事例紹介
鹿児島銀行様 - 実績豊富なXenApp®を中心としたシンクライアントシステムを導入
鹿児島銀行 様
ソリューション、製品・サービス
2014年06月06日
地域密着型の金融サービスを提供している鹿児島銀行様は、既存のシンクライアントシステムの老朽化に伴い、2,300人を超える行員が利用するデスクトップ環境を、XenAppによるシンクライアントシステムに更新。動画や音声を含む最新の情報系アプリケーションを動作可能とし、タブレット端末やスマートフォンでの利用も可能な情報基盤を構築した。今後、この基盤をベースに、顧客サービスの充実に向けた戦略を加速させていく予定だ。
システム部
部長
赤塚 典久 氏
システム部
システム開発グループ
主任調査役
吉永 聡 氏
USER PROFILE
創業:1879年(明治12年)10月6日
本社所在地:鹿児島市金生町6-6
事業内容:銀行業
本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。
導入の背景 銀行の情報戦略を推進する基盤環境の構築
鹿児島銀行様は、2007年12月に全行員向けのシンクライアントを導入した。その目的はセキュリティの強化と業務の利便性向上の2つにあった。システム部 部長の赤塚典久氏は「2005年に個人情報保護法が施行され、セキュリティの強化が求められていました。また、利便性向上の観点からは、ローカルPCにデータを保存すると、常に同じ端末で業務を続けなければなりません。PCのハードディスクが故障すると、データを消失してしまう恐れもあります。こうした理由からシンクライアントを導入して、情報系アプリケーションを共有することにしました」と語る。
しかし、導入してから5年を経過した頃から、古いシンクライアントでは利用できないアプリケーションも増えてきた。同行で利用している情報系アプリケーションは約50種類あり、そのほとんどがWebベースで作られている。ところが古いシンクライアント環境では、Internet Explorer® 6(IE6)に対応しているアプリケーションしか動かなかったのだ。
「近年の情報系アプリケーションはInternet Explorer 8(IE8)以降の対応がほとんどを占めています。そのため最新のアプリケーションを利用する際は、IE6用にダウングレードする必要があり、カスタマイズのためのコストとシステム改修に伴う導入期間の長期化が課題になっていました」(赤塚氏)
また、2007年に同行がシンクライアントを初めて導入して以降、行員のワークスタイルも大きく変わり、どこからでも仕事ができる環境を整える必要があると考えていた。そこで同行は、幅広い端末と最新の情報アプリケーションに対応する新しいシンクライアントの導入を決断する。
赤塚氏は将来を考え、次のように述べた。「今後、鹿児島銀行の情報戦略を強力に推進していくうえで、システムが足かせにならないようにするためにも、幅広く対応できる環境を作ることを目指しました」
選定理由 さまざまな業種での豊富な稼働実績を評価
2012年末から次期シンクライアントの選定に入った鹿児島銀行様は、数ある製品の中からCitrix社のターミナルサーバー型シンクライアントのXenAppを選定した。シンクライアントには主にターミナルサーバー型と仮想デスクトップ型の2つがある。ターミナルサーバー型は、複数のユーザーでアプリケーションを共有する方式で、サーバー集約による管理レベルの向上と、サーバー当たりのユーザー接続数の増大(サーバー台数の削減)というメリットが期待できる。一方の仮想デスクトップ型は、クライアントOSを丸ごと仮想化するもので、仮想PCとクライアント端末は1対1で紐付けられる。そのため、ユーザーの状況に応じて柔軟なリソース割り当てが可能だが、導入コストは高くなる。同行は他地銀での実績とサーバ集約率を考慮し、デファクトスタンダードなCitrix® XenAppを選択した。
「Citrix社のXenAppはデファクトスタンダードの製品として実績があり、モバイルPCからタブレットまで幅広く対応していることが決め手となりました」と、システム部 システム開発グループ 主任調査役の吉永聡氏は振り返る。
導入パートナーには、Citrix社の最上位パートナー(認定システムインテグレータ)である日本ユニシスを指名。その理由は、Citrix社のコンサルティングとの親和性の高さと、さまざまな業種での豊富な稼働実績にあった。
「シンクライアントを更改するうえで欠かせない要件として、短期間でのシステム構築と、安定稼働の2つがありました。その中で稼働実績を重点的に評価した結果、日本ユニシスがベストパートナーであると判断しました」(吉永氏)
また、鹿児島銀行様と日本ユニシスは、勘定系システムの構築においても、ホストコンピュータの時代から40年来のおつきあいがあり、2011年5月に稼働した勘定系システムの構築を支援したのも日本ユニシスだった。そのため、同行の文化を熟知し、長年蓄積してきた日本ユニシスの知見が、情報系システムにも反映されることを期待したと言う。
システム構築のポイント IE6とIE8用のアプリケーションが一元的に利用できる「ダブルホップ機能」
シンクライアントシステムの構築は、2013年5月に始まり、同年10月から同行の本店・事務センターを中心に順次稼働させていった。情報系システムを高い頻度で使う本店・事務センターにおいて、パイロット的に利用しながらシステム改善を重ね、2014年1月からは鹿児島県内155の営業店への順次展開を進め、同年3月4日に全営業店での稼働を開始している。
システム構築のポイントは3つある。その1つは、XenAppのハイブリッド機能を活用して、IE6とIE8の複数のブラウザ環境を利用できるようにしたことだ。その結果、古くから利用しているIE6対応のWebアプリケーションと、IE8対応のWebアプリケーションは一つの環境で利用できるようになった。
同行がこだわったのはユーザー目線でのシステム構築だ。一般的なハイブリッド環境では、IE6用のアプリケーションを使う際はIE6を、IE8用のアプリケーションを使う際はIE8を別々に立ち上げなければならないが、同行ではIE8上からIE6用も含めてすべてのアプリケーションが一元的に起動できるようにした。
「新しいシンクライアントではIE8で表示されたリンク集からハイパーリンクをクリックするだけでIE6対応のアプリケーションも利用できます。この「ダブルホップ機能」という仕組みを、当行、Citrix社、日本ユニシスの3社で知恵を出し合いながら考えました」(吉永氏)
2つめは、透かし印刷のOn/Off機能とプリンタ設定ツールの構築だ。鹿児島銀行様では、ワークフローシステムにより、透かし印刷のOn/Offができるようにした。また、行員が別の支店などに出かけても、ログインした環境に合わせて最適なプリンタ が利用できるプリンタ設定ツールを構築した。吉永氏は「2つの機能を日本ユニシスに構築いただき、非常に助かりました」と述べている。
3つめは、シンクライアントサーバーを仮想化したことだ。従来は、約90台の物理サーバーが稼働していたが、新システムではXenAppとの相性のよさを考慮してMicrosoft® Hyper-Vを採用し、物理サーバーを約30台に集約した。仮想化によって、サーバーの設置スペースを削減したほか、サーバーの故障リスクや運用負荷も軽減。今後の消費電力の削減効果も期待できる。
導入の効果と今後の展望 タブレット端末やスマートフォンを利用した顧客サービスの実現へ
XenAppへの移行により、鹿児島銀行様は約50種類の情報系アプリケーションを、いつでもどこでも安心して利用できるようになった。今後は、IEのバージョンにとらわれることなく新しいアプリケーションの追加が可能だ。
端末の選択肢も増えた。現在はWindows® Embedded等のPC端末をシンクライアント端末として利用しているが、今後はゼロクライアントの検討も可能になる。タブレット端末やスマートフォンなどのスマートデバイスにも対応し、個人所有のモバイルデバイスを業務に使用するBYOD(Bring Your Own Device)も将来的な選択肢となった。出先であっても、タブレット端末からシンクライアント環境に接続することで、金融商品の説明や資産状況の確認、申込手続きを行うことも将来的な選択肢となった。
また、XenAppが標準で装備する「Citrix HDXテクノロジー」によって低帯域でのネットワークパフォーマンスが向上した結果、以前の環境では対応していなかった動画や音声も利用可能になり、今後の業務への活用が期待されている。吉永氏は「今までは、複数人が会議室などに集まって研修用の動画を大画面モニターで見ていたが、個々が好きな時間に自席で研修動画を見ることも検討していきたい」と述べた。
「シンクライアントの導入に際し、日本ユニシスには期待どおりの成果を挙げていただきました。今後は、シンクライアント基盤を使って、お客様サービスの向上につながるような、サービスやアプリケーションの提案に期待しています」(吉永氏)
運用が始まったばかりの鹿児島銀行様のシンクライアントは、同行の顧客サービス向上において貴重な基盤となりそうだ。
*Citrix、XenApp、XenDesktop、NetScalerは、Citrix Systems.Inc, の米国あるいはその他の国における登録商標または商標です。
*Microsoft、Windows、InternetExplorerは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
*Windowsの正式名称は、Microsoft Windows Operating Systemです。
*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。