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事例紹介

合併後の新プラットフォームにES7000を採用。SAP R/3を稼動させてノウハウを磨き、今後は顧客への提供も目指す。

株式会社中電シーティアイ 様

2004年11月04日

合併後の新プラットフォームにES7000を採用。SAP R/3を稼動させてノウハウを磨き、今後は顧客への提供も目指す。

2003年10月の合併に伴うシステム見直しで、他社機から日本ユニシスのES7000に移行した中電シーティーアイ。
新プラットフォーム上で稼動させているSAP R/3経理システムは、社内の業務システムにとどまらず、ノウハウを蓄積して、今後はソリューションとして顧客企業に提供する計画だ。
「SAP on ES7000 ソリューション」の導入効果とインパクトについて、プラットフォームサービス事業部の竹尾好春グループリーダー、同事業部の清 美砂緒主査、システムソリューション事業部の越山秀一主査にお話を伺った。

本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

INTERVIEW

プラットホームサービス事業部基盤システム部一般グループリーダー

竹尾 好春 氏

プラットホームサービス事業部基盤システム部一般グループ一般チーム主査

清 美砂緒 氏

システムソリューション事業部ERPシステム部主査

越山 秀一 氏

900人を擁する東海地区有数のIT企業

中電シーティーアイ(以下、中電CTI)は2003年10月1日、中部電力のIT関連企業である(株)シーティーアイ(CTI)と中電コンピュータサービス(CCS)とが合併して設立。CTIはコンピュータセンターを持ち、インターネット環境構築や環境シミュレーション解析などの技術力に優れる。一方のCCSは、中部電力およびグループ各社の大規模基幹系システムの開発・保守を中心に事業を展開してきた。合併して出来た中電CTIは資本金25億円、従業員数約900人、売上高約250億円(平成15年度)。東海地区のIT関連企業としてはトップレベルの事業規模を持つ。

会社写真

— 中電CTIのIT関連企業としての特徴や強みは何ですか。

竹尾氏:中電CTIの事業全体の約90%は中部電力が占めており、残りが官公庁を含めた一般のお客様です。一般のお客様は中部圏に広がっており、合併後はこの一般のお客様へのビジネスの拡大を目指しています。IT企業としての中電CTIの特徴は、親会社である中部電力の大規模、かつ高い信頼性を求められるシステムの設計、構築、運用に関する高度なノウハウを持っていることです。

— 高度なノウハウの例を具体的に教えていただけますか。

竹尾氏: 例えば、データの可視化や環境解析といった科学技術関連分野のノウハウがあります。一例を挙げれば、伊勢湾の温度分布をシミュレーションし、それを可視化して顧客企業にレポートを提出するといったサービスを提供しています。この際に重要になる解析技術やノウハウは、全国的に見ても屈指のレベルを誇っています。また、セキュリティ関連での認証局の運営やノウハウ、プラットフォームとしてのデータセンター事業に関するノウハウなども豊富です。

中電シーティーアイ写真

合併に求められたプラットフォームの条件

合併前の従業員はCTIが300人弱で、CCSは約600人であった。新会社の目指すべき姿は、

 ・ITソリューションのリーディングカンパニー、
 ・中部電力グループ唯一の情報系シェアードサービス会社
ということになった。

竹尾氏の写真

— 合併後の新しいプラットフォームとして日本ユニシスのES7000を採用されました。この背景をお聞かせください。

越山氏:合併以前は他社のサーバを使っていたのですが、合併によって人数的に規模が3倍以上になることから、もっとパワフルなマシンが必要になりました。また、2002年4月からCTIで稼働を始めていたSAP R/3を新しいプラットフォームでも使用することになったのですが、導入の前提として3つの原則を掲げました。それは、短期導入を達成する、パッケージに合わせた業務のやり方に変える、システム構築はアドオンレスで行う、というものです。この原則に従い、BMIというIT業界向けのテンプレートをほぼそのままの形で導入・運用していくことにしました。

— アドオンレスですか。それはどういう意味ですか。

越山氏:それまでの失敗事例を検証した限りにおいてですが、アドオンプログラムが膨大な量になることによって、厳しい状態に陥っているケースが圧倒的に多かったからです。そこでアドオンレスに挑戦しようということになった。そんな折り、日本ユニシスでテンプレートを活用したシステムを推進していることを知り、セミナーに参加しました。そこでES7000に巡り合ったわけです。ES7000はホストコンピュータにも匹敵するのではないかと思えるほどの拡張性を持っており、そこに着目しました。

— 合併に伴うシステムの見直しに関しては、プラットフォームの見直しとともにデータベースの不具合の見直しも必要だったということですが…。

越山氏:はい。データベースは某社製品を使っていましたが、運用・保守に手間がかかるという問題がありました。例えば日々監視をしていて、データベースの領域の拡張が必要になった時に、当時のバージョンでは自動拡張されなかった。それに対して、Windows® SQL Serverの場合は自動的に拡張されるので、逐一、業務を中断して、人間が手作業でデータベース領域を拡張するといった手間がかからない。また、コスト削減効果が高いというメリットも魅力でした。

拡張性と保守サービス体制の良さでES7000を選ぶ

中電CTIがシステムの見直しを図り、ES7000を導入機種に決定したのは、2003年10月の会社統合のわずか半年前である。IT関連企業なので、一般の企業に比べればITに詳しいという事情はあったにしても、異例の短期間といえる。

— その間、かなり慌しかったでしょうね。どんな点で苦労しましたか。

越山氏:ES7000に決まってから、どこに、どういう構成で、何のシステムを乗せようかということで悩みました。なにしろ、導入を検討している段階では、ES7000は同等クラスのマシンでは世界最速でしたから。せっかく、これだけ性能豊富なマシンを導入するわけですから、システムの拡張というか、モジュールをもっと追加できないかと。ただし、時間がなく、両者合併という特殊事情もあるので困難でしたが。合併時のIT部門のスタッフは、インフラ関連で2人、開発関連で8人の合計10人体制で臨みました。

— 先ほど、ES7000の拡張性に注目されたということでしたが、最終的に選ばれた理由もそこがポイントですか。

越山氏:はい。まず拡張性ですね。SQL Serverの領域の自動拡張機能に代表されるように、1台のマシンで膨大なメモリー領域を確保できるのがES7000の大きな魅力です。もう一つは保守サービス体制の良さ。これだけの性能を持ったマシンなので、保守サービスが重要になってきます。その点、日本ユニシスの保守サービス体制はキメ細やかで、安心できました。

竹尾氏:当社の場合、ホスト系システムが日本ユニシスであり、常駐に近い体制でシステムの運用監視、保守をして貰っているという前提があります。

— ES7000によるシステムの特徴、従来との違いについてはいかがですか。

清氏: ES7000上ではCTIで稼働していたSAP R/3経理システムを稼働させています。経理システムとして稼働しているモジュールにはCO、FI、SD、PSの4つがあるのですが、やはりES7000がメモリーを潤沢に搭載していることで、十分な対応を図ることが出来たと思います。

越山氏: SAP R/3導入以前との比較という点で補足すれば、SAP R/3以前は担当部署ごとに個々バラバラに市販のパッケージシステムを導入していました。従ってシステム的な連携がうまく取れていなかったのですが、SAP R/3を導入したことによって、統合型パッケージとしての効果が得られるようになりました。

— 個々バラバラのパッケージは、ある意味ではユーザーにとって使い勝手がよく、逆にSAP R/3は当初は使いづらいと感じる面もあろうかと思います。SAP R/3に移行する際、社内にはどんな説得の仕方をしたのですか。

越山氏:基本的には「ベストプラクティスに取り組む」というトップダウンの下に、ユーザー教育を徹底しました。具体的には、各部署にシステム担当を2人置き、彼らを中心に操作を中心にした教育を施し、その担当が部署内のユーザー教育を担当するという方式です。教育は勤務時間内に実施しました。それは、SAP R/3の導入が業務の一環であるということを意識づける上で効果的だったと思います。

設置スペース確保で思わぬ苦労も

— ES7000導入に際しての苦労、SAP R/3を従来機から乗せかえる際の問題点などがありましたら、聞かせてください。

清氏:システム的な苦労じゃなく、"ベタ"な話なんですけど(笑)。機材が思ったより大きいので、急遽、設置スペースを確保する必要がありました。また、リモートメンテナンスのための設備やシステムも提供して貰ったのですが、別のシステムとの調整を取る必要に迫られました。いずれも当初は想定していなかった問題で、大きなシステムで、しっかりとメンテナンスをして貰うためには、そうした下ごしらえも必要だなと思った次第です。
越山氏:私も導入の際に立ち会ったのですが、1台のマシンだと想定していたのが、各部品によってサーバマシンが7台構成になっていて驚きました。1台のラックの中でWeb用のITSサーバが2台、それから本番用と開発用に分けた構成にしたのですが、スペース的になかなか収まりがつかず、苦労しました。もっともこれは、我々の苦労というより、日本ユニシスさん側のご苦労ということになると思いますが(笑)。ギリギリの状態で何とか押し込んだという感じでした。モニタ画面も、当初は1台を予定していたのですが、機材の関係上、2台のモニタが必要になり、いったい何処に置くの?と。その辺の機器構成の組み方にも工夫が必要でした。

越山氏の写真

— SAP R/3のHRモジュールに関しては、今回は保留状態になっているようですが、理由を教えていただけませんか。

越山氏:HRモジュールに関しては、法令改正のためのサポートパッケージ(SP:パッチ集)があるのですが、BMIのテンプレートの保障範囲が最新版より低かった。つまり、法令改正により最新のSPを当てる必要があったのですが、当時は最新版が出ていなかったのです。それまではHRモジュールが他のFIやCOに関連するSPに影響することはなかったのですが、最新のSPを当てるには基盤からレベルアップしていかねばならず、その数は50以上に達しました。それを処理していたら、検証に時間がかかり、とても半年では不可能と判断したのが保留の理由です。

— 50以上も!それは大変ですね。

越山氏:ええ。法令改正が適用されない部分だけでも何とかならないかという考え方もあったのですが、HRは給与計算と連携しており、給与計算に法令改正を当てないことはあり得ないことから保留にしたわけです。ただし、旅費精算システムもSAP R/3上で稼働させており、その際にHRモジュールの中のマスター管理系である組織管理と人員管理の機能は生かしています。

— それ以外に、今回のES7000による新システム構築で困ったことはありましたか。

越山氏:一つ一つの作業について、コンサルティング会社から判断を仰がれたことですね。例えば「いまからこれをこうするが、よろしいですか」とか、「不具合が生じた場合、A案とB案でリカバリーしますが、どちらの方法にしますか」といった具合です。詳細な前後関係を熟知していれば我々もゴーサインが出せるのですが、それが分かっていないだけに、針のむしろに座らされているような心境を味わったこともあります。

清氏の写真

社内活用でノウハウを磨き、今後は顧客にも提供

— プラットフォームを日本ユニシスのES7000に移行したシステムがカットオーバーしたのは2003年5月。既に1年半ほど経ったわけですが、どんな効果が出ていますか。

竹尾氏: ES7000によるSAP R/3はかなり浸透してきており、とくに経理部門や総務部門では意識せずに、いわば当然のように活用しています。
越山氏:逆に、SAP R/3に慣れてきたために、合わなくなってきたという面も若干出てきました。つまり、アドオンレスで、テンプレートのシナリオに沿って導入を進めてきたわけですが、1年以上経って使い方に慣れた結果、「もっと使いやすくならないか」といった機能の見直しや、「こんなことが出来ないか」といった新たな機能への要求が出始めてきたわけです。

— その要求に対して、どう対応していくのですか。

越山氏:パッケージに業務を合わせる、アドオンレスでシステムを構築するという大方針でなければ、短期間でのES7000導入やシステム移行は不可能でした。従って、この方針を見直してシステム拡張を図るのか、従来どおりの方針を貫くのかは現在検討中です。
竹尾氏:トップダウンで仕事のスタイルを変える、つまり、標準化したパッケージに業務を適合させることによって業務革新を図るのが当初の目標でした。そうは言っても、実際にはなかなかパッケージに対応できない部分もあると思いますが、現時点では仕事のスタイルを変えるというレベルにまではまだ到達していない。まだ変革すべき部分が残っているので、これを達成する必要があると思っています。それが実現された段階で、中長期的にどうするかの検討に着手しているところです。

— 今回のES7000導入はあくまでも中電CTI社内の業務を対象にしたシステム化ですが、将来、中部電力のシステムに反映させるといったことはあり得るのですか。

竹尾氏:いまのところその予定はありませんが、一般顧客を対象にしたシステム構築という面では、照準を合わせています。つまり「SAP on ES7000」というソリューションを一般企業に提供するため、当社自らがユーザーになって機能の検証やノウハウの蓄積を図っているわけです。

— なるほど。自ら経験すれば、顧客に提案する際にも説得力が違うでしょうね。さて、今後のシステム展開ですが、どんなプランをお持ちですか。

竹尾氏:合併して1年が経ち、合併以前のCTIとCCSの文化の違いなども少しずつ顕在化してきています。これは当社に限らず、合併企業には大なり小なり起きること。そこでいま、社内システム全般の基本計画を見直そうとしています。SAP R/3のHRモジュールの採用をどうするかも、この見直しの中に入っています。

サーバの写真
  • *MicrosoftおよびWindows、SQL Serverは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
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