BIPROGY Foresight in sight BIPROGY Foresight in sight

人・コミュニティ×サステナビリティ

取り上げるテーマは「ウェルビーイング」「パーソナライゼーション」である。ある研究結果によれば、幸福感の高いメンバーで構成される組織はそうでない組織に比べ30%以上生産性が高いという。ウェルビーイングは身体的・精神的・社会的健康のサステナビリティ指標として今後様々なビジネスの目的となり、一人一人に合わせてパーソナライズされたサービスが広がっていく。

1 ウェルビーイングを高める「個を理解する」テクノロジー

パーソナルデータ(行動・購買履歴、好み、属性、バイタルデータ、声の抑揚や表情といった感情データ等)が、暮らしの必要に応じてリアルタイムで把握できるようになる。センシング技術やマルチモーダルな認識・分析・学習技術の発達は、人の様々なパフォーマンスを定量化(可視化)するといったサービスに活用される。一人一人がより手軽に、より客観的に自分自身を把握できるようになることでウェルビーイングの向上が進む。またデジタルデータとして集積した個人データは、一人一人の特性と社会のニーズを高精度にマッチングするサービスに活用される。「夢中になれること」を見つけやすくなり、それが良好な心身状態の維持にもつながる社会になっていく。

2 個人データによる予防医療の進展

唾液の検査・分析を通して個人の遺伝子や体質を明らかにし、その結果を基にパーソナライズされた健康対策を提供するサービスが実現している。様々な病気の発生確率などが把握できれば、一人一人に合った健康法の発見や病気対策に役立てられる。日常の行動変容を促す契機にもなり、病気予防、健康寿命の延伸につながるだろう。また今後、パーソナルデータのデータベース化が進展することで社会全体の健康向上も可能になる。住民の集団ビッグデータを分析して様々な疾患の発症リスクを予測する取組みでは、予測の理由や根拠まで示せる「説明可能なAI(XAI:Explainable AI)」なども適用して社会全体の健康寿命延伸に役立てる試みがなされている。

3 データ化される個人とプライバシー問題

ゲノムデータ、健康データ、症状履歴、ライフログ、位置情報、購買履歴など個人の様々な情報がデータ化され経済的な価値を持つようになった。社会全体の健康対策に役立てるため行政機関が提供を求める機会も増えるだろう。そうした情勢を背景にパーソナルデータの扱いをめぐって「データの主権」の在り方が検討されていく。また個人が安心して自分の情報を管理・利用できるための法整備や、情報銀行等のサービスの充実化も進むだろう。パーソナルデータをめぐる個人と公共機関の連携は、社会全体の健康ひいては個人の健康にも影響するため、今後市民側の意識変化も必要となってくる。政府のデータガバナンスやデジタル技術に対する不信など、市民の心理的障壁の解消に向けた信頼の醸成も急がれる。

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