【試合レポート】 日中の精鋭たちの試合を一目見ようと訪れた観客により、会場となった鳥屋野総合体育館はまさに満員。当日券の販売がないほどの盛況ぶりだ。 試合はダブルスとシングルスを交互に行う2複2単の形式。客席中で団扇がはためく熱気の中、第1試合に坂本・池田組が登場する。 相手は中国の2番手SHEN・HE組。坂本・池田組とは昨年の韓国オープンで対戦経験があり、その際は坂本・池田組が1ゲーム目を接戦で奪うものの2、3ゲームで突き放され、ベスト8入りを阻まれた。今後のトーナメントの試金石となる今回、ぜひ力を見せておきたいところだ。 開始された1ゲーム、序盤は互角の展開となる。2-2では互いに上げずにハーフ球やネット際でせめぎ合う見ごたえのあるラリーを披露。最後はSHEN選手のプッシュが池田選手の背中を突き決められるが、世界レベルのプレーに会場から大きな拍手が巻き起こる。 1点差以内をキープしたまま迎えた6-5の場面、ロングサービスで逆を突きノータッチを奪った池田選手は、坂本選手と腰の高さで手を打ち合わす。試合中幾度となく見られた二人のこの動作からは、スディルマンカップや合宿生活を経て、一段と高まったチームワークを窺い知ることができる。 もちろんレベルアップしているのはチームワークだけではない。ネット、ハーフへのアプローチをことごとく防ぎ、低く上がったシャトルもスマッシュで返してしまう、反応・移動の速度の向上が顕著だ。 池田選手、坂本選手の順に放った連続スマッシュを決め、11本目を奪う。 後半戦も完全にリズムに乗る坂本・池田組が、14-11から5連続ポイント。坂本選手のサービスプッシュ、ロングサービスで相手の返球を乱して16点まで進め、17点目は池田選手が前でシャトルを抑え坂本選手が後ろから打ち込む王道パターンで奪う。ミスの多くなった相手に対し、よく動き確かなラリーを続ける坂本・池田組。坂本選手の緩めのサービスプッシュに、HE選手がスウェー気味に返球を試みるがミスとなって21-13。第1ゲームは日本へ。 だが李永波監督のアドバイスを受け、中国ペアがよみがえる。 坂本・池田組の攻撃力を警戒し、堂々たる体躯を活かした自慢の強打を決めるべくシャトルを低く配球。殊に日本コートのサイドを狙ったドライブには素晴らしい切れが見られる。坂本・池田組も、時折訪れるオープンなチャンスには攻めきる力強さを見せるが、ロブを大きく上げる場面が第1ゲームよりも明らかに多い。 フェイントで日本ペアの足を止め、また早いタッチでフォア奥を突いてくる中国ペア。10-16と中盤から終盤にかかろうというところで大きくリードされ、坂本・池田組としては苦しい展開となる。しかし「スピード上げる!」という朴監督からの激に応え、日本ペアが猛追。ドライブやネットへ切るショットを、パワーよりもコントロールと次の動きを重視した打球に切り替え、チャンスをつかんでいく。14-17、17-19とし、さらに二人の連続スマッシュで1点差に。両ペアともタオルを使用しながら次の一手を練る。 しかしここは中国ペアに運があった。SHEN選手が放ったドライブに、坂本選手・池田選手のラケットが交錯。迎えた最初のゲームポイントではSHEN選手のヘアピンがネットイン。”オゥシャー!”という喜びの声とともに、中国に第2ゲームが渡った。 ファイナルゲームも激闘が続く。 8-11とややリードされてハーフタイムを迎えるが、再開後は5連続ポイントで逆転。第1ゲーム以上にスピードを上げて動き続け、試合を支配する。ロングサービスを打ち込まれて1点を失うが、直後には65本のラリーをネットインで制してハイタッチ!45秒間に及ぶ長いラリーの結末を見守っていた会場からも、割れんばかりの拍手が向けられる。 しかし勝負はわからないもの。劇的な場面を制した日本ペアに流れが傾いたかに思われたが、なんとここから中国に連続4ポイントが入り14-16。ここまできて離されまいと粘る坂本・池田組も、体制を崩しながら必死に守りきるなどして17オールとするが、続くラリーで坂本選手のヘアピンのヒットがわずかに薄く、スピンしながら自コートに落ち17-18。さらにドライブ戦からHE選手にコースを突かれて19点目を奪われる。 緊迫する場面だが、池田選手がネットに切ってチャンスをつくると、坂本選手、池田選手が力強く連続攻撃。返ってきた球を詰めていた坂本選手がプッシュで決めて再び1点差とする。 が、日本ペアの得点は惜しくもこれが最後。アプローチで前に出たところを狙われてマッチポイントを奪われると、最後はHE選手がドライブからプッシュにつなげて攻めきり18-21。3ゲームの総得点では57-55と勝っていた坂本・池田組だが、残念ながら1-2の敗戦となった。 昨年の韓国オープンでの対戦では、今回と同じく先行しながら1-2と敗れているのは前述の通り。が、その際の総得点は52-59。単純には比較できないにせよ、今回の試合内容を見る限りでは、坂本・池田組の確実な成長が感じられる。次にトーナメントで顔を合わせた時には、きっと見事な勝利を飾ってくれることだろう。 なおこの大会では7月2日に創部された女子バドミントン部の平山選手も出場。 敗れはしたものの、中国オープンベスト8の強豪WANG選手を相手にファイナルに持ち込む健闘を見せた。男子や田児監督という強力なサポートを充分に活かし、日本代表としても更なる活躍を期待したい。 |
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