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リース事業を開業するポイント|レンタル業との違いやリース業の市場規模・今後の展望

リースは、価格が高い製造設備などを導入したいと考える企業にとって需要のあるサービスです。顧客からの需要を踏まえてリース事業を開始しようと考えている方は、まずリースの市場規模や開業の流れを把握しておくことが重要になります。実際、リース事業を始めたいが、詳しい内容は把握しきれていないという方も多いのではないでしょうか。 本記事では、リースの種類や市場規模、開業する流れ、開業時の注意点を解説します。また後半では、開業と併せて導入するのに最適なソリューションもご紹介します。

リースとは

リースとは、リース会社が保有する設備や物件を長期間にわたって貸し出すサービスのことです。設備等は、あらかじめリース会社が保有しているわけではなく、顧客が購入予定のものを代わりにリース会社が購入したうえで貸し出します。この際リース会社に設備を置くことはなく、メーカーから直接顧客に設備が搬送されます。イメージ図は以下のとおりです。

リース事業のビジネスモデル:顧客⇔リース会社⇔サプライヤー

リース会社は、顧客から毎月支払われるリース料の中に利子を含めることで一定の利益を得ることが可能です。そのため、返済期間が長くなるほど得られる利子は多くなり利益も増加します。

また、リースには「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2種類があり、それぞれ契約内容が異なります。取り扱う設備や物件によっては、オペレーティング・リースができないケースもあるため、事業を開始するにあたってそれぞれの違いを正確に把握しておきましょう。

ファイナンス・リース

ファイナンス・リースとは、顧客の代わりにリース会社が設備・物件を購入して、それを貸し出す方法です。リース料金は、設備・物件の購入代金以外に、保険料や固定資産税など全ての費用が含まれる「フルペイアウト」となっています。原則、途中解約ができないため、全ての費用を顧客は最後まで支払わなければいけません。

また、ファイナンス・リースは金融取引に該当し、設備・物件の購入にかかった費用と同じだけの額を経費計上しなければいけないルールがあります。その仕組み自体は、顧客がリース会社からお金を借りて設備・物件を購入したという形になります。そのため、金融機関から融資を受けている状態に近しい取引であるといえるでしょう。

オペレーティング・リース

オペレーティング・リースとは、顧客が希望する期間だけ設備・物件を貸し出す方法です。設備・物件に資産価値があるものをリースしているケースが多く、契約期間と資産価値の残価に応じたリース料金を設定します。

リース料金は、顧客の希望する契約期間が5年の場合、契約満了時である5年後の資産価値(残価)がどのくらいかを初めに算出します。そして、設備・物件の購入価格から残価を差し引いた額と、利子を足した額がリース料金になります。

ファイナンス・リースとは異なり、オペレーティング・リースは購入価格と同じだけの額を経費計上する必要はありません。仕組み自体は、設備・物件をリース会社から借りているだけの取引になるため、リース料金は賃貸借処理することになります。

リースとレンタルの違い

リースとレンタルは、顧客が設備・物件などを“借りる”という点においては同じサービスですが、その他の契約内容は異なる点が多いです。リース事業を開始するのであれば、レンタルサービスとの違いは明確に理解しておく必要があります。それぞれの違いは以下のとおりです。

  リース業 レンタル業
契約期間 原則 中長期間(数年単位が多い) 一時利用。短期間。
対象物件 販売されている特定の物件が対象 保有している資産が対象
中途解約 不可
保守管理・修繕義務 顧客負担 貸主負担
料金体系 物件価格+利子 主が設定した一定の料金
契約終了後 ・返却
・再リース
・買取
返却

リースとレンタルでは、まず契約期間が明確に異なります。レンタルは短期間ですが、リースは半年、数年単位と長期間にわたって貸し出します。また、リースの仕組みは物件を販売している会社・メーカーを含めた3社での取り引きですが、レンタルの場合はレンタル会社と顧客だけで販売会社が介入することはありません。

そして、契約終了後の設備・物件の取り扱いもリースとレンタルでは異なります。リースの場合、契約満了時に残価を支払うことで同じ設備・物件を購入できる場合があります。

リース事業を始めるのに許認可は不要

リースは金融的な側面を持ち合わせますが、事業を開始するにあたり、特段の許認可は不要です。リース契約を規制する法律もがないため、開始するために特別なにかを取得する必要はありません。

ただし例外として、ファイナンス・リースを取り扱う場合には、賃金業の登録をしておいた方がよいとされています。なぜなら、ファイナンス・リースが融資を受けている状態に近しい取引であるためです。お金を直接貸しているわけではありませんが、仕組み自体が資金を貸して利息と一緒に回収することと変わらないとして、賃金業の登録を求められることがあります。

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リース業の市場規模

リース業の市場規模は、公益社団法人リース事業協会の資料によると2021年度の時点で7.5兆円です。同年の他業種と比べるとそこまで大きくはないですが、家電業界やコンビニ業界の市場規模と同じくらいの規模となっています。ちなみに、同年で市場規模が大きかったのは、卸売業の約126兆円、電気機器の約85兆円です。

また、市場規模と併せて確認しておきたいのがリースの利用率です。リース利用率は、リースサービスがどれだけ定着しているかを知るうえで重要な数値となっており、数値が高いほど多くの企業がリースを利用していることを指します。

リース事業協会の資料によると、以下図のように、リース利用率は1988年頃まで上昇を続け、それ以降は90%近くを推移し続けています。この数値は、日本における多くの企業でリースサービスが定着していることを意味します。

引用:公益社団法人リース事業協会

ちなみに、リース事業協会の同資料における「中⼩企業のリース利⽤意向」の調査内容によると、中小企業の約56.1%が「基幹設備に対するリースの利用意向はない」と回答しています。高い利用率がある反面、基幹設備のような特定の市場におけるリース利⽤は浸透しきっていない面もあるため、その分野に向けて利用を喚起していけばさらにリース業の活発化が期待できるでしょう。

リース事業を開業するポイント

リース事業を開業するポイントは以下のとおりです。

  1. 資金調達の計画を立てる
  2. 資金回収のための契約内容を立案・決定
  3. リースの可否を決める審査基準を策定

リース事業を開業するにあたって、重要なポイントは「資金繰り」です。どのようにお金を調達し、具体的にどのくらいの割合で回収して利益を出していくかを最初に決めておかないと、事業運営が円滑に進みません。

また、リース事業では顧客が相談してくるのを待つだけでは事業として成立しない可能性が高いです。協力メーカーなどを探して、リース案件を獲得しやすい環境を初めに作っておくことも重要になります。

1.資金調達の計画を立てる

リース事業を開業する際、まず準備しなければいけないのが「資金の調達源」です。リース事業協会の資料を参考にすると、2020年の時点で資金調達の方法は、大きく分けて「金融機関からの借り入れ」と「直接金融」の2種類に絞られます。

引用:公益社団法人リース事業協会

どちらも利用している企業が多いことも踏まえ、自社ではどのような方法で資金調達をするか決めておくことが重要です。また、金融機関からの借り入れを主とする場合は、事前に金融機関へ相談してリース事業として借り入れができるかどうかの確認も必要でしょう。併せて、どのくらいの額までなら借りられるかを相談して、借りられる額の目安を持っておくことも大切です。

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2.資金回収のための契約内容を立案・決定

資金調達の計画を立てた後は、顧客から具体的にどのようなプランで資金回収していくかを検討します。毎月、設備購入の費用を回収することは前提として、自社の利益になる利子をどのくらいに設定すべきかも決めなければいけません。

利子の割合は、契約期間によって分けているケースが多いため、具体的なプランが無い場合は、同様に期間ごとに利率を決定してみるのもおすすめです。契約期間が長くなるほど利率は低くなるのが一般的なため、利益を生み出せる数値を設定して契約内容を確定しましょう。

【リース料における利率の目安(例)】

  • 3年契約:3.1%
  • 4年契約:2.6%
  • 5年契約:2.0%
  • 6年契約:1.7%
  • 7年契約:1.4%

注意点として、相場からかけ離れた利率を設定すると、そもそも利用してくれない可能性が高まります。

3.リースの可否を決める審査基準を策定

リースの可否を決める基準は、必ず設定しておくようにしましょう。リース事業の収入源は、返済の際に含まれる利子です。そのため、顧客が途中で返済できなくなるといった事態が発生すれば、自社の利益損失に繋がるため、そういったリスクを下げるためにも審査基準はしっかりと作り上げておかなければいけません。

審査基準の項目は、「年収」「収入の安定性」「財産」「信用情報・借金の有無」などがあります。設備・物件の購入額をベースに判断できるように、審査基準は開業時に確定しておくことが重要です。

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リース事業を開業する際のポイント

リース事業を開業する際のポイントは次の二点です。

  1. 資金繰り
  2. 課題解決型の提案

リース事業は、保有する資産を貸し出すレンタル業とは異なり、貸し出すリース資産・物件を初めに購入しなければいけません。購入資金はリース会社自身で調達しなければならず、どのように調達するかがリース会社の課題の一つです。

また、これからリース事業を開始するにあたって、顧客からリースの相談を持ち掛けてくるのを待っているだけでは、安定した事業運営には繋がりません。リースが比較的利用されていない市場で勝負するためにも、補助金申請や経理面のサポートと併せて課題解決型のリースを提案していくことが、リース事業には求められます。

1.資金繰り

顧客が希望する設備をメーカーから購入するためには、多額の資金が必要です。リース事業の運営におけるもっとも重要な部分が資金繰りであり、資金調達を円滑に行えなければ事業が成立しません。特に開業直後は金融機関からの信頼や購入設備を担保に借り入れる必要があるため、資金繰りに苦労する可能性があります。
ただし、リース会社が資金を調達する方法は金融機関からの借り入れだけではありません。1990年代より、「⾦融業者の貸付業務のための社債の発⾏等に関する法律」が施⾏されたことで、直接金融による資金調達が可能となりました。直接金融とは、銀行などの第三者を介入させずに、社債・株式・公債を発行して資金調達することです。

実際、以下のグラフで示されるように直接金融の割合は1998年以降から増加傾向にあり、2020年の時点では約50%の比率まで増加しています。そのため、これからリース事業を開始する方は、直接金融も視野に入れて事業を運営していくことが求められるでしょう。

引用:公益社団法人リース事業協会

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2.課題解決型の提案

課題解決型とは、顧客が認識し、顕在化している課題を解決するためのアプローチのことです。課題解決型の提案をすることで、未開拓の市場に対するリースを促せるため、新規案件の獲得に繋がります。

例えば、リース取扱⾼の約50%を占める中⼩企業は重要な顧客層となっているものの、中小企業の基幹設備(⽣産設備、商業・サービス業⽤設備など)に対するリース利⽤の意向は低い現状があります。以下の図で示すように、基幹設備に対するリース利用に対し、「利用意向なし」と答えている会社は56.1%にものぼります。

引用:公益社団法人リース事業協会

「利用意向なし」と答えた層に対して、課題解決型のリースを提案していくことができればリース案件の獲得にも繋がっていくでしょう。また、課題解決型の提案と併せて、補助⾦申請や資⾦⾯・経理⾯のサポートなどのきめ細やかな対応も提供すれば、成約率の増加も見込めます。

リース業務をシステム化する必要性

リース事業では、取扱い契約数が少量であれば、表計算ソフト等を利用した管理で、業務を開始するケースがあります。
しかしながら、業務量の増加に伴い、資産、契約の情報管理が煩雑化し、その中で会計、税務関連業務を正確、かつ迅速に処理することとなります。また、最新の制度やルール(会計基準他)の変更にも準拠することが求められます。
上記を考慮し、リース業務に特化した管理システムの導入が必要となります。
当社では、40年以上にわたるリース業様との取引を通じて蓄積された知財を活かし、リース業界向けソリューションを提供しております。

リース業向けソリューションLease Vision

リース業務のシステム化を検討している方には、リース業向けソリューションLease Visionがおすすめです。当ソリューションは、リース業向けの基盤業務パッケージで、「引合・見積・契約・検収・満了・処分」などリース業を営む上で必要な機能がパッケージングされています。

必要な機能が標準装備されていることで、アドオン開発を最小限に抑えられるため、低コストかつ短期での納入が可能です。また、当ソリューションは「導入型ソリューション」となっており、アプリケーション業務ロジックを共通化(コンポーネント化)することで、あらかじめ用意された標準機能を組み合わせて顧客ごとに最適なシステムを提供できます。

さらに、アプリケーション業務ロジックのコンポーネント化によって、法制度改正による対応や個別開発が必要になった際でも、改修範囲を局所化することで柔軟な修正対応が可能となっています。

これからリース業務をシステム化しようとしている方にとって、リース業向けソリューションLease Visionは、基本的な機能の搭載やアドオンの柔軟性を持ち合わせる最適なソリューションです。

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*Lease Visionは、BIPROGY株式会社の登録商標です。
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