ヨネックス トマス杯&ユーバー杯ジャパン2006
- 2006.04.27 - 2006.05.07
試合結果
【2006年4月29日:南アフリカ戦】
<中西 vs デッドナム> 第2シングルスに登場した中西選手。 最初のポイントを豪快なジャンプスマッシュで奪うと勢いに乗り、瞬く間に5-1。ネットプレーでのフェイントも切れ味鋭く、攻撃的なラリーを展開し、そのまま11点の折り返しを6点に抑えて迎える。 ハーフタイムでは、選手団の洋介コールに合わせて会場中がチアスティックを打ち鳴らして中西選手を応援。 後押しされた中西選手はそのまま順調に得点を重ねていく。デッドナム選手のネットタッチでゲームポイントを奪うと、21点目も同じくデッドナム選手がネットタッチ。ラッキーなポイントが続き13本でこのゲームを制する。 第2ゲームはデッドナム選手も奮起し、7-6、8-8と中盤まで競り合う。しかしこの場面で中西選手はクリアで大きく展開し、甘くなったところを決める落ち着いたラリーを見せる。さらに次のラリーでは相手の厳しいクロスネットをさらに厳しいヘアピンで返球しポイント。 この2本でしっかりと流れを引き寄せた中西選手は、14点まで連続得点をあげる。 終盤に入ってミスの多くなったデッドナム選手に対し、中西選手は集中力を切らさずに落ち着いたプレーを継続。21-11で勝利し、初戦を勝ち取る大事なポイントを挙げた。 <仲尾/川口 vs ジェームズ/フェルヨン> 最後に登場したのは仲尾・川口組。団体戦は4-0と勝敗の決した場面だが、翌日のデンマーク戦に勢いをつける勝ち方をしたいところだ。 普段は所属チームの違う二人だが、実は中学校の先輩後輩というこのペア。どちらも柔らかなタッチとトリッキーなテクニックを併せ持つ。この試合ではその力を充分に発揮。 仲尾選手が前に入って器用にネットへシャトルを振り分け、上がってきた打球を長身の川口選手が強打。逆に川口選手が前衛に入って球をつくれば、仲尾選手がドロップとスマッシュを織り交ぜた攻撃で相手を翻弄。 読みの早さに裏付けられた素早い動きから速いシャトルを放つかと思えば、タメをつくってフェイントの利いた打球を繰り出すこともある。14-6から19点まで連続6ポイントし、最終的には21-7で小気味よく第1ゲームを先取する。 チェンジ・オブ・ペースという言葉がピッタリのダブルス。ディフェンスからもコートの角をつくショートレシーブ、タッチの速いドライブレシーブで攻守交替し、鋭い読みで決めのショットまで持っていってしまうと会場も沸きあがる。 最後も仲尾選手のフェイントたっぷりのドロップに、床すれすれでどうにか触った相手の返球がサイドアウト。 21-8で勝利するとともに、団体戦を5-0の完全勝利で締めくくった。
【2006年4月30日:デンマーク戦】
<池田/坂本 vs エリクセン/ルンドゴールハンセン> 第1シングルスに続いての第1ダブルスには、池田・坂本組が今大会初の登場。世界ランキング1位のエリクセン・ルンドゴールハンセンに挑む。2005年デンマークオープンでは池田・坂本組が激戦の末に破っている。エリクセン選手のサービスを池田選手がハーフにレシーブしてエースを奪う、幸先のよい出だし。一方のデンマークペアも序盤から強烈な攻撃を見せる。 長身かつテクニックもあるデンマークペアが、世界1位の実力を発揮して差を広げる。ゲームポイントを握られた場面、31ストロークの長いラリーの末に、ドライブのバックアウトを誘い一矢を報いるが、次のラリーで前衛から打ち込まれたスマッシュが決まり、14-21。1ゲームを落とす。 第2ゲームでは、序盤からドライブ、低いロブを積極的に打ち、1ゲーム目で多かった攻めきられるパターンを配球で回避。 長身の相手に早いタイミングでカットされても、その返球に確実に反応。先を見据えたプレーが世界1位の一枚上を行き、11-6とリードを奪う。しかしデンマークが じわじわと点差を詰めて15-14。粘り強いレシーブ、読みよくシャトルを捉えるプレーが相手の脅威となり、シャトルをネットにかけ続けるデンマークペア。 それと対照的に、一球一球に自分たちの最高のパフォーマンスを見せる日本ペア。21点目も坂本選手の素晴らしいレシーブ、池田選手の前への素早い詰めに、たまらずエリクセン選手がミス。 会場が沸き上がり、池田・坂本両選手もガッツポーズの後ハイタッチで喜びを表す。16点目からの6連続得点でゲームカウント1-1のタイとなった。 ファイナルゲーム。12-18とリードされてから、池田・坂本組の怒涛の反撃が始まる。 池田選手が球をつくって上がってきたところを、坂本選手がジャンプスマッシュ!返ってきたところを、前衛の池田選手が連続3本のスマッシュを打ちきって18-19。両選手が渾身のガッツポーズを見せ、会場中がこの日一番の盛り上がりを見せる。 しかし、次の池田選手のサービスが無情にもネットを越えず18-20のマッチポイント。 最後のラリーでネット前でのつなぎ球がわずかに届かず18-21となった瞬間、池田選手は天を仰ぎ、坂本選手は無念さを滲ませた。大観衆もため息の直後、素晴らしい名勝負を見せた4人を大きな拍手で賞賛した。 <中西 vs ヨナセン> 第2シングルスは中西選手が登場。ダブルスの選手たちと同じく長身のヨナセン選手は、世界トップ10に長く名を刻んでいる強者。だが中西選手は2004年のシンガポールオープンで対戦した際には1ゲームを奪う健闘を見せている。7-6とリードしたところでヨナセン選手が集中力を発揮。 タイミングの早いジャンプスマッシュで同点に追いつくと、さらに中西選手のスマッシュを短いクロスレシーブで切り返して30本のラリーを制する。だが中西選手もヘアピンをネットインさせて連続失点をストップ。自分のプレーに集中し、相手に攻めさせながらミスやチャンスを待つ戦法で17-18と迫るが、 このゲームは17-21でヨナセン選手へ。 引き寄せた流れを離すまいと、2ゲーム目に入っても積極的に攻撃を展開するヨナセン選手。さらに13-17となり中西選手にとっては苦しい展開となる。 しかし勝負をあきらめない中西選手は、猛攻を防ぎきって14点目を取ると、クロススマッシュをネットインさせて15点目。19-20まで迫ったが、ヨナセン選手のフェイントを利かせたアタックロブにタイミングが合わず、21点目を奪われた。 <仲尾/川口 vs パースク/ラスムセン> 団体戦が残念ながら0-3となって勝敗は決したが、南アフリカ戦と同じく予定された試合は全て行うルール。 第2ダブルスには昨日好調を見せた仲尾・川口組が登場し、2003年の世界王者であるパースク・ラスムセン組と対戦する。 流れからの1つ1つのショットに強さを持つデンマークペア。第1ダブルス同様に攻めきるのが上手い。 9-17と大量リードを奪われた仲尾・川口組だが、相手のネットプレーに不安があるのを突いてミスを誘い、次々に得点を重ねる。 ネットインや相手のサービス周りでのミスも手伝って16-19。このゲームは落とすものの猛追を見せ、次のゲームにつなげる。 2ゲーム目は、守っては独特の間から左右にシャトルを振り分け、攻めてはダイナミックな入りから多彩なショットを放つ仲尾選手、 読みのよい前衛からのショットで相手を幻惑する川口選手のコンビネーションが冴え、先に11点を奪ってミスのなかなか減らないデンマークペアにリードをキープ。 川口選手がバランスを崩しながらもドライブレシーブでつなぎ、甘くなったところに仲尾選手がデンマークペアの中央を割り19-16。川口選手がとどめの一撃を放ち21-17で第2ゲームを奪取すると、会場もこの日幾度目かの大盛り上がりを見せる。 だがファイナルゲームに入るとデンマークペアが着実にポイントを重ねる。1-6。勝負のかかる場面で集中する相手に対し苦戦を強いられる日本ペア。 仲尾選手がネットに飛び込みながらプッシュを決め、さらにジャンプスマッシュを打ち抜き2点を奪い反撃するが デンマークペアもパワーのあるショットでチャンスをつくり、大事なポイントはきっちりと攻めきって奪っていく。パースク・ラスムセン組は、エリクセン組に比べて粘りという点ではやや劣るものの、攻撃の鋭さと勝負勘でさすがのプレーを見せる。 17-19まで迫ったが、最後は仲尾選手のドライブ気味のレシーブをパースク選手が前衛から打ち込みゲームセット。 惜しくも敗れる結果とはなったが、ダブルス、シングルス、そしてこのダブルスと、3試合連続の大健闘に大きな拍手が送られた。
【2006年5月1日:アメリカ戦】
<中西 vs ゴー> 決勝トーナメント1回戦、日本はベスト8入りを賭けてアメリカと対戦。第1シングルス、続く第1ダブルスに勝利し、王手を掛けた。 この場面で登場するのは、日本の第2シングルス中西選手。対するアメリカはゴー選手が登場。バンダナを頭に巻いたスタイルが目新しい。 試合開始直後から、中西選手は落ち着いたラリーで5点を先取。15-4と大量のリードを奪う。ここから開き直ったゴー選手が4本を連取。世界ランキングは300位台と格下ではあるが、国を代表して戦う相手を侮ることはできない。 しかし17-11の場面でゴー選手の猛攻をしっかり防いだ中西選手は、チャンスと見るや会心のクロススマッシュを決めて18点目を獲得。最後はフォアサイドからのクロスショットがエースとなり21-11。 後がないアメリカ。ゴー選手も2ゲーム目は初めから奮起し、1点を争う競った展開で試合が進む。 しかし9-9から2本を奪ったのは中西選手。さらに点を重ねて14-12とリードする。 それでも食らいついてくるゴー選手。会場もどよめく中西選手の巧みなフェイントにもよくついていき、連続ポイントで猛追、そして逆転に成功する。 試合後の記者会見で「勝ちを意識してしまった」と振り返った中西選手は、ラウンドからのスマッシュをネットにかけるなどして15-19と苦境に立たされる。 だがここで強気の攻めを取り戻す中西選手。2本のスマッシュを決めるなど5連続得点で20-19と土壇場で再逆転。 粘るゴー選手に追いつかれてジュースとなるが、強気の姿勢を崩さず最後はクロスカットスマッシュがノータッチ。 激戦を23-21で勝利し、日本の2大会連続となるベスト8入りを掴み取った。
【2006年5月3日:インドネシア戦】
<池田/坂本 vs キド/セティアワン> 会場を仙台市体育館から東京体育館に移し、ベスト4入りを賭けての戦い。日本の相手は過去13回優勝のインドネシア。会場を埋め尽くした観客の声援を受け、佐藤選手がアテネ五輪金メダルのヒダヤット選手から金星を挙げるが、続く第1ダブルス、第2シングルスを落とす。 1-2と後がなくなった場面で登場したのは、池田・坂本組。対するインドネシアはキド・セティアワン組だ。勢いに勝るインドネシアペアだが、池田・坂本組のパフォーマンスも悪くはない。序盤から連続攻撃、高いレシーブ力を随所に披露して、5-8、9-10とつかず離れずといった点差を保つ。前衛でのシャトルへの反応が鋭いインドネシアペアのプレッシャーもあり9-14とされるが、サービス周りの良さを武器に挽回。相手のミスもあり、14オールに追いつく。だが、この日の池田・坂本組には、普段よりも幾分ミスが目立つ。サービスから3本以内のミスが続き15-19となり、さらには20点目もスマッシュを返しきれずゲームポイント。一本でも粘っておきたい場面だが、次のラリーでもドライブレシーブがネットにかかり、1ゲームを失う。 2ゲームも先行されるが、守りからペースをつくって攻めに転じる戦い方で追いつく展開となる。しかし、やはり前衛でのカットに冴えを見せるインドネシアペア。池田・坂本組にとっては思うようなリズムでプレーができない。それでも10オールから池田選手が鋭い読みでプッシュを決め、逆転に成功。一時は15-12と3点の差をつけガッツポーズを見せる。だが苦しい場面でもプレーに遊び心が垣間見えるインドネシアペア。池田・坂本組の攻撃をしのぎきり、カウンターと思わせながらフェイントの利いたジャンプドロップを決めてしまう。このショットで15オールに追いつき、再度逆転を果たす。日本も16-17から坂本選手がスマッシュ一閃。17オールとして意地を見せるが、流れを引き寄せるまでには至らず。最後は強烈なスマッシュを返しきれず18-21。その瞬間、池田・坂本組のトマス杯初勝利は2年後までお預けとなり、準決勝への切符はインドネシアに渡った。
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