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フロンティアAIが切り拓く金融セキュリティの未来
― 脆弱性管理・証明書管理を自動化で解く

脆弱性管理を「自動化」で解く方法、AIによる能動的な脆弱性検出、そして証明書47日問題とPQCを束ねて解くライフサイクル管理。

「フロンティアAIの登場で、未知の脅威が生まれたわけではない。既存の脅威が『高速化』『コモディティ化』したのだ」――。
2026年5月、金融庁・日本銀行はフロンティアAIによる脅威変化を踏まえた短期的な対応として、金融機関に9項目の要請を示しました。
本ページは、BIPROGYがFIT展2026大阪で行った講演「フロンティアAIが切り拓く金融セキュリティの未来」の内容をもとに、金融庁・日本銀行のワーキンググループに参加する当社が、実際の現場で見えてきた実務対応の要点をまとめたものです。脆弱性管理を「自動化」で解く方法、AIによる能動的な脆弱性検出、そして証明書47日問題とPQCを束ねて解くライフサイクル管理――
明日の運用をどう変えるか、3つの実務的な打ち手をご紹介します。
詳細は、以下項目の「FIT大阪2026 セミナー出展のご報告」よりご確認いただけます。

生成AI・フロンティアAIについて

生成AI・フロンティアAIの台頭により、サイバー攻撃はかつてない速度で高度化しています。英国AI Security Institute(AISI)の分析では、AIが自律的に完遂できるサイバータスクの長さは4.7カ月ごとに倍増していると報告されており、直近のモデルはこの傾向を大幅に上回っています。脆弱性の公開から実際に攻撃に悪用されるまでの平均時間も、2018年の63日から2023年の5日、そして現在は3時間程度にまで短縮されました(出所:Google Mandiant「Time-to-Exploit Trends」等、2026年6月末時点の公表情報に基づく)。

こうした状況を受け、金融庁は2026年4月24日に官民会合を開催し、5月14日にはAIサイバーセキュリティに関するワーキンググループを設置。5月22日には、フロンティアAIによる脅威変化を踏まえた短期的な対応として、金融機関等に9項目の要請文書が金融庁・日本銀行連名で示されました。一方で金融機関の現場では、労働人口の減少により脆弱性対応やパッチ適用、証明書更新などの運用工数を「人を増やす」ことで解決するのは、もはや現実的な選択肢ではなくなっています。「リソースで解く」から「ツールと自動化で解く」への転換が、業界共通の課題となっています。

BIPROGYのフロンティアAI時代への提案

BIPROGYは、金融機関の基幹システムを長年支えてきた立場から、フロンティアAI時代のセキュリティ運用を「人手の限界」と「AIの使いどころの設計」という視点で再設計するご支援を行っています。
具体的には以下の3つの実務対応策をご提案します。共通するのは「人手では回らない」領域を見極め、単価の高い高度なAIを本当に必要な場所だけに使うという設計思想です。

  1. 脆弱性管理の自動化
  2. AIによる能動的な脆弱性検出
  3. 証明書ライフサイクルの統合管理

BIPROGYのフロンティアAIサービス

具体的な対策

1.脆弱性管理を「リソース」ではなく「自動化」で解く(短期対応)

2026年4月15日、NISTがNVD(National Vulnerability Database)の運用方針を転換し、詳細分析の対象を悪用確認済み(KEV)・米政府利用・重要指定のCVEに限定しました。今後は全CVE量の15〜20%程度(業界推計)しかスコアが付与されない見込みで、「スコアが付くのを待って対応する」という従来の運用は成立しなくなっています。

BIPROGYが提案するのは、SBOM(ソフトウェア部品表)と既存の構成情報を前提に、攻撃実績(KEV/JPCERT/CC)・EPSS・外部アクセス・FISC重要度・CVSSの5項目の重みづけで判定するリスクベースの自動判定です。台帳が不完全でも、不明項目は中位扱いとして判定を止めない設計とし、「即時」「短期」「中期」「未適用」の4区分に自動振り分けます。

一次判定は人を介さずルールベースで行い、人の時間は上位2区分の二次確認だけに集中させます。高頻度で回る判定処理には単価の高いAIではなくルールベースの仕組みを充てることでコストを抑えながら、金融庁・日本銀行要請の「フロンティアAIによる脅威変化を踏まえた短期的な対応」の「リスクベースの優先順位付け」にそのまま対応できます。既存の設計書・手順書・障害報告など「あるものを読む」台帳の名寄せ・突合には、生成AIを立ち上げ時に活用します。

2.「待つ」検出から「能動的に探す」検出へ(中長期対応)

脆弱性の公開から悪用までが3時間という速度の中では、公開情報を待って対応する従来型の運用では構造的に間に合いません。フロンティアAIは、ソースコードの設計意図を理解したうえで人間と同じ思考プロセスにより攻撃経路を構築できるようになりつつあり、これまで「人が読むしかなく、高コストゆえに普及しなかった」コードベースの脆弱性診断を、現実的なコストで実現可能にしています。
BIPROGYが提案するのは、内側からのAIによるコード診断と、外側からのペネトレーションテストを組み合わせ、継続的に回す「能動的な脆弱性検出」の体制です。低頻度・高難度であるこの領域こそ、単価の高いフロンティアAIの利用が正当化される場所であり、「1.」の高頻度・定型判定とは明確に使いどころを分けています。

3.PQC+証明書47日問題=ライフサイクルの統合管理(中長期対応)

CA/Browser Forumの方針により、パブリック証明書の有効期間は2026年3月に200日、2027年3月に100日、2029年3月には47日まで段階的に短縮され、ドメイン認証(DCV)の有効期間も同時に10日まで短縮されます。証明書100枚を保有する組織の場合、年間の更新工数は現在の600時間から、2029年には2,400時間(管理業務等を含めると約3,600時間、専任担当者およそ2人分)にまで膨らむと当社は試算しています(当社試算)。この短縮の背景には、暗号やドメイン情報の鮮度を保ち、必要になったときに暗号アルゴリズムを速やかに入れ替えられる状態=クリプトアジリティを確保する狙いがあり、2030年代とされる量子コンピュータ時代を見据えたPQC(耐量子暗号)対応とも同じ根から出ています。

BIPROGYは以下の4段階での整備を提案します。

  1. 現状把握(証明書の可視化)
  2. 管理(所有者・有効期限・アルゴリズム・鍵長の一元管理)
  3. 告知(自動通知)
  4. 自動化(更新の自動実行)

現状把握で得られるクリプトインベントリをPQC移行の出発点として活用します。証明書の更新実行そのものは標準化された自動化(ACME等)で対応し、大量の更新結果や暗号状態の監視にAIを充てることで、パブリック・プライベート双方のPKI基盤を「変え続けられる」状態に整えます。

導入実績

BIPROGYでは、実際にフロンティアAIを用いた脆弱性診断の検証を進めており、外部からのツールでは到達できなかったコードレベルの欠陥検出といったポジティブな効果だけでなく、誤検知の多さなどの現時点での実務上の課題を確認しています(検証内容の詳細は資料でご紹介します)。金融機関のお客さまへの具体的な導入事例は、今後の展開に応じて順次掲載してまいります。導入をご検討のお客さまは、お問い合わせフォームより個別にご相談ください。

FIT大阪2026 セミナー出展のご報告

2026年9月25日から10月16日までの期間限定で後日配信します。

金融庁・日本銀行による要請9項目を踏まえた当社のアプローチをはじめ、脆弱性のリスクベース自動判定、フロンティアAIを活用した能動的な脆弱性検出、証明書ライフサイクル管理とPQC対応について、講演動画で詳しくご紹介します。
ぜひこの機会にご視聴ください。

ご参考

  1. フロンティアAIとは:
    既存のAIモデルより高度な推論・自律実行能力を持つ最先端の生成AIを指します。従来の総当たり型の攻撃検知とは異なり、ソースコードの設計意図を理解したうえで人間同様の思考プロセスにより攻撃経路を構築できる点が特徴です。
  2. SBOM(Software Bill of Materials):
    ソフトウェアを構成するコンポーネントやバージョン、依存関係を機械可読な形式で記載した部品表です。
  3. EPSS(Exploit Prediction Scoring System):
    脆弱性が実際に悪用される可能性を予測するスコアリング指標です。
  4. KEV(Known Exploited Vulnerabilities):
    米CISAが公開する、実際に悪用が確認された脆弱性のカタログです。
  5. PQC(Post-Quantum Cryptography:耐量子暗号):
    将来の量子コンピュータによる解読に耐えうるとされる暗号技術です。
  6. クリプトアジリティ:
    暗号アルゴリズムや鍵を、必要になったときに迅速に切り替えられる状態・仕組みを指します。
  7. CVSS(Common Vulnerability Scoring System):
    脆弱性の理論的な深刻度を数値化する共通の評価基準です。