

花王カスタマーマーケティング株式会社様:激変する市場環境に対応する自由度の高い売上情報システムを『MartSolution®』で短期間に構築。

USER PROFILE

花王カスタマーマーケティング株式会社の写真

花王カスタマーマーケティング株式会社
設立:1971年12月
資本金:18億2,957万円
従業員数:7,494名(2008年6月現在)
本店所在地:東京都中央区入船3-3-8
事業内容:花王および花王子会社・関連会社の製品の販売

本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

システムの概要

  • システム名称:売上情報システム
  • 導入期間:約8カ月
  • システム概要:毎日の売上情報を迅速に処理、さまざまな切り口で集計・分析して一覧表示するシステムをデータウェアハウス構築支援ツール『MartSolution®』で構築
  • システムユーザー数:約2,500人

導入の背景 売上情報を迅速に便利な形で提供できるシステムが必要に

  • 売上情報の処理に時間がかかりすぎていたため、システムの再構築を検討
  • 市場環境の劇的な変化にも対応できるタイムリーな情報提供が必要

消費者、販売・流通業、そのすべてがカスタマー

2007年4月、花王販売様と花王化粧品販売様との合併によって発足生した花王カスタマーマーケティング様。同社では、商品をご利用になる消費者はもちろん、商品を扱う販売店・流通業のすべての方々を「カスタマー(顧客)」と位置づけ、日々“カスタマー満足No.1企業”を目指した活動を展開している。

付加価値の高い花王ブランド商品に関する的確な情報提供をはじめ、消費者のニーズに合わせた品揃えや見やすく選びやすい売場づくりへのアドバイスなど、消費者と流通業の双方に満足いただくための「提案型の営業活動」を実践している。

そんな同社の日々の営業活動を支えているのが、販売計画と実績に関する各種データの検索や分析を、簡単に、かつスピーディにできる「売上情報システム」である。

社内組織や企業体制の変化を即座に反映できるシステムを検討

花王カスタマーマーケティング(当時・花王販売)様では、1990年代後半から大型汎用機とWebを組み合わせた仕組みで、全国の営業部門が扱う膨大な売上情報の管理と分析を行っていた。しかし、すべてのデータを大規模な基幹業務システム内で集中処理する仕組みだったため、組織変更による売上担当の組み替えや再集計などに相当の時間と手間を要していた。

「販売現場では市場状況に合わせて組織も柔軟に編成していく必要があります。しかし、それをシステムに反映させようとすると、変更規模によっては数字を費やし、基幹業務システムのサービスを一時停止させて更新作業を実施する必要がありました。現場が必要とするのは鮮度の高い情報の分析結果です。今後、より迅速な顧客サービスを実現していくためにも、基幹系を含むハードウェアまで抜本的な見直しを行い、システムを再構築する必要があると考えていました」

一方、昨今のように経済環境がめまぐるしく変化する時代にあっては、社内組織に限らず、流通環境も大きく変わっていく可能性がある。こうした変化を即座に反映させつつ、最新の売上情報を、営業部門をはじめとした社内の各担当者に、より便利な形で提供できる——同社はそんな売上情報システムを必要としていた。

藤尾 孝也氏の写真

選定理由 高い柔軟性と開発生産性、BIPROGYの対応力を評価

  • Windows®/.NETプラットフォームおよび構築支援ツールによる高い開発生産性
  • 高いデータ処理能力
  • Webブラウザで情報を提供する拡張性
  • データの検索項目を簡単・自由に設定できる柔軟性

膨大なデータもスピーディに処理、タイムリーな売上情報を提供

こうした背景をもとに、花王カスタマーマーケティング様は、激しい環境変化に対応する売上情報システムの導入に向けて、2003年9月からデータウェアハウスを活用したシステムを検討し始めた。当時を振り返って、情報システム部門の金川辰也氏は次のように語る。

「当初、各社からの提案を受けて、大量のデータ分析に適したパッケージソフトを検討しました。しかし、これらの製品の多くは、“様々な分析ができる”と謳っている反面、柔軟性やパフォーマンスなど、重要な要素に欠けていることも多い。つまり、機能は豊富なものの、どれも我々のニーズにピタリとは当てはまらないのです。一方で、当社が必要としない機能が数多く搭載されているために、コスト的な視点から見ると余分にかかってしまうともいえます。かといってこれをカスタマイズすると膨大な追加投資が必要になる…。そんな時、BIPROGYから提案されたのが『MartSolution®』でした」

金川 辰也の写真

MartSolutionは、Windows®/.NETベースで高い開発生産性を実現したBIPROGYのデータウェアハウス構築支援ツールである。新しいシステムを一から開発する場合に比べて開発工数は極めて少なく、短期間にデータウェアハウスを構築できる。

また、過多になりすぎない最適な機能で、膨大なデータもスピーディに処理し、常に最新の売上情報が反映された分析・検索結果を確認することが可能だ。分析レポートはWebブラウザで表示されるため、社内の各部門だけでなく関連会社など多様なカスタマーに情報を提供でき、拡張も容易である。さらに、ユーザーの階層や職種などに応じて提供するデータを限定するといったアクセス権限も設定でき、情報セキュリティ面でのニーズにも応える。

簡単・自由に検索項目を設定できる柔軟性がポイント

加えて、「ハーフ・ハンドメイド」という側面を備えている点もMartSolutionの大きな特長だ。簡易であればGUI(注)ベースで、複雑な場合は公開ソースを修正しての帳票作成が可能であり、ユーザーのニーズに合わせて、データの抽出や表示を自由に設定することができる。

金川氏も以下のように評価する。

「データの抽出・表示だけでなく、インタフェース上の情報の見せ方なども簡単に設定・変更できますので、私たち情報システム部門の負担も減り業務の効率化も見込めると思いました」(金川氏)

こうしたMartSolutionの魅力に加えて、藤尾氏はBIPROGYの対応力についても高く評価している。

「担当されたBIPROGYのSEは、パッケージソフトの検討段階でプロトタイプの作成を依頼してから、わずか3〜4日程度でつくり、デモンストレーションを行ってくれました。当社のニーズがうまく伝わっているか心配でしたが、そういった部分もしっかりと把握した的確なプランが仕上がってきました。こうした対応の素早さ、問題解決のための設計力なども、当社がBIPROGYをパートナーに選んだ大きな理由です」(藤尾氏)

(注)GUI:グラフィカル・ユーザー・インタフェース(Graphical User Interface)の略。画像やアイコンなどを使って情報を視覚的に表示したインタフェースのこと。

導入の効果 開発スピードが大幅アップ、使い勝手も向上

  • 単純な開発作業であれば、生産性が約4倍にアップ
  • 「把握したい情報」が一括表示され、迅速かつ客観的な課題発見と解決が可能に

利用者にとって必要な情報を簡単に入手できる新システムが短期間で完成

2004年3月、システムの再構築プロジェクトが本格的にスタートし、同年11月からは一部仮オープンの形で稼働を開始した。

「MartSolutionを採用して感じた最大のメリットは、やはり開発生産性が高く短期間で構築できたことです。コーディングレベルでの生産性はおおよそ4倍です。そのおかげで、“スパイラルアップ”方式でシステムを構築しましたが、この優れた開発生産性によって捻出された時間を、ユーザーと共同での検証・評価に充てることができました」(金川氏)

システムを利用する各担当者にとっても、「商品」「組織」「チャネル」「チェーン」「エリア」「累計」「トレンド」「支社」「支店」「ブランド」など、それぞれが必要とするさまざまな条件に合わせてデータを自在に分析・表示できるようになり、使い勝手が大きく向上した。

さらに、簡単な操作で「把握したい情報」を整理し一括表示することも可能になり、これらの機能を活用して、同社の営業部門では迅速かつ客観的に課題を発見し、解決に取り組むことができるようになった。

新システム移行時の処理スピード低下はデータマートのチューンナップで対応

ただし、想定外の出来事もあった。稼働後しばらくは試験運用期間として旧売上情報システムを並行稼働させていたが、5カ月後の2005年4月に旧システムをクローズさせ、新システムへの完全移行に踏み切ることにした。ところが、そのさい、旧システムを利用していたユーザーが本格的に新システムに移行した結果、システム負荷が急激に上昇して処理スピードが低下する問題が発生したのである。

その時の様子を、管理部門 営業情報部 マネジャーの八田朋則氏は、以下のように語る。

「一番多かったのは『応答速度が遅い』という苦情でした。検証期間中、システムに過大な負荷をかけるラッシュテストは何度も実施したのですが、やはり想定外の問題が起こるものですね。いろいろ対策を講じましたが、一番有効だったのはデータマートをチューンナップして、処理を最適化することでした。ただしチューンナップには技術的な専門知識も必要なので、BIPROGYに応援を依頼することにしました。すると、すぐにSEが駆けつけてくれ、一緒に問題解決にあたってくれて3カ月ほどで問題が解決しました。非常に助かった出来事でしたね」

八田 朋則氏の写真

今後の展望 データをビジュアル化する機能の強化を

  • 単純な開発作業であれば、生産性が約4倍にアップ
  • 「把握したい情報」が一括表示され、迅速かつ客観的な課題発見と解決が可能に

業容拡大に対応し、さらなる高度活用や生産性向上の実現をめざす

その後、2007年4月の合併により花王カスタマーマーケティング様の業容は大きく拡大した。

「化粧品と家庭品とでは販売形態などが異なることもあるため、合併によって販売管理に必要な情報の切り口も今まで以上に多様性が求められるようになりました。しかしMartSolutionを駆使すればデータマートの構成内容が簡単に把握でき、『できることと』『できないこと』が明確に分かります。そのため機能・項目の追加などに関する試行錯誤が最小限で済みます」(八田氏)

システムを使った業務シーン

八田氏は「今回も本稼働のさいには、不測の事態も発生するでしょう」と予測するものの、「そのさいには、前回のノウハウが必ず活きる」と自信を示す。

「今後の要望としては、集計・分析したデータをグラフなどにビジュアル加工してアウトプットする機能の強化があります。MartSolutionにもグラフ化機能はありますが、満足できるものとはいえません。ほかのソリューションとの連動も含め、さらに生産性を高めるための仕組みが欲しいですね。BIPROGYには、これらの実現を含め、今後ともいろいろとご協力いただきたいと思っています」(藤尾氏)

事例のポイント

経済環境がめまぐるしく変化するなか、最新の売上情報を集計・分析し、いち早くユーザーに提供するため、花王カスタマーマーケティング様では、データウェアハウス構築支援システム『MartSolution』を活用した売上情報システムを再構築した。そのポイントは以下の通り。

  1. 処理性能と開発生産性に優れた開発支援ツール
    MartSolutionは、大容量データウェアハウスにも対応する高い処理性能を備えており、膨大なデータもスピーディに集計・分析。Windows/.NETプラットフォームおよび開発生産性に優れたツールを採用することによって短期間での構築を実現した。
  2. 簡易なインタフェースで直感的な操作が可能
    ユーザーが設定したデータを、データマートと連動して視覚化し、画面上に情報別・切り口別に見やすく一覧表示する。定型検索やそれぞれのカテゴリー別の詳細なレポート参照も可能。表示・非表示の切り替えも簡単に行える。
  3. 多様な検索項目を柔軟に設定可能
    MartSolutionは「ハーフ・ハンドメイド」という側面も備えており、ユーザーの特別な検索要件にも応える。通常のパッケージ製品にユーザーが手を加えることはできないが、MartSolutionではユーザーが作成したプログラムと容易に連携することができるため、多様な検索のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能になっている。
  4. BIPROGYの迅速な対応力と高いスキル
    今回の売上情報システムの再構築では、花王カスタマーマーケティング様の求める複雑な要件に対してBIPROGYのSEが高い理解力を発揮。それを実現へと導いた設計力、さらに提案まで数日という迅速さが高く評価された。また情報システム部門から寄せられた質問への的確な回答、次善策の提案など、ソリューションに関する知識や技術など、高いスキルが信頼感・安心感を得るポイントとなった。
売上情報システム概念図
  • *MartSolutionは、BIPROGY株式会社の登録商標です。
  • *Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
  • *Windowsの正式名称は、Microsoft Windows Operating Systemです。
  • *その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。