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事例紹介

AI自動発注サービス「AI-Order Foresight」を導入、担当者の発注業務の時間を60%削減、値引き・廃棄ロスも低減

株式会社静鉄ストア 様

2023年03月27日

AI自動発注サービスの導入で発注業務の時間を60%削減、値引きや廃棄ロスも低減

フロア部門の一体化、多能工化を推進、まずは発注業務の見直し、標準化を計画。
デイリー商品の発注にAI自動発注サービス「AI-Order Foresight」を導入、担当者の発注業務の時間を60%削減、値引き・廃棄ロスも低減。
今後はグロサリー商品の発注もAI自動発注サービスの活用を検討中。

INTERVIEW

株式会社静鉄ストア 取締役 管理本部 副本部長 経営管理部 部長 内田 健一氏

株式会社静鉄ストア
取締役
管理本部 副本部長
経営管理部 部長

内田 健一 氏

USER PROFILE

しずてつストアロゴ

株式会社静鉄ストア
設立:平成11年1月27日
資本金:1億円
本社所在地:静岡県静岡市葵区末広町95番地
社員数:478名 スタッフ社員1,951名(2023年1月現在)
事業内容:スーパーマーケット経営

しずてつストア

静岡県中部を中心に地域密着型のスーパーマーケット「しずてつストア」を展開。2022年には『しずてつストアでみんなをハッピーに。』をスローガンに百年構想を打ち出し、食品を通じた顧客とのエンゲージメント作りに取り組んでいる。同年10月には、CGCグループ全国チェッカーフェスティバルにて長泉店の店舗スタッフが最優秀賞を受賞。現在の店舗数は33店舗。

本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

導入ソリューション概要 AI 自動発注 AI-Order Foresight

販売数予測方式を実現するクラウド型の需要予測型自動発注サービス。統計解析とAI技術を活用した自動発注により、欠品や廃棄ロス、人手不足といった従来の発注業務における課題を解決する。BIPROGYが食品スーパー大手のライフコーポレーションと共同開発し、2020年6月より提供開始。

プロジェクトの狙い

縦割り組織を一本化したデイリー部門とグロサリー部門の発注方法の違いを共通化したい

株式会社静鉄ストア 取締役 管理本部 副本部長 経営管理部 部長 内田 健一氏

スーパーマーケット「しずてつストア」を展開する株式会社静鉄ストアは、少子高齢化に伴う人手不足や属人的な発注業務の見直しという慢性的な課題を抱えていた。以前の状況について、取締役管理本部副本部長の内田健一氏は、次のように説明する。

「人手不足や業務の属人化は、当社だけでなく他の多くのスーパーマーケットにも共通する悩みだと言えますが、これらの課題を解決するために、私たちはまず縦割りの組織を一本化し、誰もが商品の特性にかかわらず発注業務ができるように業務を平準化すること、さらにITを活用して業務の効率化を図ることを考えました」。第一ステップとして、今まで部門ごとに縦割りに分かれていた組織を統合して一体化し、店舗スタッフ全員がさまざまな業務や商品を担当できるように、多能工化を推進し、ジョブローテーションを実施した。「しかし、特売や季節・気温などを考慮して手動発注していたデイリー部門と、補充発注を採用していたグロサリー部門では発注方法が異なるため、発注業務を共通化していくための手立てが必要でした。そんなタイミングでBIPROGYから紹介を受けたのが、統計解析とAI技術を活用して最適な発注数を算出するAI自動発注サービス「AI-Order Foresight」(以下AOF)でした」。

AI-Order Foresight(AOF)のサービスイメージ

導入経緯

3店舗で実証実験を行って導入効果を実感、他店舗展開時の注意点も確認

静鉄ストアでは2019年10月、それまで使用していた基幹システムをBIPROGYの提供する「CoreCenter for Retail」(以下CCR)にリプレイスしていた。
「2020年7月に紹介を受けたAOFは、ライフコーポレーション様の業務経験も融合して同年6月にサービス提供が開始されたものです。ライフコーポレーション様ではテスト稼働で効果を確認し、全店展開を開始していると伺いましたので、早速当社でも実証実験を開始しました」。
グロサリー部門では、以前より売れた分だけ発注するSell One Buy One方式の自動発注システムを利用していたため、実証実験はまずデイリー部門を対象に行うことにした。

「実証実験は標準店・大型店・小型店各々の3店舗を対象に、標準店から着手しました。その結果、AIによる自動発注で発注作業時間が明らかに削減できること、特に定番商品の発注で効果が大きく、売場担当者以外でも発注業務ができることなどが確認できました。一方、AOFが発注数を算出するのに必要となる必要棚数(閉店時に残しておきたい数量)のメンテナンスを店舗の発注担当者に任せたところ、欠品を恐れるために多めの数量を設定してしまい、売場に商品が溢れるという事態が発生しました。

この点については、スーパーの業務にも詳しいBIPROGYのフォローもあり、必要棚数の登録をシステム部門で吸収することで、早急に解決することができました。実証実験を通じて、他店舗に展開する際の注意点にも気付くことができたと考えています」。
同社は3か月にわたる実証実験を経て、2021年4月から同じく標準店で本番環境によるAOFの先行運用を開始、同年8月から他店舗への導入を進め、2022年3月に全店のデイリー部門への配備を完了した。

導入効果

発注業務に充てる時間は60%減少、在庫も大幅に削減し、棚卸しコストも減少

デイリー部門で稼働を開始したAOFは、これまでに数多くの効果を生み出している。
「デイリー部門には、和日配や洋日配など商品カテゴリーごとに各店舗3~4名の売場担当者がいて、合計約2,000の商品を取り扱っています。従来は売れた商品のチェックと発注作業に多大な手間と時間がかかっていましたが、AOFの導入によってこの作業時間を約60%も削減することができました」。

これまで各売場担当者は朝9時半の開店と同時に担当の売場を回り、各商品がどれだけ売れたかをチェックし、商品の補充や在庫状況の確認をして11時の締め切りまでに発注数を発注端末に登録する業務を行っていた。さらには11時以降も、次の発注締めの15時に向けて同じ作業を繰り返していた。

「AOFではAIが商品ごとに発注数を決定し、発注画面に表示されます。基本的にはAIが予測した数字のまま発注します。ただしAIは自信の無い商品に対し、“念のため確認してほしい”のアラートを出してくる時があるので、その際には売場担当者が商品棚を確認し、必要に応じて発注数を修正します。デイリー商品には、カレンダー情報や特売・季節・気温などAIに学習させるパラメーターが数多くあり、学習させればさせるだけ、発注精度は向上します。特に定番商品には大きな効果がありました。アラートも利用を続ける中で、どんどん減っていきます」。
またAOFの導入は、在庫の大幅削減と、それに伴う棚卸しコストの激減にも繋がっている。

「バックヤードにある冷蔵庫で保管するのは、補充頻度の高いAランク・売れ筋商品だけでよくなりました。バックヤードへ移動させる作業、バックヤードから商品を探す作業の削減にも繋がっています。バックヤード在庫が大幅に削減されました。」。
さらに発注業務に充てる時間が減少したことで、売場担当者は商品陳列の手直しや賞味期限のチェックなど、来店されるお客さまにより楽しんでいただける商品の見せ方や品質管理の向上に注力できるようになった。発注作業はアラートがついている商品のみ確認するだけで、基本的にAOFの提示する数量のまま発注すればよい。つまり、特定のスタッフに依存しない発注業務が確立できた。
「精度の高い発注ができるようになったことで在庫数が最適化され、値引きや廃棄ロスの削減という効果も出ています」。

AOF導入後の発注業務イメージ

今後の展望

グロサリー部門での実証実験も開始、今後は多角化する販売チャネルとの連携に期待

2022年12月現在、静鉄ストアでは2店舗のグロサリー部門で実証実験を進めており、2023年3月までに全店導入に向けた方針や検討事項を見極めたい考えだ。
「グロサリー部門では、月間奉仕品やポイントアップ商品といった企画期間が長い商品が多々あり、AIが売れ方を学習し終わる頃には店頭に並べる対象商品が入れ替わってしまいます。AOFは2023年1月に新しいバージョンをリリース予定で、さらなる機能強化を図るとのことなので、追加機能を活用しながらグロサリー商品の発注精度の向上を目指していきたいと考えています」。

現在「しずてつストア」では、LINEミニアプリを利用した販売促進や楽天市場への出店など、売り方の多角化も進めている。
「BIPROGYには、こうしたスマホアプリや各種ECサイトでの売れ方を予測に考慮できるような機能の実装をお願いしたいですね。具体的には、基幹システムであるCCRとAOFとの連携強化ですが、今後も引き続き、BIPROGYの心強い支援を期待しています」。

※本事例に記載された情報は取材時点のものであり、社名、内容など閲覧される時点では変更されている可能性がありますことをご了承ください。本事例は情報提供のみを目的としており、BIPROGYは、明示的または暗示的を問わず、本事例にいかなる保証も与えるものではありません。

日本ユニシス株式会社は、2022年4月1日よりBIPROGY株式会社に商号が変更となりました。
*記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。